『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』細かすぎて伝わらない小ネタを監督に聞いてみた ─ そしたら本当に細かかった

『スパイダーマン』シリーズ最新作『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』が、ついに日本公開を迎えた。前作から代わって、この野心的な続編の監督に就任したのは、 ホアキン・ドス・サントス、ケンプ・パワーズ、ジャスティン・K・トンプソンのトリオ。
サントスはこれまで「ジャスティス・リーグ・アンリミテッド」などのアニメ作品を手掛け、パワーズはディズニー&ピクサー『ソウルフル・ワールド』の共同監督を務めたほか、『あの夜、マイアミで』(2020)も監督。トンプソンは『くもりときどきミートボール』シリーズでプロダクションデザイナーを務めるなど、それぞれ異なる分野での実績をもつ3人だ。
THE RIVERでは、『アクロス・ザ・スパイダーバース』を作り上げた3人に動画で直接インタビュー。本作の見どころや、作中に隠された細かすぎて伝わらない小ネタの秘密についても聞いた。
『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』監督 ホアキン・ドス・サントス、ケンプ・パワーズ、ジャスティン・K・トンプソン 動画インタビュー
──本作『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』には、『帝国の逆襲』のようなところが多くある印象です。ダークなトーン、父子の関係、新たな色彩、そして終わり方も。三部作の中間作ですが、どんな野心が?
(一同)全部言ってくれた(笑)。
ジャスティン:本作は2作目なので、少しダークにすることができました。次の行き先が決まっているからです。
ケンプ:本作で綺麗に完結させる必要がないんです。本作に賭かっているものは、他の一般的なヒーロー映画とは違って、よりエモーショナル。マイルスや彼の両親、グウェンと彼女の父親の成長物語が描かれる。3作目があるとわかっていて素晴らしいのは、ストーリーの完結方法がわかっているので、全てを仕上げなくても良い自由があること。本作がダークに寄ったのは、そういう理由です。
──この続編、もともとは1作だったと思いますが、『アクロス〜』と『ビヨンド〜』の2作に分けたことで、ストーリーテリングにはどんな変化がありましたか?
ジャスティン:実は初期の頃から、2部作にするつもりでいたんです。巨大なストーリーにしたかったからです。作品のテーマや、マイルスの冒険や成長、変化を思いっきり壮大に、堂々と描きたかった。とても1作では描ききれない内容をやりたかったんです。だから、実際は初めにストーリーの全体像を固めて、それからどうやって映画化するかと考えました。もちろん、それぞれの作品を完結した映画にする必要がある。本作のラストはただのクリフハンガーではなく、きちんと満足感のあるものになっているので、次回作がどうなるか楽しみになると思います。難しかったですが、うまくいっているといいなと思います。

──“全ての人は救えない”という全スパイダーマンの宿命に、マイルス・モラレスが立ち向かいます。
ホアキン:マイルスは、家族に関することだけでなく、自分自身で世界をどう切り開いていくかを考え、自分らしいヒーローになる必要があることに気づいていきます。与えられた道をただ進むのではなく、どうすればいいかを自分で考える。だから、この先どうなっていくのかがとても気になる内容になっています。
ケンプ:スーパーヒーローというのは、本来はルールを破る存在であるはずなんです。しかし、スーパーヒーローのコミック文化の方が支配的な文化になったため、人はヒーローになるためのルールを守るようになったのだと思います。“ルールを破る存在になるためのルール”を作るというのは、なんだか陳腐な気もしますが、ルールを破るということを、このジャンルに取り入れたかったんです。
ジャスティン:その野心が映像にも表れています。

──映像の情報量が凄まじく、たくさんの小ネタが隠れているんだろうなと思います。その中でも、細かすぎて伝わらない小ネタはありますか?
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