『スター・ウォーズ』のマーク・ハミル、ヒーロー映画の現状を「飽和状態」と指摘―映像表現やギミックよりも「大切なのはストーリー」

映画『スター・ウォーズ』シリーズのルーク・スカイウォーカー役のマーク・ハミルが、先日開催された「第71回トニー賞」授賞式の会場で、ハリウッドにおけるスーパーヒーロー映画の現状を冷静に指摘した。

ヒーロー映画に求めるもの

ルーク役であまりにも有名なハミルだが、実はコミックを原作とする映画やテレビ番組に長年貢献してきた人物だ。たとえばマーベル・コミック原作のアニメ『スパイダーマン』(1994~1998年版)ではホフゴブリン役を、DCコミックスでは1992年から25年間演じつづけているジョーカー役のほか複数のキャラクターを務めている。ほかにもコミックやスーパーヒーローにまつわる作品に数多く携わり、ファンから強い支持を集めているのだ。

『バットマン:キリングジョーク』。2017年6月現在、マーク・ハミルが演じた最新のジョーカー役。

したがって今年(2017年)65歳になるハミルは、同年代の映画人の中でも相当深くヒーロー映画への理解を寄せているようだ。USA Today誌にヒーロー映画への意見を求められたハミルは、きわめて慎重かつ真摯にこう話している。

「スーパーヒーロー映画に何が起きているのかは知らないよ。どれも素晴らしい(fantastic)よね。でも僕は(ヒーロー映画が)飽和状態に達していると思う」

マーベル・シネマティック・ユニバース、DCエクステンデッド・ユニバースをはじめ、現在1年間で公開されるヒーロー映画の数は両手で足りるかどうか怪しいほどだ。ドラマを含めると、どれだけの作品が世に出されているかはもはや定かではなくなる……。そんな状況でヒーロー映画に求めるものを、ハミルは一言でこう述べている。

「だからストーリーが大切なんだよ。ギミックやその他いろいろなものでは、観客をそれほど遠くまでは連れていけない僕が求めてるのはよりよいストーリーだ」

ここで「ギミック」と称されているのは、もっぱらヒーロー映画には不可欠なビジュアル・エフェクツ(VFX)をはじめとした映像表現だろう。映画史における“ギミック”の更新に一役も二役も買った『スター・ウォーズ』を牽引してきたハミルだからこそ、説得力をひときわ感じられる発言だ。

Marilou York, Colin Trevorrow, Mark Hamill

映画『ザ・ブック・オブ・ヘンリー(原題:The Book of Henry)』のプレミアに出席したマーク・ハミル(中央)。(Photo by Steve Cohn/Invision for Focus Features/AP Images)

時代の変化に堪えうる「ヒーロー映画」

ところで、かつてスティーブン・スピルバーグ監督はこのように述べたことがある。

「西部劇が死んだ時、私たちはそのすぐ近くにいた。いずれスーパーヒーロー映画にも、西部劇と同じ道をたどる時が来る」

このコメントは賛否両論をもって受け止められたが、今回のハミルの発言は、どこかこの言葉にも通じるところがないだろうか。つまり、ハミルもスピルバーグも現状を批判しているのではなく、ジャンルや表現には常になんらかの限界があることを指摘しているのである。たとえば西部劇やヒーロー映画というジャンルには、その時々の観客にのみ訴えうるものがある。映像表現には、さらに目に見えてわかりやすい耐用年数があるだろう。それに人々の興味関心は常に移ろっていく……。

そうした時代や人々の変化までハミルが意識していたかどうかは定かではないが、「よりよいストーリー」としてハミルが求めたのは、きっとそうした大きな変化にも堪えうるものではないだろうか。

現在の「飽和状態」に慣れきった観客を満足させながら、長い時間の流れにも淘汰されない映画をいかに生み出すのか。ジャンル全体が盛り上がりを見せる中で、スーパーヒーロー映画がいま長期的な試練を迎えているとしたら――。ハミルの言葉は、もしかすると業界の抱える大きな課題を炙り出しているのかもしれない。

Sources: https://www.usatoday.com/story/life/entertainthis/2017/06/11/mark-hamill-superhero-movies-need-better-stories-tony-awards/102762990/
http://comicbook.com/2017/06/12/star-wars-mark-hamill-superhero-movies
Eyecatch Image: https://twitter.com/maeve_mcdermott/status/874042737275924480 動画サムネイル

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