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「イタリア映画祭2017」5月4日上映、マルコ・ベロッキオ監督作品『スイート・ドリームス』に注目!

2001年より毎年ゴールデンウィークに開催されている「イタリア映画祭」が、今年も「イタリア映画祭2017」として開催される。

イタリアにはネオレアリズモやマカロニ・ウエスタンなど華々しい映画の歴史があり、その歴史を受けて育った名監督が多くいる。今年で17回目の本映画祭では、イタリア映画の名匠マルコ・ベロッキオ監督を中心に、『ローマに消えた男』のロベルト・アンドー監督など、注目の監督の最新作が並んでおり、ファンなら垂涎もののラインナップとなっている。

今回は「イタリア映画祭2017」の注目作品と、マルコ・ベロッキオ監督の過去の作品をご紹介したい。

『スイート・ドリームス(仮題)』に注目

マルコ・ベロッキオ監督の最新作『スイート・ドリームス(仮題)』は、9歳で母を亡くし、その事実を受け入れられないまま大人になった主人公マッシモが、一人の女医と出会うことでやがて再生していく……という生と死を題材にした作品だ。既に『甘き人生』という邦題が決まっているようだが、この記事では「イタリア映画祭2017」公式ウェブサイト、フライヤーにあわせ『スイート・ドリームス(仮題)』のままご紹介したい。

予告では、教会の豪華絢爛な様子や部屋のインテリア、ベランダからの手持ち花火などため息の出るような美しい映像が並ぶ。綺麗に作り込まれた画面構成は、観ているだけでも心が洗われるようだ。さらに、全体を通して照明の暗いシーンが多いが、途中で写るスクリーンや、手持ち花火、フラッシュなどの光が観客の心を掴む。本編でも光を使った演出が楽しみである。

また、予告編にも写る劇中で流れている作品は、シーンから推測するにおそらく『吸血鬼ノスフェラトゥ』であろう。この作品がどのように使われているのかにも注目したい。大きなスクリーンの前に群衆がいる中でのノスフェラトゥのワンシーンに、生と死を巧みに描く監督はどのような意味を持たせているのだろうか。

「生と死」を描く監督、マルコ・ベロッキオ

マルコ・ベロッキオは2012年に発表した作品、『眠れる美女』でも死生観に焦点を当てている。2009年、実際にイタリアで起こった尊厳死の事件を基にしたこの映画では、尊厳死に向き合う3組の男女の、それぞれの死に対する考え方が細やかに表現されていた。

この『眠れる美女』でも、ベロッキオはテーマの重さに臆することなく正面から向き合っている。観客はこの作品、改めて尊厳死にまつわる法律の在り方を考えるきっかけになったのではないだろうか。植物状態の人を長く「生かす」医療についての疑問や、愛するがゆえに生死の選択を迫られる家族の苦悩が本作では描かれている。尊厳死を通して描かれる真実の愛と、強さ、命に関わる決断の重要性を観客も他人事にできなくなる作品だ。テーマこそ重いが、ぜひ多くの人に観て頂きたい。

死を作品に落とし込むことで、“死”そのものと向き合い続けているベロッキオ監督は、『スイート・ドリームス(仮題)』では母を亡くすことで茫然自失に暮らす男のどん底と再生を描いている。主人公が再起し、どのように母の死と向き合うことを決意していくのかが見所となるだろう。

出演俳優のヴァレリオ・マスタンドレアは前述のロベルト・アンドー監督作『ローマに消えた男』にも出演しており、2017年3月に公開されたばかりの『おとなの事情』ではエドアルド・レオと共演している。エドアルド・レオは、俳優でありながら監督もこなし、「イタリア映画祭2017」でも監督作品の『どうってことないさ』が上映される予定だ。同作は豪華キャストを揃えており、2016年のカンヌ国際映画祭監督週間でもオープニングを飾っている。

また今回の「イタリア映画祭2017」ではマルコ・ベロッキオ監督の過去作品『結婚演出家』『夜よ、こんにちは』もアンコール上映作品として上映される。『夜よ、こんにちは』は『スイート・ドリームス(仮題)』と同日(5月4日)、『結婚演出家』は翌日(5月5日)の上映なので合わせて鑑賞したいところだ。

「イタリア映画祭2017」
東京会場(有楽町朝日ホール)

2017年4月29日(土・祝)~5月6日(土)
http://www.asahi.com/italia/

Eyecatch Image: https://www.youtube.com/watch?v=KyZ2TSrww14

Writer

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nana

映画とロックが好きなフリーライター♡ギークな映画ボーイやクールな映画ガールとカクテル片手に話すようなことを記事にしていきたいです。好きな映画は『ロッキーホラーショー』。脳内BGMはHighway starで今日も飛ばしていきます。

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