『トップガン マーヴェリック』なぜメグ・ライアンは復帰しなかったのか ─ 「物語上の理由」と監督

トム・クルーズ主演『トップガン マーヴェリック』(2022)は、1986年『トップガン』の36年ぶりとなる続編映画だ。続投したのは、マーヴェリック役のトムと、アイスマン役のヴァル・キルマーの2人だけ。ヒロインだったチャーリー役のケリー・マクギリス、マーヴェリックの盟友であるグースの妻・キャロルを演じたメグ・ライアンも登場しなかった。
本作のキーパーソンとなったのは、グースとキャロルの息子・ルースター(マイルズ・テラー)。それにもかかわらず、なぜ母親のキャロルは姿を見せなかったのか?
この記事には、映画『トップガン マーヴェリック』のネタバレが含まれています。

早くも公開から約2年が経とうとする今、『トップガン マーヴェリック』で監督を務めたジョセフ・コシンスキーが、本作にメグ・ライアンが復帰しなかった理由をポッドキャスト「Happy Sad Confused」にて明かした。
「彼女(ライアン)とはお仕事をしたいと思っていましたが、キャロルを登場させられなかったのは、ルースターとマーヴェリック、彼ら両方の物語上の理由でした。キャロルの願いのひとつは、ルースターが空を飛ばないこと。(脚本開発のなかで)それがわかってからは、彼女がいたら物語が複雑になってしまうと思ったのです。難しい決断を下さなければいけませんでした。」
ルースターの父であり、マーヴェリックの相棒でもあったグースは、訓練中の事故で命を落とした。マーヴェリックはキャロルに対し、息子が同じ目に遭わないよう、パイロットにはさせないと約束していたのである。わずかな台詞ながら、そこではキャロルもすでにこの世を去ったことが明かされる。その判断は、物語の核心をマーヴェリックとルースターに絞り込むためのものだったのだ。
以前、プロデューサーのジェリー・ブラッカイマーはTHE RIVERの取材にて、ライアンの不在は「ストーリーが変わり、彼女の出番がなかったから」「若いパイロットたちに焦点を当てたから」だと説明していた。また、コシンスキー監督も米CinemaBlendにて「彼女たち(チャーリーとキャロル)の精神は、ある意味でこの映画にも残っています。2人とも(アーカイブ映像で)少し登場しますから。ただ、僕たちはマーヴェリックの新たな人生の一章を描きたかった。常に振り返ることはしたくなかったのです」と述べていたのだ。

キャロルの“その後”が台詞で説明されるだけにとどまったのに対し、前作では台詞で語られるのみだったが、続編では晴れてヒロインとなったのがペニー・ベンジャミン(ジェニファー・コネリー)である。バーでのピアノ演奏シーンで、キャロルはマーヴェリックのプレイボーイぶりを語り、ペニーを「司令官の娘」と呼ぶ(日本語字幕ではペニーの名は省略された)。コシンスキー監督によると、「このたった一行の台詞が、新たなキャラクターの見事な出発点になった」そうだ。
2024年1月には、『トップガン マーヴェリック』に続くシリーズ第3作の企画が始動していることが報じられ、トムのほか、ルースター役のマイルズ・テラー、ハングマン役のグレン・パウエルも続投する見込み。コシンスキー監督と脚本家のアーレン・クルーガーも復帰する模様だ。残念ながらキャロルはもうこの世にいない設定なので、再登場は限りなく難しそうだが、ペニーは引き続きヒロインとして登場するのかどうか。そちらの続報にも注目しよう。
▼ 『トップガン』の記事
【インタビュー】『F1/エフワン』実際のサーキットで「夜中に15分だけ撮影許された」 ─ 「この映画を楽しむのにF1知識は不要」ジョセフ・コシンスキー監督に訊いた 『トップガン マーヴェリック』監督が語る 『トップガン マーヴェリック2』あらすじ一部判明 ─ マーヴェリックが実存危機に陥り「小さな存在」に?「最後に、もう一度だけ」 「小さな存在」に? 『トップガン マーヴェリック』続編、壮大かつ野心的なアイデアあり ─ すでに約1年間の脚本作業が進行中 順調そうです 「トム・クルーズは本物の限界までやるから怖いんですよ」もし『F1/エフワン』がトム・クルーズ主演だったら 「クラッシュしていたと思う」 「トムは限界までやるから」 『トップガン マーヴェリック』続編、すでに構想固まっている ─ 「難しいのはアクションじゃない、感情面だ」 「一度話し合って決まった」
Source: Happy Sad Confused, CinemaBlend