『スター・ウォーズ』新作ドラマ、創作のポイントは「この世界に住みたい」 ─ 統計・地理や歴史から構築する宇宙

女性主人公による『スター・ウォーズ』新作ドラマシリーズ(タイトル未定)は、ややユニークなアプローチで企画が進められているようだ。脚本・製作総指揮を務める「ロシアン・ドール:謎のタイムループ」(2019-)のレスリー・ヘッドランドは、ルーカスフィルムとの仕事を「夢のよう」だと語る、幼少期からの『スター・ウォーズ』ファン。数々の取材では、“筋金入り”と呼ぶにふさわしいコメントが次々に飛び出している。
まず注目したいのは、2020年4月、レスリーが『スター・ウォーズ』について「お気に入りの映画があるタイプのファンではありません。とにかく『スター・ウォーズ』の世界に住みたいんです」と語っていたことだ。なにせ、「お気に入りの作品はどれかと聞かれますが、“『スター・ウォーズ』の映画なんてない、ただ『スター・ウォーズ』があるだけ”と答えています」とさえ言っているのである。
米Fantastic Frankeyでは、自身のドラマシリーズに「『スター・ウォーズ』の世界に住みたい」という視点が活きていることが強調されている。シリーズの原点は、『スター・ウォーズ』の宇宙や惑星に関する統計・地理、あらゆる歴史・政治を解説する『Star Wars: The Essential Atlas(原題)』。創作の軸足を物語のアイデアではなくシリーズの世界観に定め、まずは実在する土地と同じように、「ここはどこなのか、彼らは誰なのか、何がわかっていて、あるいは何がわかっていないのか」を検討し、舞台となる土地の政治・経済を推測し、それらが物語にどう繋がるかを考えてきたという。
「私にとって大切なのは、『スター・ウォーズ』を映画的に、芸術的に味わうことよりも、地理学的にとことん調べ上げて、本当に旅してみること。アイデアを提案した時、デザイナーには『インディ・ジョーンズ』のような道程表を作ってもらいました。赤い点線を引いて、これが私たちの旅なんだ、ここに向かうんだって。」
ヘッドランドによるドラマは謎に包まれているが、米Deadlineによると「マーシャルアーツの要素をもつアクションスリラー」で、おなじみの『スター・ウォーズ』とは異なるタイムラインを扱うとのこと。これが描かれざる時系列を意味するのか、文字通り“異なる時間軸”を描くという意味なのかはわからない。ヘッドランドは「『スター・ウォーズ』にはまだ知らない世界とタイムラインがある。言えるのはそれだけです」と語った。
「『スター・ウォーズ』が宗教だとしたら、私の作品は伝道集会みたいなものだと思います。来たい方に来てもらえて、そこではとても良い話をしていて、まだ正史では語られていないことも扱うし、知られていないキャラクターも出てくる。ぜひみなさんに加わってほしいし、興味を持ってもらいたいですね。だけど『スター・ウォーズ』の良いところは、もし私の作品が気に入らなくても、他に夢中になれる場所がたくさんあること。だから、好かれなくてもそれでいいとは思っています。」
脚本作業は2019年より開始されており、ヘッドランドは2020年を本作のために費やしていたそう。ちなみにヘッドランドによると、最初にアイデアを提案した時点では映画かドラマかも決まっておらず、ただキャラクターとストーリーをルーカスフィルム側にプレゼンしたとのこと。「作家として、それから二次創作を書く一人の人間として、自分の思いに忠実に」とはヘッドランドの談である。
ヘッドランドが手がけた「ロシアン・ドール:謎のタイムループ」はエミー賞で13部門ノミネート、3部門を受賞。そのほか『バチェロレッテ あの子が結婚するなんて!』(2013)や『愛とセックス』(2015)など、コメディ作品でも才覚を発揮している。
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Source: Fantastic Frankey, Deadline