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【ネタバレ】『トランスフォーマー/ビースト覚醒』監督が語る「幻のシーン」「衝撃展開の真実」「続編への意欲」【ロングインタビュー】

トランスフォーマー/ビースト覚醒
©2023 PARAMOUNT PICTURES. HASBRO, TRANSFORMERS AND ALL RELATED CHARACTERS ARE TRADEMARKS OF HASBRO.©2023 HASBRO

『トランスフォーマー/ビースト覚醒』が、ついに日本公開となった。シリーズ心機一転となる本作で監督を務めたのは、『クリード 炎の宿敵』(2018)で評判を集めた若き新鋭、スティーブン・ケイプル・Jr.だ。

THE RIVERでは、米公開前にもスティーブン監督にインタビューを行ったが、この度2度目の再取材を敢行。映画本編のネタバレについてや、本編からはカットされてしまった幻の名シーン、そして続編への意欲についてもたっぷり聞くことができた。

トランスフォーマー/ビースト覚醒
©2023 PARAMOUNT PICTURES. HASBRO, TRANSFORMERS AND ALL RELATED CHARACTERS ARE TRADEMARKS OF HASBRO.©2023 HASBRO

『トランスフォーマー/ビースト覚醒』スティーブン・ケイプル・Jr.監督 単独インタビュー

──二度目のインタビュー、ありがとうございます。お元気でしたか?そちらでは映画公開も無事迎えて、ようやく色々と落ち着いてきた頃ではないですか?休暇を取ろうとしている?それともまだ忙しい?

ハッハッハ(笑)。おかげさまで。『トランスフォーマー』本作が公開された高揚感が落ち着くのに2週間かかりましたよ。しばらくの間、興奮で眠れませんでしたね。まさにちょうど今日、ようやく休めるかなという感じ。休暇ではないけれど、自宅で家族や子どもと過ごしています。そう、あれから娘が生まれたんですよ。だから、娘と一緒に過ごすんだ。

──おめでとうございます。そして本作はそちらでの興収記録も素晴らしいようですね。観客からの反応はどうですか?

素晴らしい反応をたくさん頂いていますし、興収記録も素晴らしい。良い調子です。みんながこの映画を観に出掛けているということが嬉しい。スタジオも喜んでいますよ。もちろん僕も、とても幸せです。

でも一番大事だと思うのは、ファンや観客、この映画を観にいく人たちが、僕たちがリスクを取って選んだ映画の方向性に興奮してくれているということ。ファンや観客の信頼を取り戻しつつある気がしています。今後の物語の行く末について、みんな気にしてくれているようでね。

トランスフォーマー/ビースト覚醒
©2023 PARAMOUNT PICTURES. HASBRO, TRANSFORMERS AND ALL RELATED CHARACTERS ARE TRADEMARKS OF HASBRO.©2023 HASBRO

──前回のインタビュー時、僕はまだ作品を未見でしたが、あれから作品を鑑賞しました。素晴らしい作品に仕上がりましたね!前回、僕たちは同い年で、お互い『トランスフォーマー』や『ビーストウォーズ』を観て育ったよね、という話をしましたね。ビーストウォーズのオモチャで遊んでいた話とか。僕たちは小さい頃から変わらず、今もこうしてトランスフォーマーやビーストウォーズの話を続けている。これってすごいことだと思います。だって、想像してみてくださいよ。今の子ども達が『ビースト覚醒』を鑑賞して、10年か20年後に、「小さい頃に親に『ビースト覚醒』っていう映画に連れて行ってもらってさ」って話すんですよ。「オプティマスプライマルのオモチャを買ってもらって、遊んでたんだ。いい思い出だよ」って。そういうことが、今後10年、20年のうちに起こる。そうやって、あなたはこの神話を紡いだわけですよ。

そうなんです。前回あなたと話したとき、僕はそういうことを全く考えていませんでした。ただ単に、『トランスフォーマー』って良いよね、僕らは『トランフォーマー』を観て育ったもんね、という話を一緒にしましたよね。

でもね、まさに先週の出来事です。今作を見てくれた友人家族に会った時に、「子どもを連れて観に行ったよ」って言われたんです。「7歳で、この子が映画館で映画を観るのはこれが初めてなんだよ」って。マジで、あなたの言うとおりです。7歳ってことは、『バンブルビー』公開当時は3歳ってことです。ということは、『バンブルビー』はまだ観ていないかもしれない。つまり、本作がその子にとって初めての『トランスフォーマー』かもしれないってことです。きっと、オプティマスプライムやミラージュのことを気に入ってくれたかな。「ミラージュ、ミラージュ!」って。

確かに僕は、子どもたちもこの映画を観るんだよなってことは考えていなかったし、これが子どもたちにとって初の『トランスフォーマー』になるかもしれないってことも、考えていなかった。すごいことだなって、実感していますよ。こんな風に、この映画が子どもたちの人生の一部に刻まれることなんて、考えてもいなかったんです。すごく嬉しかったですね、その子が映画を気に入ってくれたみたいで。

トランスフォーマー/ビースト覚醒
©2023 PARAMOUNT PICTURES. HASBRO, TRANSFORMERS AND ALL RELATED CHARACTERS ARE TRADEMARKS OF HASBRO.©2023 HASBRO

──心温まるお話ですね。ところで、オリジナルの「ビーストウォーズ」でのビースト戦士たちには、惑星のエネルギーが強すぎるために、3分間しかロボットに変身できないという設定があったと思います。この映画でそういった説明はありませんでしたが、彼らは基本的に動物の姿でいました。これは同じ理由によるものでしょうか?それとも、単に彼らが動物の姿でいることを好むからでしょうか?

