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アンディ・サーキス、『ブラックパンサー』ユリシーズ・クロウ「また出るかも」 ─ 『東京コミコン2022』マーベル、DC、スター・ウォーズを語る

東京コミコン2022 アンディ・サーキス

ポップカルチャーの祭典、東京コミコンが3年ぶりにリアル開催だ。『東京コミコン2022』の初日、2022年11月25日(金)のメインステージに、俳優のアンディ・サーキスが登場した。

『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズのゴラム役や『ブラックパンサー』(2018)のユリシーズ・クロウ役で知られるアンディは、『スター・ウォーズ』シリーズのスノーク役、『THE BATMAN-ザ・バットマン-』(2022)のアルフレッド役、『猿の惑星』3部作のシーザー役など多数の話題作に出演。近年は映画監督としても活躍している。

東京コミコン2022 アンディ・サーキス

 

モーションキャプチャーを演じる秘訣

MCの杉山すぴ豊は、『ロード・オブ・ザ・リング』のTシャツ、『ザ・バットマン』の腕時計など、アンディの出演作ゆかりのグッズを身につけて登場。アンディは「はじめまして! ありがとう!」と日本語で挨拶するや、杉山のTシャツを見て、ゴラムの声真似をさっそく披露。杉山の格好に「最高だね」と笑顔だ。

『ロード・オブ・ザ・リング』のゴラム役について、アンディは「最初は声の出演だと思っていたんですが、ピーター・ジャクソン(監督)から“新しい技術を試してみないか”と説明を受けたんです。撮影とともにテクノロジーも進化していきました」と語る。「最初に演じたのが1999年で、ピーター・ジャクソンが僕の演技を撮影して、アニメーターが僕の表情をもとに(CGを)作ったんです。のちに『ロード・オブ・ザ・リング』や『キング・コング』などでフェイシャルキャプチャーが出てきました。この20年間でずいぶん進化しましたね。今ではどんな映画にも使われていますから」。

杉山が「草分け的な存在ですよね。モーションキャプチャーの役柄でアカデミー賞を取ってほしい」と言うと、アンディは満面の笑顔を浮かべた。

実写の演技とモーションキャプチャーの演技を比較して、アンディは「モーションキャプチャーは特殊技術だと思われるけれど、役柄を演じる作業はまったく同じ」と強調。「役柄の背景を作り、身体のありようを決めるのは実写と同じ。猿やクリーチャーを演じる時は、その役に合った言葉や動きを見つける必要はあるけれど」と語った。

東京コミコン2022 アンディ・サーキス

もちろん、メディアや作品によって演技のアプローチを変えることもないという。「舞台や映画、テレビ、実写とモーションキャプチャー、どれも同じです。すべては“別の誰かになる”という内面のプロセス。毎回真っ白のキャンバスがあり、ルールを決めて、演じる方法を見つけるのです。演技のプロセスを実践すると、もう同じ人間ではいられません。なぜなら精神的に、感情的に自分が変化し、役柄として存在する方法がわかるから。生活が変わりますし、常に学びだと思います」。

『ブラックパンサー』ユリシーズ・クロウ再演なるか?

マーベル、DC、『スター・ウォーズ』という3つのユニバースに参加してきたアンディは、「すばらしい物語に長年参加できて光栄」と喜んでいる。

「それぞれがまったく違うユニバースで、独特のスタイルがあります。マーベルはどの作品にもユーモアがあり、マーベル・シネマティック・ユニバースは“楽しくて、笑える”ことが大切。一方、DCはよりキャラクターがエモーショナルで、特に『ザ・バットマン』はダークな物語です。アルフレッドは、ブルース(・ウェイン)との間に精神的な繋がりのある役でした。

そして、『スター・ウォーズ』ではまったく違うふたつの役柄を演じることができました。『キャシアン・アンドー』は共感できる人間ドラマで、現実的な役どころ。スノークが登場した映画は、より巨大なスペースオペラ。光と闇、どちらのキャラクターも演じられてよかったです。」

また、『ブラックパンサー』のユリシーズ・クロウを再演する可能性については「いつも“絶対にありえない、はない(Never say never)”と言っているんです」とほほえむ。「神話的なストーリーですから、いつかまた出てくるかもしれませんよね。演じられて楽しかったですよ」

東京コミコン2022 アンディ・サーキス

なお、アンディは『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』(2022)の監督も務めた。トム・ハーディについては「彼は過去にヴェノムを演じているから、自分なりのプロセスがある。彼がヴェノムの模型をセットに置かず、頭の中で作り出そうとしていたのが面白かった」と話し、カーネイジ役のウディ・ハレルソンについては「役柄を自分のものにしようと、声の表現に力を入れていた。フィジカル面でお手伝いしました」と振り返った。

今回が4度目の来日となるアンディは、日本の漫画やアニメ、美術を愛し、新旧のテクノロジーにも関心があるという。「日本のストーリーテリングは先進的。(来日では)いつも短い期間しかいられませんが、京都にも行きたいし、新幹線にも乗りたい。次こそはと思っています」。日本のファンについても、「本当に素晴らしいです。みなさんがストーリーを愛してくれて、私たちと関わってくださることを嬉しく思います。今日のランチの時間も、“東京に来られてよかったね、素晴らしいファンの人たちだね”と話していたんですよ」と印象を語った。

ところでアンディは、最新作となった「キャシアン・アンドー」シーズン1の最終話が配信されたばかり。演じたキノ役の名台詞「道はひとつ!(One way out!)を求められると、一瞬にして劇中さながらの威厳をまとい、片腕を突き上げて、“One way out!”と3回叫んだ。会場から喝采が飛ぶと、「みなさんも一緒に!」と呼びかける。いよいよ客席も一体となり、“One Way Out!”の声が会場に響いた。

東京コミコン2022 アンディ・サーキス

東京コミコン2022 アンディ・サーキス

最後に、アンディは「多くの方々に愛され、これからも愛されていくストーリーテリングに参加できたことを、俳優として心から幸せに思います。素晴らしい観客のみなさんに感謝します。またすぐにお会いしましょう」とメッセージを送った。

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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