「我々は金儲けのためにダメな映画を作らされている」とチャニング・テイタム ─ 「業界がひっくり返ってしまった」

『デッドプール&ウルヴァリン』(2024)でガンビット役を演じ、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)映画『アベンジャーズ/ドゥームズデイ』にも出演するチャニング・テイタムは、きわめて慎重にキャリアを築き上げてきたスターの一人だ。
代表作は『マジック・マイク』『G.I.ジョー』『21ジャンプストリート』シリーズのほか、『フォックスキャッチャー』(2014)や『ヘイトフル・エイト』(2015)『ローガン・ラッキー』(2017)など。大型フランチャイズだけでなく、優秀な映画作家とのコラボレーションにこだわってきたためだろう、ひとつのイメージに固定されない魅力がある。
しかし今、米Varietyにて、テイタムは映画界への不安を正直に吐露した。「業界全体がひっくり返ってしまいました。ストリーマーが参入し、良くも悪くも業界をかき回してしまった」という。
“ストリーマー”とは、NetflixやAmazon、Appleなどのストリーミング企業のことだ。コロナ禍以降、さまざまな大作に巨額を投じる傾向にあったが、必ずしもクオリティは安定しなかった。テイタムは、ストリーミング各社がフィルムメイカーなどに高額な報酬を前払いすることによって、「質の低い映画を作らせることになっている」と指摘する。「B級の脚本、凡庸なプログラマーによって」。
ポッドキャスト「Hot Ones」では、テイタム自身がこの発言の意図をより細やかに説明した。
「映画のオファーを受けたり、自分で映画を作ろうとしたりするときに、今は可能性が混乱していると思います。本当に良い映画を作るよりも、金儲けのためにダメな映画を作る方が理にかなっていると感じることがある。実際に映画を観てくれる人たちや、“こういう映画を観たい”と思ってくれる人、あるいは子どものころの自分のために良い映画を作ることよりもね。」
あくまでも「良い映画が観たいし、良い映画にお金を払いたい」というテイタム。業界の現状については「ひっくり返っている」と強調しながら、「この混乱が良い結果をもたらすことを心から信じています」とも語った。「ストリーマーの登場には理由があったのだと思います。(業界は)変わる必要があった、変化する必要があったのでしょう」。