『トランスフォーマー/リベンジ』ヒロイン女優がシリーズを去った理由 ― 監督を罵倒しスピルバーグが激怒、8年後の猛省

映画『トランスフォーマー/リベンジ』(2009)は、前作『トランスフォーマー』(2007)に始まった本シリーズで最も不運な作品だと言わざるをえない。脚本家組合のストライキに端を発した製作トラブルだけでなく、この作品を最後に、ヒロインのミカエラ・ベインズ役を演じていたミーガン・フォックスがシリーズを去ったのである。

『トランスフォーマー』シリーズで大作映画のヒロインというポジションを射止めたミーガンは、なぜシリーズを去ることになったのか? “お騒がせ女優”として知られていた彼女の発言やマイケル・ベイ監督らの反応、そして2017年秋の猛省を振り返っていきたい。

「ヒトラー発言」でスピルバーグが激怒説

はじめに断っておかねばならないのは、ミーガンは決して『トランスフォーマー』を自主的に去ったわけではないということである。大きな問題となったのは、2009年9月、『トランスフォーマー/リベンジ』公開後に英Wonderland Magazine誌に掲載されたインタビューだった。
当時、過激な言動で注目されていた23歳のミーガンに、同誌は「マイケル・ベイ監督との仕事で最高だったこと、最低だったことは何ですか?」と尋ねている。どう見ても問題発言を引き出す気満々の質問に、ミーガンは全力で乗ってしまったのである。

「彼(マイケル)はナポレオンみたいな人で、イカれた、ヤバいヤツだって悪評を立てたがってます。現場ではヒトラーみたいになりたがってるし、実際にそうなってる。だから仕事中は悪夢みたい。でも現場を出て監督モードじゃなくなったら、私は彼の性格をほんとに楽しんでる。だって、マジでダサいんですよ。絶望的にダサい。人と関わる能力がゼロ。かわいいなと思って見てますよ。実際は弱いしヘコみやすいんですけど、現場では暴君なんです。『トランスフォーマー』の撮影中、シャイア(・ラブーフ)と私は死にかかってますもん。保険で許されないようなヤバいことをやらせるんですよ。」

さらに「オプティマス・プライムとマイケル・ベイが戦ったらどっちが勝つと思います?」という謎の質問をぶつけられると、ミーガンは「オプティマス・プライム」と答え、「だって彼(マイケル)は実生活で戦ったことないでしょ。あったとしても、すぐ地面に倒れて丸まってたと思う。パンチしたこともないはず」と回答。自分をヒロインに抜擢した監督に対して、一体どんな恨みがあったというんだ……。

マイケル・ベイ監督 U.S. Air Force Photo/Tech. Sgt. Larry A. Simmons https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Michael_Bay_060530-F-4692S-004.jpg

それから約2年後の2011年6月、米GQ誌では、ミーガンが第3作『トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン』(2011)を降板した経緯について、マイケル監督と脚本家のアーレン・クルーガーが明かしていた。降板を決めたのは公の媒体で罵倒された監督本人ではなく、製作総指揮のスティーヴン・スピルバーグだったというのだ。

アーレン:ミーガンは(第3作の)リハーサルには来ていたんです。でも(映画に)出たがっていない感じで。「やりたい」とは言ってましたけど、そういう演技じゃなかったですよね。

マイケル:彼女はBlackBerry(編注:携帯電話)で別の世界にいましたよ。みんな集中しなきゃいけなかった。それから“ヒトラー発言”ですね。スティーヴン(・スピルバーグ)が「今すぐクビにしろ」と言ったんです。[中略]
僕は傷ついてません、ミーガンはそういう人だとわかってるので。彼女はかまってほしいんですよ。ただし彼女は間違ってしまった。ミーガンには気の毒なことをしましたね。(リハーサルで)12時間も働かせて、時間通りに来てもらって申し訳なかった。映画の世界が常に温かくて優しいものとは限らないですよ。

ミーガンの「ヒトラー発言」が、ユダヤ系アメリカ人であるスティーヴンの逆鱗に触れたのは至極当然…なのだが、のちにスティーヴンは、ミーガンの降板は自身の判断ではないと主張している。したがって真相は藪の中だが、いずれにせよミーガンの発言と態度は、すでに『トランスフォーマー』への続投を不可能にするには十分だったのだろう。

 

ミーガン・フォックス、8年後の猛反省

『トランスフォーマー』シリーズの降板後、ミーガンは『ジョナ・ヘックス』(2010)や『パッション・プレイ』(2010)、『40歳からの家族ケーカク』(2012)などに出演。マイケル監督とはのちに和解したのだろうか、マイケルがプロデュースを務めた『ミュータント・タートルズ』(2014)や『ミュータント・ニンジャ・タートルズ:影<シャドウズ>』(2016)で大作映画にカムバックしている。しかし残念ながら、決して出演作に恵まれているとは言いがたい。

2017年10月、英COSMOPOLITAN誌に登場したミーガンは、“ヒトラー発言”を8年越しで振り返り、反省の意を表している。

「(2009年当時は)私のキャリアで確実に最悪の時期でした。でもあの出来事がなければ、私はあれほど早く学習してはいなかったと思います。私がすべきことは謝罪だけだったのに、私はそれを拒否した。23歳の頃は本当に自分本位で、そうすることが人々のためになると思えなかったんです。私はジャンヌ・ダルクだって本気で思ってました。
(『トランスフォーマー』降板で)私だけではなく大勢の人が傷ついた。でも、あのつらさが私を精神的に大きく、素早く成長させてくれたんです。自業自得だったと気づいてからは、あのことはかけがえのない経験だったと思っています。」

転んでもただでは起きないミーガン・フォックスは、2018年、ジェームズ・フランコが主演・監督を務めた映画『Zeroville(原題、未公開)』に出演。古代の文化や人々に迫るドキュメンタリー番組『Mysteries and Myths with Megan Fox(原題)』では出演と製作を兼任するなど新境地へ進出している。

Sources: Wonderland, GQ, COSMOPOLITAN
Eyecatch Image: Photo by nicolas genin

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THE RIVER編集部。わかりやすいことはそのままに、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすくお伝えしたいと思っています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp へ。

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