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クリストファー・ノーラン、『TENET テネット』公開後のハリウッドに苦言 ─ コロナ禍対応の「言い訳に使われる」

TENET テネット
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コロナ禍において『TENET テネット』を公開したクリストファー・ノーラン監督が、“その後”のハリウッドに対して苦言を呈している。

2020年8月26日に世界順次公開となった本作は、米国興行収入5,380万ドル、海外興行収入2億9,330万ドル、世界累計興行収入3億4,710万ドルを記録。海外では秀でた成績を示したが、ニューヨークの映画館が閉館されたままの米国では苦戦し、これがハリウッドのスタジオ各社に大作公開を渋らせることになった。事実、『TENET テネット』以降に公開予定だった『ブラック・ウィドウ』『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』などは軒並み2021年への公開延期が決定したのである。

Los Angeles Timesにて、ノーランは「『TENET テネット』が3億5,000万ドル近い成績を挙げていることに感激しています」と述べつつ、大手スタジオの対応には厳しい視線を向けた。

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「私の心配は、我々の劇場公開から、いくつものスタジオが誤った結論を導き出していること。この映画が成功したか、必要な収益を生み出せるかよりもそちらの方が心配です。彼らは(『TENET テネット』が)コロナ以前の期待に沿えなかったことばかりに注目して、そのことを、パンデミックのさなか、映画館にひたすら損をさせていることの言い訳として使い始める。勝負に出ながら順応したり、ビジネスを再構築したりするのではなく、そちらの方向に進むのです。」

コロナ禍の映画業界について、ノーランは早くから潮流を読みながら自身のスタンスを明らかにしている。今回のインタビューでは「非常に語りづらい問題」だと述べながら、業界や観客、クリエイターなどすべての人々に現状への順応が必要だと語った。

「私にとっては、“今の新しい現実とはいかなるものか”ということの方が大切。[中略]長い目で見れば、映画を観ることとは、レストランに行くことなどと同じで生活の一部。けれども今は、誰もが新しい現実に対応しなければいけません。」

映画『TENET テネット』は2020年9月18日(金)より全国公開中。

Source: Los Angeles Times

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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