Menu
(0)

Search

過激派スナイダーファンの『スーパーマン』荒らし予告にジェームズ・ガン毅然と対応 ─ 「ネットの言説、全部読んでる」

スーパーマン
イメージ写真

『マン・オブ・スティール』(2013)や『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』(2016)を中心にザック・スナイダー監督が創造した一連の世界観(通称:スナイダーバース)に対するファンの一部には過激な者が存在し、今もスナイダーバースこそが唯一の正義だと主張している。彼らの中には、DCスタジオを立ち上げて新『スーパーマン』を監督したジェームズ・ガンについて、スナイダーバースを殺した張本人だと敵対視する向きもある。

過激派と化した一部のスナイダー信奉者は、2025年7月11日に公開を迎える『スーパーマン』の不振を望んでいる。米Redditでは、同作の公開日である7月11日に「スナイダーバースのために戦おう」と信奉者の一人が呼びかけた。その呆れた主張は、次のようなものだ。

「偽物の『スーパーマン』公開日に、我々のスナイダーバースのために戦おう。そのためにできることは次の通りだ。(1)あちこちにネタバレをバラ撒こう。ネタバレされている映画を観に行ったり楽しんだりする人は減る。(2)レビューサイトで低評価をしよう。どうせガンのボットが偽の高評価をするだろうから、我々が真実を知らしめよう。現実的なスコアで、我々がバイアスのバランスを取らねば。(3)オンラインでチケットを予約しておいて、購入しない。座席指定をしてチケットを予約しておけば、しばらくの間予約を奪える。つまり、ガンのボットがチケットを購入する機会を止めることができる。」

こうした活動は単なる荒らし行為であり、彼らが信奉するスナイダーもこのような迷惑行為を決して望んでいないことに、おそらく本人たちは気付いていない。投稿者はポストの中で、「ガンがスナイダーバースを殺したんだ。これは、彼のために戦うチャンスだ」と息巻いている。

この話題について米Rolling Stoneにて見解を求められたジェームズ・ガンは毅然とした態度を示している。「気にしません。いいと思います。全員に応援してもらいたいわけではありません」と反応しつつ、「俳優も、ネットでの言説を全部読んでいます。誰とは言いませんが、彼もこの記事を読むでしょう。誰かわかるでしょう。スーパーマンにおけるトップ5のひとりです」と連ねた。おそらくは『スーパーマン』の主要な出演者のことだろう。ガンはこう続けている。

「その俳優は、人が言うことに非常に腹を立てます。そこで僕はこう伝えます。“まず、予告編が公開された時、高評価が97〜98%も付きましたよね。そういう人(=アンチ)も助けになっているんです。なぜなら、高評価が100%になったら変だから”と。」

さらにガンは、「反対勢力が時々起こるのは、いいんです。中には馬鹿馬鹿しいものもあります。何かが発表されるたびに、どれだけ好意的に受け入れられようとも、必ず大きな論争が起こるものなのです」と連ね、予告編映像について「太陽がスーパーマンを痛めつけるシーンでも、大きな論争が起こりました」と指摘する。

『スーパーマン』の予告編映像では、スーパーマンの秘密の拠点である「孤独の要塞」にて、傷ついたスーパーマンが太陽光を浴びて痛々しそうに悶絶する場面がある。ここでファンの間では、スーパーマンが太陽光からエネルギーを吸収して回復するという有名な設定に対して、なぜ本作で彼は光を浴びただけで泣き叫んでいるのかという議論が巻き起こっていた。

ガンは「そういうことではないんです。あれは、彼の骨が元に戻っていただけです。医者が骨を治すときは叫ぶでしょう?」と説明しつつ、「そんなのどうでもいいんです。そんなことが論争のうちに入りますか?」と呆れ気味だ。

「そんなことで本当に腹が立つんですか?それとも、腹を立てるものを見つけようとしているだけですか?そういうものは常に存在するんです。人が腹を立てるものは常に存在するし、それでいい。今回の俳優も、全部読んでます。ネット掲示板のスレッド、全部読んでます。動画も全部見ています。我々へのヘイト動画で生計を立てているようなものも含めてです。そうやってお金を稼いでいるんですよね。でも、我々が酷い人間だと言う人たちの動画なんて、観る必要はありません。そういうものをずっと読んでいてもいいけど、そんなことをしていたら殺されてしまう。そんなものは魂に酷いことをする行為です。」

スーパーマン
(c) &TM DC(c)2025 WBEI        IMAX(R)is a registered trademark of IMAX Corporation.

スナイダー版ではヘンリー・カヴィルも演じたスーパーマンは「希望」の象徴だ。自分たちの望む作品が作られなかったからといって、他人を踏みにじるような行為は「希望」とは程遠い。そうではなく、ガンによる新しい『スーパーマン』が打ち出したいのは「人の優しさ」だという。ガンは過去のインタビューで、次のように語っている

「僕は人間の善意を信じていますし、この国のほとんどの人は、そのイデオロギーや政治思想さえ違えど、善人になるために尽くしていると信じています。相手からどう見えようとも、相手がどうであろうとも。本作は、そういったことを描いています。人間の基本的な優しさが、カッコ悪いことと見なされたり、より暗い声や、より大きな声によって非難に晒されることもあり得るということを描く映画です。」

『スーパーマン』は2025年7月11日、日米同時公開。

Source:Rolling Stone

Writer

アバター画像
中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

Ranking

Daily

Weekly

Monthly