Menu
(0)

Search

【インタビュー】「ストレンジャー・シングス」スティーブ役ジョー・キーリー、新境地のサイコスリラー『スプリー』 ─ 「この映画は風刺そのもの」

『スプリー』
(C) 2020 Spree Film Holdings, LLC. All Rights Reserved.

 人気ドラマ「ストレンジャー・シングス 未知の世界」(2016-)のスティーブ役で一躍名を知られるようになった俳優ジョー・キーリーの映画初主演作『スプリー』が、2021年4月23日より公開となった。「ストレンジャー・シングス」で“イジメっ子”から“良いヤツ”に改心したスティーブをコミカルに演じたキーリーが『スプリー』で挑んだ役は、SNSでバズってインフルエンサーになるべく、ライドシェアサービスのドライバーを始めてみた20代の青年カート。化けの皮を剥がしていくサイコパスなキーリーの憑依ぶりは、『アメリカンサイコ』(2000)でのクリスチャン・ベールを彷彿とさせる。

THE RIVERは、キーリーに単独インタビューを実施。キーリーは、自宅からZoomを通じて取材に応じてくれた。ビデオ通話が繋がり目の前に現れたキーリーに対して抱いたのは、誰に対しても気兼ねなく接してくれるクラスの人気者的な印象。キーリー自身は『スター・ウォーズ』の黒シャツを着こなし、毛量のすごい(ことで有名な)前髪にサングラスを軽く乗せたラフな出で立ちで、インタビューに答えてくれた。

『スプリー』
(C) 2020 Spree Film Holdings, LLC. All Rights Reserved.

インタビューでは、初主演を飾った心境や役づくり、撮影時のエピソードに加えて、役者としての今後の展望も訊いてみた。ドラマのみならず、ハリウッド映画にも出演を重ね、役者として頭角を現しつつあるキーリーのアツい言葉をぜひご堪能いただきたい。

一番大変だったのは「ダークな面に向かうこと」、新たな挑戦

── こんにちは!お元気ですか?

こんにちは!バリバリ元気ですよ。実は、作品(「ストレンジャー・シングス」シーズン4)の撮影にちょうど戻るところなんです。早く観てもらいたいです。

── 日本にいるファンの全員が「ストレンジャー・シングス」のシーズン4を心待ちにしていますよ

僕もワクワクしてます。ガッカリさせはしないと思います。

── 楽しみにしていますね。さっそく『スプリー』について色々とお聞きしていきます。『スプリー』での演技には圧倒されっぱなしでした。本作はあなたにとって初の主演作ですが、参加するにあたって何か特別な意気込みなどはありましたか?

間違いなくありました。実際はすごく緊張していたんです。あなたのおっしゃる通り主演は初めてで、全てを背負っているわけですから。ただ、監督のユージーン(・コトリャレンコ)のことは信頼していました。彼はとても賢くて、映画を通して伝えたかったメッセージもはっきりと持っていました。映画自体はすごく奇抜なんですけど、僕はすっごく気に入りました。他とは違うことが良かったんです。こんな感じの映画はあるけど、こんなトーンの作品はどこにも無いかなって。いろんな意味でおかしくて恐くて、幅広いジャンルに当てはまる作品ですね。この映画に対する観客の反応は未知数でしたけど、個人的にユージーン監督の大ファンで脚本も好きだったので、リアルな可能性を感じました。

『スプリー』
(C) 2020 Spree Film Holdings, LLC. All Rights Reserved.

── 本作を「奇抜」と表現していましたが、あなたはハイテクなサイコパス人間を演じていますよね。奇人になりきるのはすごく大変だったと思うのですが、役づくりのプロセスで一番大変だったことは何でしょう?

変わりダネなキャラクターに挑戦するのは、すごく楽しかったです。「ストレンジャー・シングス」で僕が演じているキャラクターとは全く違ったんで。ほんとに別物でした。怖くもあり大変でした。頭の中では考えているけど、キャラクターを引き出しきれないんじゃないかって考えたりもして。でも挑戦すること自体は楽しいことだから、毎日必死になって早く現場入りして、一日の中で自分のベストを出し切る。そしたらあとはユージーン監督にある程度身を委ねて、彼の腕を信じるみたいな感じで作品に挑んでました。

一番大変だったのは、(キャラクターを)正当化することでしょうか。もちろん彼(カート)の行いは許されないことですし、彼はサイコパスでクレイジーで、間違っています。けどキャラクターになりきるためには、どの俳優も口を揃えて、どんな悪役だって自分の行いを悪いことだと思っていないと言うはずだから、彼がやっていること全てを正当化しなければいけなくて。軽蔑すべき人間が軽蔑すべきことをやっているし、なんでこんな人間に光を当てるんだっていうためらいのようなものも自分の中にあったんですけど。ただこの映画は風刺そのもので、こうした人間たちをこき下ろして、悪い意味で光を当てるために作られたものだと思うんです。自分自身を奮い立たせて、ダークな部分に向かっていくことがたぶん一番大変だったかな。

Writer

SAWADA
SawadyYOSHINORI SAWADA

THE RIVER編集部。宇宙、アウトドア、ダンスと多趣味ですが、一番はやはり映画。 "Old is New"という言葉の表すような新鮮且つ謙虚な姿勢を心構えに物書きをしています。 宜しくお願い致します。ご連絡はsawada@riverch.jpまで。

Ranking

Daily

Weekly

Monthly