『マダム・ウェブ』不振は「マスコミが酷評したから」とソニーCEO ─ 『クレイヴン・ザ・ハンター』失敗「理解できない、悪い映画ではないはずだ」

そもそもソニー・ピクチャーズは『クレイヴン・ザ・ハンター』のレビュー解禁を、12月13日の公開直前である11日まで制限している(事前に悪評が広まることを恐れたスタジオ側の自信のなさを示しているとも言える)。批評家たちの声やRotten Tomatoesの低スコアぶりは、果たしてどれほど一般層に速やかに浸透したのだろうか?
また、解禁後に登場した海外批評家らのレビューは確かに否定的なものが多かったが、批判内容としてはそこまで的外れでもない。『クレイヴン・ザ・ハンター』には独自の魅力もあるが、一方で欠点も多い映画であり、いかなる映画もその(適切な)指摘から免れることはできないはずだ。
ともあれ2024年は、メディアやSNSと作品の不都合な関係がこれまで以上に浮き彫りになった。ソニー・ピクチャーズのみならず、ワーナー・ブラザースの『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』も、メディアによる否定的な論調が動員に響いたのではないかとする見方もある。
作品を面白おかしく揶揄してネタ化することは、実は簡単なことであり、それでいてページビューや再生回数を集めやすい。しかし批評や評論へと昇華させるためには、さらなる技術や知識が求められるものだ。もしも過激な揶揄によって知らずのうちにネガティブ・キャンペーンの一端を担ってしまい、結果として映画製作を衰退させていたとしたら?
もちろん製作側の自己責任も大きい。「ソニー最大の問題は品質管理の欠如」とする米メディアの意見から、実際の映画の仕上がりを完全に擁護することは難しい。現代において、ネットの口コミが持つ影響力に適応するのは、彼らにとって宿命であるはずだ。
しかしながらヴィンシクエラCEOは、今後の『スパイダーマン』ユニバース戦略について、メディアでの酷評が大きく響いていることを次のように示唆している。「参っています。再考する必要がある。もし今後何かリリースしたとしても、作品の良し悪しに関係なく、また破壊されてしまうだろうから」。
▼SSU の記事
Source:Los Angeles Times