【ネタバレ】『ハン・ソロ』ロン・ハワード監督はどこを変えた? 大幅な再撮影、内容変更の詳細が一部判明

2017年6月、映画『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』(2018)の撮影現場から衝撃的な知らせが飛び込んできた。監督として撮影にあたっていたフィル・ロード&クリス・ミラーが、ルーカスフィルムとの「創造性の違い」を理由にプロジェクトを離脱したのである。後任者に起用されたのは、『アポロ13』(1995)や『ビューティフル・マインド』(2001)の名匠ロン・ハワードだった。
報道によれば、フィル&クリスの降板後、ロン監督は全編の70%を撮り直したという。本記事では複数の証言を頼りに、ロン監督が本編のどういった部分に大きな変更を加えていったのか、その一部を明らかにしたい。
この記事には、映画『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』のネタバレが含まれています。すでに作品を鑑賞された方向けの内容となりますのでご注意下さい。なお、このページをSNSにてシェア頂く際は、記事内容に触れないようお願い致します。
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ハン&キーラの再会シーン
『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』の編集を務めたのは、『エイリアン:コヴェナント』(2017)や『オデッセイ』(2015)、『悪の法則』(2013)などリドリー・スコット作品に数多く参加するベテラン、ピエトロ・スカリア氏。前監督のフィル&クリスとは数週間の作業を行ったというが、基本的にはロン・ハワード監督の登板にあわせて、前任者とは入れ替わりでプロジェクトに参加した人物だ。
米/Film誌のインタビューにて、ピエトロ氏は、フィル&クリスが制作した映像とロン監督の素材は「完璧に別物」と断言。編集作業は一からやり直す必要があったという。
「すでに作られたものの上に、何かを積み上げるようなことはしていません。[中略]最初からシーンを作り直すことにしたんです。それが(撮影された)素材をきちんと理解する唯一の方法だった。決して、僕の前に参加していた編集者に敬意がないわけではないんです。単純に(映画を)どう作るかを理解するためでした。素材を知らなければいけなかったし、一から始める必要があったんです。常に(それぞれの)テイクを見つめて、演技を見て、キャラクターを組み立てて、自分自身を発見していったんですよ。」
撮影から編集に至るまで、本作では制作途中で大幅な作り直しが行われているわけだが、なかでもピエトロ氏が強調するのはハン・ソロとキーラが3年ぶりの再会を果たすシーンだ。トバイアス・ベケットに連れられて乗り込んだ、ドライデン・ヴォスの船上でハンはキーラと遭遇するのである。
「ハンとキーラが再会する場面は、この映画で特に大切なシーンだと思っていました。[中略]非常にデリケートで、しかも非常に大切なポイント。二人は数年間会っていないんですが、お互いどんなふうに反応するのか……。
あのシーンは何度も撮影が行われました。最初はフィルとクリスがいた頃で、(二人の撮ったバージョンには)いろんな俳優が出ていて、(ハンとキーラの間には)遮るものがいろいろあったんです。ロンはそれとは違ったものを求めたので、撮り直しが行われました。演技はさほど違わなかったんですが、障害が多くて、カメラも動いて、周りの様子やパーティーの風景がもう少し映っていたんですよ。」
また『ハン・ソロ』の再撮影を語る上で外せないのは、ドライデン・ヴォス役の俳優が変更されたことだ。当初キャスティングされていたマイケル・ケネス・ウィリアムズがスケジュールの都合で再撮影に参加できなかったため、代役としてポール・ベタニーが起用され、役柄の設定も大きく変わったという。これによって、ハンとキーラの再会にも変更が生じたようだ。
「ポール・ベタニーが加わって、大きな変更が入りました。そこで再び、二人(ハンとキーラ)のセリフを少し撮り直したんです。ですから(完成版のシーンでは)ロンが最初に撮ったものと、二度目に撮ったものを組み合わせたんです。」
トバイアス・ベケット一味の列車強盗
『ハン・ソロ』で大きな変更が加わったとみられるのは、映画の序盤でトバイアス・ベケットのチームが挑む「列車強盗」のシーンだ。トバイアス役のウディ・ハレルソンによれば、一連のシーンはロン監督の登板後に大幅な変更が施されたという。それゆえ、この場面は「映画史に残るほど」の長期間、約1年間にわたって断続的に撮影が行われたそうだ。ハン・ソロ役のオールデン・エアエンライクは、その期間の長さをこのように説明している。
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