僕が行ったのは、このユニバースを拡張すること。彼らの惑星から映画を始めたのは、そのためなんです。彼らは母星でも動物の姿でいたでしょう。実は日本のアニメやコミックで学んだんですが、とある惑星では、土着のロボットが存在するんですよね。僕はそれが気に入って、サイバトロン星ではなく他の惑星を登場させたんです。シリーズを振り返れば、このユニバースにはそれぞれのトランスフォーマーが暮らす惑星がいくつもある。そういうのがクールだなと思って、サイバトロン星から地球にやってくることよりも、そっちに傾倒していました。彼らにとって地球の太陽光や環境は耐えられないものなので、保護するものを身に纏っているんです。

いろいろな惑星があって、いろいろな種類のロボットが存在するということです。本作でマクシマルが地球に長く滞在できているのは、ここが当時まだ原始的でジャングルが多く、それから人類や文明が生まれたからなんです。ただ、そこはあまり深掘りしすぎないようにしました。表面的なことで十分だったからです。

トランスフォーマー/ビースト覚醒
©2023 PARAMOUNT PICTURES. HASBRO, TRANSFORMERS AND ALL RELATED CHARACTERS ARE TRADEMARKS OF HASBRO.©2023 HASBRO

──前回お話しした時に、アニメ「ビーストウォーズ」をもう一度見直してデザインの参考にしたと言っていましたね。完成した映画を見て、彼らのデザインをすごく気に入りましたよ。特にトランスフォーム時のモーションがよかったです。マイケル・ベイ版もカッコいいですが、時々、複雑すぎると言われることもありましたね。アニメとマイケル・ベイ版、両方のいい所どりを目指したのですか?

そうですね。僕はシンプルの方が良いと思って。そもそものロボットのデザインもややこしいからね。もしかしたら「シンプルすぎる」という意見も出てくるかもしれないけれど、子どもが見ても吸収して消化できるかな、ってね。

それに、マイケル・ベイの1作目にはすごくカッコいいトランスフォームシーンがあった。スローモーションで、ピースの一つ一つがトランスフォームしていくのが見て取れる所です。車のデザインや、変形シーンの設計にはかなり時間を費やしましたよ。細かなピースの一つ一つも見えるようにしました。でも、ロボットフォームのデザインは、マイケル・ベイ版よりも少しシンプルにしています。だけど車のパーツは削ぎ落とさず、ロボットフォーム時にも残って見えるようにしました。

次にマクシマルについてですが、新しいトランスフォームの見せ方が求められるので、ずっと難しかったですよ。だから、変形シーンは劇中で一回だけ(笑)。それだけ難しかったんです。動物らしいテクスチャもありながらトランスフォームさせて、人型のロボットの形を再現したんです。(ゴリラの)プライマルはもともと二本腕・二本脚だったので人型に近く、まだやりやすかった。でもチーターとライノックスは四脚なので、かなり難しかった。二本脚で立たせて、支えて、というように、変形モーションが多くなる。そこを、素早く、シンプルに描きました。

──確かに、一歩間違えたら不気味なことになりそうですよね。

そうなんです(笑)。トランスフォームにはいくつかの段階があって、例えば、何もない塊のようなものが見えて、突然そこから腕が現れるところがある。妙な見え方にならないように工夫しましたが、それでもやっぱり、トランスフォームシーンのどこかで一時停止すると、変に見えるフレームが存在すると思います。だから、素早くトランスフォームさせることにした。パーツの動きには、かなりの時間を費やしました。内部構造も色々あるし、消さなくちゃいけないパーツもある。全てのエンジンがそこにあるわけではないし、全ての車のパーツがあるわけでもないのです。パネルや外装に集中して、内装はあまり重視しすぎない。でも、キャラクターの周りを回転しながらトランスフォームするのはたくさんやりましたよ。

大事なのは、アングルと、トランスフォームの何を捉えるかです。真正面から描くより、上からや、横からのアングルの方が良い感じに見える。それぞれに最適なアングルを割り出していったんです。特にマクシマルは、視覚チームとともに8〜9アングルを試して、そこからベストアングルを見つけていきました。予告編映像でも見られるものです。

次のページには、『トランスフォーマー/ビースト覚醒』のネタバレが含まれています。

Writer

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中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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