マーク・ハミル、『スター・ウォーズ』の製作ペースに不安?「ゆっくりやるべき」

2012年、『スター・ウォーズ』シリーズの製作を統括するルーカスフィルムは、ウォルト・ディズニー・カンパニーの傘下に入った。ディズニーはシリーズの再開を宣言し、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(2015)を皮切りに、新作映画を毎年公開していく方針だ。映画史に輝くSFシリーズは、現在を生きる人気シリーズとして甦ったのである。
しかし、ルーク・スカイウォーカー役のマーク・ハミルは、この状況を必ずしも手放しで喜んでいるわけではないのかもしれない。米CinemaBlendのインタビューにては、彼はジョージ・ルーカスが生んだ『スター・ウォーズ』が持つ無限の可能性を肯定しながらも、その製作ペースに不安をうかがわせたのだった。
無限の可能性、だからこそ「ゆっくりやるべき」
「スター・ウォーズのストーリーに限界はあると思いますか?」と問われたマークは「ないはずですよ」と一言。『スター・ウォーズ』シリーズを「無限のキャンバス」だと形容した。
「単独の作品には、それぞれの独自性を持たせられますよね。『ローグ・ワン』(2016)はリアルな戦争映画風ですし、僕もわかってないですけど、『ハン・ソロ』はコメディ重視の作品になると思います。だって彼は不良だし、悪いヤツだし、ギャンブラーの女好きですしね……。
だから、単独映画の強みは(メインサーガ)3部作に従わなくてもいいことなんです。作品それぞれの前提を作って、存分にやって、公開されたら、観客をもっと観たいと思わせることができるでしょう。だから(『スター・ウォーズ』には)無限の可能性があるんですよ。」
そうした傾向は、おそらくディズニー/ルーカスフィルムが意識的に取り組んでいるものだろう。マークが言及した『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(2016)、『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』(6月29日公開)というスピンオフ映画にとどまらず、『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』(2017)にみられるように、メイン・サーガでも従来の『スター・ウォーズ』を刷新する試みが積極的に取り入れられているのだ。それこそが、「『スター・ウォーズ』を現代の観客に訴えるシリーズとして甦らせること」なのだとディズニーは考えているのかもしれない。
しかしマークは、一方で現在の製作・公開ペースには少なからず不安を抱いているようだ。
「彼ら(ディズニー)はゆっくりやっていくべきだと思います。飽きられてほしくないですからね。(『最後のジェダイ』公開時に)“ほんと? 5ヶ月後に『ハン・ソロ』を公開するの? クリスマスまで待てないの?”って言っちゃいました(笑)。でも決まっていることがあるから……マーベル映画、それにディズニー映画もありますしね。僕より視野が広いんですよ。」
今後の『スター・ウォーズ』は、まさに怒濤の展開といっていい。『ハン・ソロ』のあと、2019年には『エピソード9(仮題)』が控えているほか、スピンオフ映画『オビ=ワン(仮題)』も製作される予定。さらに『最後のジェダイ』のライアン・ジョンソン監督が統括する新3部作、ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』(2011-)の製作陣による新シリーズと、2020年以降も『スター・ウォーズ』は定期的に映画館を盛り上げることになるだろう。これに加えて、ドラマ・アニメシリーズの展開も予定されている。
「無限の可能性がある」というマークの言葉は頼もしく、また同時に「ゆっくりやるべき」という忠告にもうなずける。毎年のように新作が観られる喜びもあるが、同時に『スター・ウォーズ』というものが消費されていく危機感もあるだろう。現状のペースで進むのが良いのか、それともペースを落としたほうがいいのか。きっと正解は、今から数十年後に語られる映画史が教えてくれるはずだ。
Source: CB
写真:ゼータ イメージ