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『Summer of 85』鬼才フランソワ・オゾン監督が魅せる極上の映像美 ─ こだわりぬいた80年代の再現、製作の舞台裏に迫る

Summer of 85
© 2020-MANDARIN PRODUCTION-FOZ-France 2 CINÉMA–PLAYTIME PRODUCTION-SCOPE PICTURES

世界三大映画祭の常連にして、世界中から新作が待ち望まれているフランス映画界の巨匠フランソワ・オゾンの最新作『Summer of 85』が、2021年8月20日(金)より全国公開となる。オゾン監督といえば、様々な角度から“人間の本質”を捉え、誰しもの心の奥底に眠る欲望を描いてきた。そんな鬼才が本作で写し出すテーマは「刹那の初恋」だ。

1985年夏。北フランスの海辺の町で運命的に出会った2人の少年アレックスとダヴィドが、愛と永遠の別れを知るまでの6週間を描くはかない恋の物語。原作は、英作家エイダン・チェンバーズが1982年に発表した青春小説の金字塔「Dance on my Grave」(邦題:おれの墓で踊れ/徳間書店)。17歳で小説と出会い感銘を受けたオゾンが、当時の感情を投影し、約35年の時を越えて映像化が実現した。

16歳のアレックスが抱く、破裂しそうなほどの初恋の衝動や葛藤、不慮の事故による愛する人の喪失と心の再生。「2人の恋愛に皮肉は一切加えず、世界共通のラブストーリーにした」とオゾン監督が自負するストーリーももちろんだが、見どころは何といっても物語を彩る“極上の映像美”。本記事では、ノスタルジックで親密な空気に包まれた1980年代のひと夏を瑞々しく映し出す『Summer of 85』映像美誕生の舞台裏に迫る。

「デジタルでは決して出せない」こだわりのフィルム撮影

Summer of 85
© 2020-MANDARIN PRODUCTION-FOZ-France 2 CINÉMA–PLAYTIME PRODUCTION-SCOPE

これまで描いてきた過激な描写を封印し、爽やかな初恋の映像化に挑んだオゾン監督。原作を読み直し、目指すべきは「ティーンエイジャーが主人公の陽光に満ちた夏の映画」だと確信した彼は、デジタル撮影が主流となっている昨今に、あえて全編フィルムでの撮影を敢行した。「夏の映画を撮る時に大事なのは、身体を見せ、官能性を表現すること。なかでも今回こだわったのは、フィルムで撮ることでした」と監督は語る。

オゾン監督は、過去にもピエール・ニネ主演の『婚約者の友人』(2016)でフィルム撮影を採用しており、戦後のドイツを舞台に繰り広げられるヒューマンドラマを、自身初の「モノクロ✕カラー」が交錯する映像美で見事に活写し、観客を魅了した。

『婚約者の友人』Blu-ray¥5170(税込)発売・販売:KADOKAWA
(C)Mandarin Production – FOZ – X FILME Creative Pool GmbH – Mars Films – France 2 Cin?ma – Films Distribution

理想が詰まった80年代ファッション

監督のこだわりは衣装にも表れている。「80年代の典型的なファッションを再現したくて、いち映画ファンだった当時の自分が好んで観た映画を思い出してみた」というオゾン監督。「あの頃は、誰もが普段からジーンズを着ていたことを思い出しました」と明かす。

「ジーンズジャケットに、パンタロン(ベルボトム)もジーンズ、首にはバンダナ。こうしたディテールを見つけ出す作業でした。100%のリアリズムではありません。どちらかといえば、こだわったのはあの時代を想起させるスタイルを打ち出すことでした。

Summer of 85
© 2020-MANDARIN PRODUCTION-FOZ-France 2 CINÉMA–PLAYTIME PRODUCTION-SCOPE

アレックスとダヴィドがさらりと着こなす、原色カラーのレトロなマリンスタイル。80年代の理想的なスタイリングがノスタルジックな世界感をより引き立てている。

「リヴァー・フェニックスの再来」オゾンが発掘した新たな才能

キャスティングにもとことんこだわるオゾン監督は、自らオーディションで新たな才能を見出し、2人の原石を発掘した。⼈⽣を揺るがすほどの初恋に喜び悶え、時には苦しむ純真なアレックスを全⾝で演じるのは、オゾンに「80年代に人気だったリヴァー・フェニックスの雰囲気がある」と言わしめた注目の新鋭フェリックス・ルフェーヴル。また、アレックスを虜にする魅力と野心に満ちたダヴィドには、フェリックスと同じくフランス映画界から高い注目を浴びるバンジャマン・ヴォワザンが起用された。子どものような愛くるしさの中に輝く、どこか哀愁漂う儚い目の奥。アレックスとダヴィドの切なくも美しい初恋物語を際立たせる、彼らの繊細な演技にも注目だ。

Summer of 85
© 2020-MANDARIN PRODUCTION-FOZ-France 2 CINÉMA–PLAYTIME PRODUCTION-SCOPE

今回試みたのは、80年代を理想化した形で提示すること。本作を観ると、まるで失われた楽園に舞い戻ったような気分になる」と願いを込めたオゾン監督。こだわり抜いた映像美を、映画館の大画面で体感してほしい。

映画『Summer of 85』は2021年8月20日(金)、新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町、Bunkamuraル・シネマほか 全国順次公開。

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THE RIVER編集部
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