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『ダークナイト』なぜ現在も愛されるのか、トゥーフェイス役俳優が分析 ─ 脚本の第一印象は「まるで文学」

ダークナイト
© Warner Bros. Entertainment, Inc.

クリストファー・ノーラン監督による『ダークナイト』(2008)は、公開から12年を経た今も“ヒーロー映画の歴史を変えた一本”として愛され続ける傑作だ。いまやヒーロー映画は多様化し、ジャンルとしても隆盛を極めたが、本作を「ベストワン」に挙げる声も多い。

ハービー・デント/トゥーフェイス役を演じたアーロン・エッカートは、『ダークナイト』がこれほどの支持を得た理由を分析している。米The Hollywood Reporterでは、脚本を読んで驚かされたというエピソードが語られているのだ。

「26ページを半分くらい読んだくらいだったと思うんですが、“こんなに主役級の人物を出してきて大丈夫なのか?”と。ゴードンにジョーカー、バットマン、レイチェルといったキャラクターの全員に同じくらいの役割がある。しかも、すさまじく良く書けているんです。(最初は)この映画にハービー・デントが出てきて、自分が演じるなんて信じられなかったですよ。クリスには感謝しています。読み通した後に“うん、いいね”って言える脚本はあるけれど、『ダークナイト』は小説のようで厚みがある。まるで文学を読んでいるようでした。」

さらにアーロンが賛辞を贈っているのは、クリストファー&ジョナサン・ノーランが描いた「犯罪組織が牛耳る、抑圧された街」としてのゴッサムシティのありようだ。

「(人々は)外を出歩けないし、誰もが安全を脅かされていて、しかも市民を守るはずの人々も堕落している。彼らは悪の一部で、誰も信頼できない。これって、よく知っているような話だと思いませんか? そこで人々は、自由と解放のスーパーヒーローを求めているわけです。時代を反映することは、素晴らしい物語や映画にとどまらず、映画や芸術にとって非常に大切なこと。クリス(ノーラン)はそれを成功させた。だから(『ダークナイト』は)非常に重要な映画なんです。もちろん、ヒース(・レジャー)の演技も素晴らしいですしね。」

ダークナイト
(右)アーロン・エッカート © 2008 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

約30年のキャリアで大小さまざまな作品に出演してきたアーロンは、「スタジオ映画でとても良い経験ができた」例として本作を挙げ、「高予算のインディペンデント映画」だったと形容。そして、「スタジオ映画とインディペンデント映画の違いは、そこに作家がいるかどうか」だと持論を語っている。

「映画のメカニズムを操る人がいれば、僕にとってはインディペンデント映画。プロデューサーやスタジオの人間がやってきて、シーンの指示を出したり、何かを言ったりしたら、僕にとってはスタジオ映画です。それは企業の映画で、そんなに楽しくないもの。僕は監督を“独裁者”と呼びたくて、善意の独裁者であれ、悪意の独裁者であれ、彼らはそういう存在であるべきだと思う。僕が監督に“こうします、ああします”と言うと、“いいぞ、やれ”と言われて、誰も疑問を言ったり議論したりしない。すると良い日になるものなんです。」

ちなみに撮影現場では、ノーランがすべてをコントロールしており、キャストもスタッフも常時セットにいて、誰もトレーラー(控え室)に帰らないところも気に入ったそう。『ダークナイト』という作品について、アーロンは「本当に特別な映画です。参加できて光栄でした」と語っている。

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Source: The Hollywood Reporter

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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