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タランティーノ、『パルプ・フィクション』NFT販売めぐり訴えられる ─ デジタル資産めぐる著作権が争点に

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』ジャパンプレミア レッドカーペット
© THE RIVER

映画監督のクエンティン・タランティーノが、映画『パルプ・フィクション』(1994)の未公開シーンをNFTと共に販売しようとしたことについて、映画の権利を有するミラマックス社に訴訟されたことがわかった。

話題のNFTとは、デジタルコンテンツの保有権利を証明することができる「非代替性トークン」のことだ。耳慣れない方にはいまいちピンとこないものだが、デジタルコンテンツにおける「サイン入りアイテム」とか「美術品の鑑定書」と例えて説明されることも多い。

NFTについては、Twitter上で最古の投稿が292万ドルで落札されたニュースや、子供の描いた絵が100万円以上の高額で取引されたというニュースを耳にした方も多いだろう。デジタルコンテンツを商品化することができるこの技術には現在、様々な業界が注目しており、ハリウッドもその例に漏れない

クエンティン・タランティーノは他のフィルムメーカーに先駆け、自身の作品をNFTを通じて販売しようとした。『パルプ・フィクション』から7つの未公開カットを、世界最大のNFTマーケットプレイスOpenSeaでオークションに出品すると発表していたのだ。

このNFTは、タランティーノによる『パルプ・フィクション』手書きの脚本初稿ページのデジタルコピーと音声解説がついたものだという。「ファンの方に『パルプ・フィクション』の独占シーンをご提供できることにワクワクしています。シークレット・ネットワークとシークレットNFTは、ファンとアーティストを繋ぐ新世界を提供してくれています。その一員となれることに興奮しています」と、タランティーノはコメントしていた。

これに、映画会社のミラマックスがストップをかけた。タランティーノが『パルプ・フィクション』の未公開シーンを独自に販売するのは著作権違反であるとの主張と共に提訴したのである。米Deadlineが報じている。

「大切な協力者であるタランティーノの行為は、ミラマックスの最も象徴的で価値ある映画プロパティに関する契約および知的財産権を行使、保存、保護するため、この訴訟を起こすことを余儀なくさせた」と、同社は訴状にて表明している。「タランティーノの行動を放置すれば、ミラマックスが彼の事業に関与していると誤解されかねない。さらに、実際にはミラマックスが膨大な映画ライブラリに関するNFTの開発・販売できる権利を有しているのに、(タランティーノと)同様の取引を行える権利があると、他の人々に誤解させる可能性がある」。

これに対して被告側の弁護士は、タランティーノは脚本を公表する権利に関する自身の「留保権利」に基づいて行動していると主張しているという。

既存の脚本がデジタル資産化されるとき、その著作権利は誰が有することになるのか。裁判では、まだ真新しいNFTの著作権問題が争点となりそうだ。

『マトリックス』もNFTに注目

Source:Deadline,IndieWire

Writer

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中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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