【ネタバレ】『ザ・フラッシュ』ラスト解説 ─ 衝撃サプライズなぜ実現?全3バージョン製作された結末の全容

この記事には、『ザ・フラッシュ』の重大なネタバレが含まれています。

『ザ・フラッシュ』ラストシーンに登場した人物
時空を超え、過去を書き換えてしまったフラッシュ/バリー・アレン(エズラ・ミラー)は、18歳の若き自分自身と、別バージョンのバットマン/ブルース・ウェイン(マイケル・キートン)、クラーク・ケントのいとこだというスーパーガール/カーラ・ゾー=エル(サッシャ・カジェ)と出会い、ゾッド将軍(マイケル・シャノン)の侵略を食い止めようとする。即席チームで協力して敵軍と戦うが、スーパーガールもバットマンも倒され、敗北を喫する。

そこで2人は、過去に戻ってどうにか戦局を変えようとする。しかし、スーパーガールやバットマンが別の行動を取っても、結局は殉死してしまうという運命は変わることがない。これこそが、ブルースが言っていた、時間軸の不可避な交差点だったのだ。
しかし18歳のバリーは諦めるわけにはいかない。時空を超えるクロノボウルに再び戻り、何度も戦いをやり直す。その度にバリーは負傷し、身体に破片物が蓄積されていく。
そこに現れたのは、時折クロノボウルの狭間で不気味な姿を見せていたダーク・フラッシュ。その正体は、クロノボウルで悠久の時を過ごしながら歴史修正を試みてきた、未来のバリー・アレン自身だった。
ダーク・フラッシュが時間軸に甚大な影響を及ぼしたことで、別のユニバースにも異変が生じていた。クリストファー・リーヴ版スーパーマンや、ヘレン・スレイター版スーパーガールの世界、ジョージ・リーヴス版スーパーマン、ニコラス・ケイジ版スーパーマン、アダム・ウェスト版バットマン、テディ・シアーズ版フラッシュの世界が接近すると、次々と衝突しようとする。そこにダークフラッシュがバリーを刺そうと迫ったところ、過去のバリーが犠牲となるため身体を投げ出す。過去の自分自身の存在を殺したことで、ダーク・フラッシュは歴史の矛盾となって消えていくのだった。
母を死の事実から救うことはできないと悟ったバリーは、その運命のきっかけとなった「母がトマト缶を買い忘れた時間」のスーパーマーケットに戻り、一度は母のショッピングカートへ入れておいたトマト缶を棚に戻そうとする。時空を超えて、愛する母と最後の言葉を交わすと、トマト缶をそっと棚に返すバリー。そこであることに気づいたバリーが、とある行動を取ったことが示唆される。トマト缶の棚の位置を変えたのだ。
現在の時間に戻ったバリーは、すっかり遅刻して父の裁判に出廷。それまで映像不良で証拠不十分とされたスーパー店内の防犯カメラ映像が復元処置されて上映されると、そこにはバリーがトマト缶の陳列を上段に変更したおかげで、顔を上げる父の顔がはっきりと映っていた。これによりアリバイが成立した父は、晴れて無罪を勝ち取る。
法廷の外に出ると、マスコミからの質問攻めにあうバリー。逆転勝利の決め手を聞かれてバリーが唱えた「スパゲッティがまっすぐになって、トマト缶は下から上に移動した」との説明は、彼の冒険を共に追ったものでないとサッパリわからない。
時間軸の混乱を元に戻して、父を救い、おまけにアイリス・ウェスト(原作ではバリーの恋人や妻になる女性)とデートに行く約束も取り付け、順風万端に思えたバリー。そこにブルース・ウェインからの着信が入り、直後に高級車が乗り付けてくる。車のドアが開き、マスコミに取り囲まれる中、降りてくる大富豪ヒーロー。しかしその姿は、バリーが知るブルースとは別人だった……!
ここで姿を見せたのは、『バットマン & ロビン Mr.フリーズの逆襲』(1997)でブルース役を演じたジョージ・クルーニーだ。「あなたはバットマンじゃない」と困惑するバリーが、接着剤で固定していた前歯をポロリと落とすところで、『ザ・フラッシュ』の本編は終了する。
ジョージ・クルーニーの登場、試写でも極秘
実はクルーニー登場シーン、リークを防ぐために関係者向け試写でも削除されていた前代未聞の極秘サプライズ。筆者が鑑賞した試写で同シーンは、降車するブルースの足元が映り、バリーが「誰?」と困惑するカットで終わっており、ブルースの正体はわからないままだったのだ。また、アクアマン/アーサー・カリーが登場するポスト・クレジット・シーンも含まれていなかった。最終版が披露されたのは、6月4日週の試写からだった。
実はこのラストシーン、3通りのエンディングが用意されており、ジョージ・クルーニー登場はその3つ目だったという。前2バージョンでは全く違った展開が控えていたのだが、製作中にDCスタジオの設立による新ユニバース計画が立ち上がったことで一転、二転。最終的にクルーニー登場に至るまでの、幻の前2バージョンはどのような内容だったのか。