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【ネタバレ考察】『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』キャプテン・アメリカの上で揺れた正義、行われた世代交代

スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム
©2021 CTMG. © & ™ 2021 MARVEL. All Rights Reserved.

この記事には、『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』の極めて重大なネタバレが含まれています。必ず映画をご覧になってからお楽しみください。

スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム
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キャップのいた世界ともういない世界

スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』は、ミステリオにスパイダーマンとしての素性を明かされてしまったピーター・パーカーが、人々の記憶を忘却させるべく、ドクター・ストレンジがいるサンクタム・サンクトラムを訪れるところから大きく展開していく。呪文を唱えているストレンジをピーターが邪魔したことで、あろうことか別のユニバースからピーターを知っている人物(しかも悪い人たち)が集まるハメになってしまった。

そこで総結集したドクター・オクトパスやグリーン・ゴブリン、エレクトロ、リザードといった過去シリーズのヴィラン。ストレンジは、彼らを元の世界へそのまま帰して運命通り死んでもらうことを主張するが、ピーターは何か方法があるはずだと命令を聞かない。挙句の果てにはストレンジをミラーディメンションに閉じ込め、MJとネッドの助けを借りてヴィランたちの救済に走るのだ。しかし、この善の心から生まれたピーターの行動は、メイおばさんの死、そして工事の途中にあった自由の女神像が位するニューヨークの離島での最終決戦へと導かれてしまう。

MCUは、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)で生命体の半数が消滅し『アベンジャーズ/エンドゲーム』を経て再び戻ってきたこと、つまりサノスによって引き起こされた「指パッチン」事変をもって一つの大きなターニングポイントを迎えた。しかし、このフェーズ4の到来は、次のような区切り方もできるはずだ。アメリカの象徴とされてきた“キャプテン・アメリカのいた世界ともういない世界”、というように。それは、「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」(2021)や「ホークアイ」(2021)といったフェーズ4作品でのキャップの描かれ方を見れば納得できるはずだ。

そして『ノー・ウェイ・ホーム』でも、キャップの存在は大きく描かれている。自由の女神像が再建されるにあたり、キャプテン・アメリカの盾の巨大モニュメントも新たに加えられたのだ。この場所が最終決戦の地になったことは、後述の内容を考えると運命的だったといえる。

ピーターとキャップの変遷

振り返ってみれば、ピーターにとってキャップとの初めての出会いは敵、厳密には雇い主だったトニー・スタークさんの敵としてだった。『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016)、ソコヴィア協定をめぐって内紛状態にあったアベンジャーズは、キャップ側とトニー側の2チームに別れて正面衝突。当然のことながらピーターはトニー側につき、キャップの盾、つまり“正義”を奪った。

ピーターがキャップとの戦いを終えた後の興奮を伝える姿が『スパイダーマン:ホームカミング』(2017)で描かれる。「すごいことが起きた!スタークさんに呼ばれて、キャプテン・アメリカの盾を奪ったんだ」と。高校生のピーターは、憧れのキャップから盾を奪えて嬉しかったのだろう。今度は自分が、正義を巡って葛藤することになるとは知らずに。

(c) 2017 Columbia Pictures Industries, Inc. and LSC Film Corporation. All Rights Reserved. | MARVEL and all related character names: (c)

MCU全体の流れでは、『シビル・ウォー』を経てアベンジャーズは事実上の空中分解。しかし、その後の『インフィニティ・ウォー』と『エンドゲーム』で再びチームは団結し、最強の敵サノスを打倒することができた。ここでトニーとキャップ、2人のリーダーがMCUの世界から去っていく。

そして『エンドゲーム』後の『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』(2019)から、ピーターは普通の高校生であることとスーパーヒーローであること、2つのアイデンティティに悩まされていくことに。ナイーブな高校生のピーターは、「自分がスーパーヒーローじゃなかったら?」というネガティブ思考をどこかで持ちながら戦い続け、話は『ノー・ウェイ・ホーム』へと繋がっていく。

シールド上で行われた世代交代

その中で、ピーターがヒーローとして覚醒したのが、自由の女神像での最終決戦だった。ここで彼を直接的に支えたのは別のユニバースから駆けつけた兄貴たち、アンドリュー・ガーフィールド版のピーター・パーカーとトビー・マグワイア版のピーター・パーカーだ。2人がいなかったらピーターは暴れ狂うエレクトロやリザードたちとの戦いに勝つことができなかっただろう。

しかし、ピーターは最後の最後で、ヒーローとしての自分を見失いそうになる。メイおばさんを殺したグリーンゴブリン/ノーマン・オズボーンに恨みのパンチを何度も何度も食らわすのだ。マグワイアのピーターが止めに入り、ゴブリンを“殺害”することは免れたピーターだったが、下手すればダークサイドに引き込まれていただろう。かつてマグワイアのピーターがそうだったように。

ここで投げかけたい問いこそ、果たしてピーターがヒーローとして踏みとどまることができたのは、2人の兄貴のおかげだけだったか、ということ。思えばグリーンゴブリンとの一騎打ちは、崩れ落ちたキャップの巨大シールド上で行われていた。もしかすると、横たわるゴブリン越しにシールドの地面を見たピーターは、常に自分なりの正義を貫いていたキャップのことが脳裏をよぎったのではないだろうか。戦いの時を除いては常に物事を静観していたキャップの背中を思い浮かべ、怒りを鎮められたのではないのか。もしそうならば、かつて自分が奪った“正義”に、ピーターは救われたことになる。

アベンジャーズ/エンドゲーム
© 2019 MARVEL

これはあくまでいち考察にすぎないが、いずれにしてもピーターにとってシールド上での決戦は、いちヒーローとして、いち人間として大きく成長させるものとなった。最後の戦いに挑む前、巨大シールドを携えた自由の女神像が戦場であることに、「新たな出発」だと意気込んでいたピーター。その通り、誰も自分のことを知らないニューヨークで、家賃のことを気にしながら、スパイダーマンとしての再出発をする。一方でキャップは、ヒーローではない自分の人生を歩んでみるのも良いと、ひとり静かに引退した。2人の間の世代交代をこっそりと行ったのが、『ノー・ウェイ・ホーム』だったのではないだろうか。

Writer

SAWADA
SawadyYOSHINORI SAWADA

THE RIVER編集部。宇宙、アウトドア、ダンスと多趣味ですが、一番はやはり映画。 "Old is New"という言葉の表すような新鮮且つ謙虚な姿勢を心構えに物書きをしています。 宜しくお願い致します。ご連絡はsawada@riverch.jpまで。

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