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『トランスフォーマー/ビースト覚醒』では「あることを仕掛けた」と監督 ─ 「まさかアレをやるのか?とファンは思うだろうが、答えはイエスだ」【単独インタビュー】

『トランスフォーマー/ビースト覚醒』
©2023 PARAMOUNT PICTURES. HASBRO, TRANSFORMERS AND ALL RELATED CHARACTERS ARE TRADEMARKS OF HASBRO.©2023 HASBRO

『トランスフォーマー』シリーズ最新作『トランスフォーマー/ビースト覚醒』では、90年代のアニメ「ビーストウォーズ 超生命体トランスフォーマー」のビースト戦士が初実写参戦を果たす他、シリーズの新たな始まりとしての見どころもある。THE RIVERでは、この重要作品の監督を任されたスティーブン・ケイプル・Jr.に単独インタビューで詳しく話を聞いた。

1988年生まれ(本人曰く、Wikipediaに2月生まれとあるのは誤りで、実際は5月なのだそう)。『クリード 炎の宿敵』(2018)の抜擢と成功でブレイク。『トランスフォーマー』シリーズは子供の頃から大好きだといい、特に「ビーストウォーズ 超生命体トランスフォーマー」は大ファン。あの革新的なCGアニメについて放送当時、学校の友達と「他のアニメとは全然違う」と盛り上がっていたそうだ。今もNetflixで配信されている最新のアニメシリーズを「兄弟姉妹や従兄弟と世代を超えて楽しんでいる」という。好きなキャラクターはチーター(チータス)だそうだ。

「ビーストウォーズ」は、アメリカと日本での放映時期が1年違うのだが(米1996-1997、日1997-1998)、筆者とスティーブンは同い年ということで、ほぼほぼ同時期にリアルタイムを共有。お互い、小学生当時にどれだけ「ビーストウォーズ」に夢中になっていたかを共有しあってから、フレンドリーなインタビューが行われた。本作やシリーズの今後のヒントとなるコメントも飛び出すので、お読み逃しなくお楽しみいただきたい。

『トランスフォーマー/ビースト覚醒』スティーブン・ケイプル・Jr.監督 単独インタビュー

──本作での監督就任が決まってから、アニメ「ビーストウォーズ」は観直しましたか?

はい。ストーリーの大枠は覚えていたけれど、起用が決まってから気持ちを入れ直そうと思って。シーズン1を観直したのと、最終話もまた観たかな。マキシマル(ビースト戦士)をどう描くか、参考にしたくて。

特に参考にしたのはデザインです。どうやってアニメ版のデザインを再現しようかと。トランスフォームの仕方とか、変形後の姿はどうなっていたかとか、どうやればオマージュを捧げられるかってね。もちろん、今作ならではの新たな要素も取り入れたかった。だから、ストーリーというより、(デザインの)テクニカルな部分に注目して観直しました。

──本作では『ターミネーター2』など90年代のSF映画に影響を受けたと話していましたね。

そうそう!(笑)『ターミネーター2』は僕にとって傑作。小さい頃に観ました。アクションもすごいし、ストーリーもすごいし、ロボットと人間との関係性も最高。それを今作でも参考にしたいと思って。

たとえば『ターミネーター2』のジョン・コナーは、当初はアーノルド・シュワルツェネッガーのキャラクターのことをそこまで好きじゃなくて、ちょっと摩擦がある。その要素を、少し本作にも投影したんです。つまりオプティマスプライムは、アンソニー・ラモスが演じる主人公ドミニクと最初から親友関係ではない。相手はエイリアンで、一体何者なんだと警戒しているんです。

オプティマスプライムの方も、我々が知るプライムとして登場しない。人間や地球を守ろうとしているわけではなくて、惑星サイバトロンに帰ろうとしている状態なんです。本作時点の彼は、まだ地球のことをよくわかっていない。地に足のついた始まり方で、「これって『ターミネーター2』っぽくね?」と思ったんです、(笑)。

『ターミネーター2』は悪役も怖かったですよね。小さい頃に観た時、悪役にも魅了されたことを覚えています。その感覚を『ビースト覚醒』でも楽しんでもらえると思います。

──『トランスフォーマー』の映画シリーズはこれまで、LINKIN PARKのようなロックに結びついていました。それも大好きなのですが、一方で『クリード 炎の宿敵』でのあなたのヒップホップの使い方もめちゃくちゃカッコよかった。『ビースト覚醒』ではどんな音楽を使いましたか?

本作ではちょっと趣旨を変えて、1990年代のセンスを取り入れました。たとえばウータン・クランやア・トライブ・コールド・クエスト、SWV、LL・クール・J、Nasとか、そういう懐かしいやつを。だってニューヨークのブルックリンを描くんだから、ビギー・スモールズ(=ノトーリアス・B .I.G.)あたりは外せないでしょ。『トランスフォーマー』シリーズでは見たことのない感じになっています。

それからマキシマルのテーマソングも、かなりカッコいいものに仕上がりました。彼らの出自を反映して、ペルーのジャングルらしい曲になっています。

さらに、8ビットのシンセの音も入っています。古いアニメのノスタルジーが大好きなんです。映画のスコアに1987年の「トランスフォーマー」のアニメの音楽センスを取り入れたらどうなるだろうと思って。昔のTVシリーズと、ベイ・バース(マイケル・ベイのシリーズ)をマッシュアップさせた感じです。きっとスコアは気に入ってもらえると思いますよ。ノスタルジーもありつつ、これまでとは違う、カッコいいものになっています。

そして、本作のオリジナル曲も一つあります。とあるアーティストによるものなのですが、サプライズなのでまだ言えません。劇中のクライマックスでかかるんですけど……、あの伝説のラッパーの曲なんです!

──おぉ、ヒップホップを取り入れた初の『トランスフォーマー』映画になりそうですね。

その通りです!90年代といえばラッパーたちが活躍を始めた時代で、カルチャー的にも転換期だった。当時の日本でのヒップホップ事情はどうだったんだろう?話題が普及し始めた頃かな?

──そうですね、日本でもビギーや2Pacの話題が知られているので、きっと日本でも通ると思いますよ!

なるほど!

Writer

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中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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