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タランティーノ版『スター・トレック』実現すれば「宇宙版パルプ・フィクション」に ─ 監督就任の場合、引退作にする意向

クエンティン・タランティーノ
Photo by Gage Skidmore https://www.flickr.com/photos/gageskidmore/19702707206/

2019年8月30日(金)公開の最新作『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』を控えるクエンティン・タランティーノ監督が、自ら企画している『スター・トレック』新作映画(タイトル未定)の方針を語った。タランティーノが『スター・トレック』を撮るなんて、一体どうなってしまうのか。ご安心いただきたい(?)、どうやら「宇宙版パルプ・フィクション」になるそうである。

Deadlineのインタビューに登場したタランティーノは、そもそも多くのファンが疑問に思っている「R指定になるのか、PG指定になるのか」との問いかけに、「僕は大きな問題ではないと思っているんです」と答えた。ただし、彼は先日「僕がやるならR指定」と宣言したばかり。今回の回答も、再びの“タランティーノ作品宣言”となっていた。

「僕が撮るのなら、僕なりのやり方で撮ることになります。これまでの9作品を観ていただければ、“僕なりのやり方”が、R指定で縛りのないものだということは分かりますよね。それが大事なんです。それに、もしも僕が“PG指定にして、ユニバースにきちんと合わせます”と言えば、もっと物議を醸しますよね。そんなのは僕じゃない。いったい何をやってるんだ?ということですよ。『CSI(: 科学捜査班)』のエピソードを撮った時ですら、そんなことはしなかったんですから。」

そもそもタランティーノ版『スター・トレック』は、映画版プロデューサーのJ・J・エイブラムスに、タランティーノ自らアイデアを提案したことで動き始めたもの。J・Jもパラマウント・ピクチャーズも、そのアイデアを大いに気に入っているという。もはや、タランティーノらしさが炸裂する『スター・トレック』が生まれる準備は整っているのだ。実際のところ、彼はこんなことも語っている。

「サイモン・ペッグ(モンゴメリー・スコット役)には困っているんです。実際は何も知らないのに、さも知っているかのようなコメントをしているでしょう。“宇宙版『パルプ・フィクション』にはならないと思う”と彼が言っていたことがありましたけど、なりますよ!(爆笑) 僕がやるんだから、確実にそうなる。宇宙版『パルプ・フィクション』ですよ。脚本を読んで『パルプ・フィクション』的な側面を感じましたし、こんなSF映画の脚本は読んだことがない。こんな要素の入ったSF映画、ありませんよ。だから作りたいんです。少なくとも、そういう意味では唯一無二の作品ですね。」

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』で多忙のタランティーノに代わり、彼の原案をもとに脚本を執筆したのは『レヴェナント:蘇えりし者』(2015)のマーク・L・スミス。すでにタランティーノは「最高の脚本を書いてもらいました。大好きです」と出来栄えを絶賛した。

とはいえ、タランティーノ自身がメガホンを取るかどうかはまだ不明。「『スター・トレック』を撮らせてもらえるのを待っていました」と言いつつ、「自分で撮るかは分からないし、それを決めなきゃいけないんですけど…」と言葉を濁しているのだ。その一方、米Cinema Blendでは「もしも『スター・トレック』を撮るのなら、それが最後の映画になります」と断言している。

長編映画10作目で映画監督を引退する意向のタランティーノは、第9作『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』を完成させ、もはや最後の1作を残すのみ。「“スター・トレックはノーカウント! オリジナル作品を最後にする”とも言えるでしょう。だけど、10本で終わりという考えを変える気はありません」と言い、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』が「最後のオリジナル作品になるかも」とも述べている。

「最後はオリジナルを撮りたいという考えもありますが、(『スター・トレック』なら)ありえたかもしれない、別のキャリアを示せると思うんです。[中略]僕はずっとオリジナル作品を作ってきたけれども、誰かの脚本を読むとか、自分が刺激を得たり脚色したりする本を探すといった、また別のキャリアがあったかもしれない。10本目をどうするかを考えるのも楽しいな、と思いますよ。」

映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』は2019年8月30日(金)全国ロードショー

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』公式サイト:http://www.onceinhollywood.jp/

こんなことも言ってました

Sources: Deadline, Cinema Blend

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。