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『ザ・フラッシュ』まさかの低調スタート、その要因は ─ 『ブラックアダム』以下の数値に業界驚き

ザ・フラッシュ
(c)2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved (c) & TM DC

DCユニバースの集大成『ザ・フラッシュ』が2023年6月16日より世界公開を迎えたが、そのパフォーマンスは事前の期待を下回るものになっている。トム・クルーズなどが大絶賛したことが伝えられ、「ヒーロー映画史上最高傑作」と鳴物入りで公開されたはずの本作は、一体なぜ低調に見舞われたのか?

『ザ・フラッシュ』初週末、本国アメリカでは同日デビューとなったディズニー&ピクサーの新作『マイ・エレメント』を抑え1位発進となったが、興行収入は芳しくない。業界では6,000万〜8,000万ドルが見込まれていたが、実際には5,510万ドルとなった。

これは、DC直近作『シャザム!〜神々の怒り〜』(2023)のオープニング成績(3,011万ドル)を上回るものだが、『ブラックアダム』(2022)の6,700万ドルに届かないものとなってしまった。

製作費2億ドル以上とされる本作は主演エズラ・ミラーの相次ぐ不祥事にも関わらず、ワーナー・ブラザースが劇場公開を死守したこだわりの一作。にも関わらず低調な滑り出しとなった要因について、海外メディアはいくつかの可能性を指摘している。

主演がプロモーションできない……異例の事情

まずは事前プロモーションの弱さだ。本作は、エズラ・ミラーがスキャンダルによって公の場に登場できない時期が続いていたため、「主演俳優が映画を宣伝できない」という異例に見舞われた。ようやくエズラが本作をアピールできたのは、公開直前のロサンゼルスプレミアのレッドカーペットと舞台挨拶のみである。

ザ・フラッシュ
© 2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved © & TM DC

通常、映画の事前プロモーションではキャストや製作陣がプレスインタビューに応じ、メディアやSNSなどを通じて話題が拡散される。しかし『ザ・フラッシュ』はインタビューの機会がわずかなものに限られていた。レッドカーペットのサウンドバイツを除けば、おそらくプレスインタビューに応対したのは、監督のアンディ・ムスキエティとその妹で製作のバルバラ、そしてスーパーガール役のサッシャ・カジェのみ。見たところ、日本の媒体でも彼らにインタビューを行ったところはないようだ。

主要キャストとなったバットマン役のマイケル・キートンもインタビューに答えていないが、これは新作『ビートルジュース2』の撮影に拘束されていたためのようだ。同じくバットマン役のベン・アフレックもプレスインタビューに参加していない。

このように、『ザ・フラッシュ』のプロモーションがキャストらのプレスインタビューに消極的だったのは、エズラ・ミラーに関するネガティブな質問を受けることを避けるためだったと、米Deadlineなどは伝えている。他にも、企業タイアップキャンペーンがほとんど行われなかったことも、話題拡散のためにならなかったと見られている。

全米脚本家組合によるストライキも、以外な形で『ザ・フラッシュ』に影響を及ぼすこととなった。日本の芸能界でも似た慣習があるように、アメリカでも、映画の出演者がトーク番組に出演して映画を紹介する。しかしストライキの影響で、主力トーク番組の数々が放送休止となったことで、“番宣”の機会も奪われることとなった。

Writer

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中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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