『TENET テネット』コロナ禍の興行健闘、ワーナーは「満足」 ─ 公開に踏み切った背景、今後の展望

クリストファー・ノーラン監督の最新作『TENET テネット』は、新型コロナウイルスの甚大なダメージを受けた映画業界・映画館業界を甦らせるべく送り出された一作だ。アメリカでは業界の中心とされるニューヨーク市の映画館が動き出さなかったこともあり、興行収入5,250万ドルと苦戦しているが、海外では優れた成績を示し、累計興行収入は3億4,160万ドルを記録(2020年10月29日現在)。コロナ禍において、まぎれもない健闘を示している。
『TENET テネット』の興行的な経過について、ワーナー・ブラザースの会長兼CEOであるアン・サーノフ氏は「とても満足しています」と米Varietyにて語った。ノーラン作品がアメリカ国内だけでなく海外でヒットする傾向にあることから、ワーナー側は『TENET テネット』が海外で秀でた成果を挙げることを事前に予測していたとのこと。2020年の夏、海外の映画館が営業を随時再開する中で、「この素晴らしい映画は大スクリーンで観られるのがふさわしい」との判断が下されたのだ。
実際のところ、ワーナーは『TENET テネット』の公開を見送り、様子を見るという選択もできた。しかし、米国の映画館は営業を再開するも定員制限や新作不足などで厳しい状況にあり、スタジオとの協働を望んでいたとのこと。サーノフ氏は「定員が3分の1になるのなら、多くの映画館が上映回数を3倍にしてくれました。もうすぐ3億5,000万ドルという数字は、コロナ禍ではとてもいい成績だと思います」と述べている。
また今回、サーノフ氏は『TENET テネット』の米国興行について「短距離走ではなく長距離走」だと改めて強調。「コロナ禍以前と同じハードルと目標を設定しない」という前提のもと、あらかじめマーケティングの予算を使い切らないという選択を取ったと述べている。現在も新型コロナ禍をめぐる情勢は世界的に予断を許さないが、サーノフ氏は今後の状況に期待を託しつつ、「それでも満足していますし、もちろん映画館のみなさんにも感謝しています」と述べた。「これから映画館にどれだけの観客が戻ってきてくれるのか、それが大切なのです」。
映画『TENET テネット』は2020年9月18日(金)より全国公開中。
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Sources: Variety, Comicbook.com