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ドラマ「ラザロ・プロジェクト」製作者が語る「タイムループ」設定の妙技 ─ 公式インタビュー全文

ラザロ・プロジェクト
© Sky Studios Limited (2021). All Rights Reserved.

「Giri / Haji」(2019)の奇才ジョー・バートンが脚本・製作総指揮を務めるタイムリープSFアクション、「ラザロ・プロジェクト 時を戻せ、世界を救え!」がスターチャンネルEXにて独占日本初配信中だ。「BS10 スターチャンネル」では2023年5月29日(月)より字幕版、6月9日 (金) より吹替版が放送開始となる。
本作は世界滅亡を阻止する組織にスカウトされた主人公が、国境を越えて奔走する姿を描く壮大なシリーズだ。迫力満点のカーチェイス、ド派手な爆発、スリリングな銃撃戦など、全8話を通して映画並みの大規模なアクションが満載。さらに、タイムリープの代償に焦点を当てながらモラルジレンマを描くなど、興味深いストーリーとアクションの両方を楽しめる作りとなっている。
THE RIVERではこの度、本作の仕掛け人であるジョー・バートンのオフィシャルインタビューを入手。作品の解説やアイデアが生まれた経緯など、本作をさらに楽しめる情報が詳しく語られている。ぜひ本編とあわせてご覧いただきたい。

「ラザロ・プロジェクト 時を戻せ、世界を救え!」
製作者ジョー・バートン オフィシャルインタビュー

──「ラザロ・プロジェクト」はどんなドラマでしょうか?

この作品は、パーパ・エッシードゥが演じるジョージを主人公としたタイムリープ・スリラーです。ごく普通の男であるジョージは、ある日突然、時間が戻ったことに気づきます。彼は2度も、6か月前にタイムジャンプしてしまうのです。そのことに気づいたのは彼だけらしく、しかも世界的なパンデミックの真っただ中。つまり、世界の状況がどんどん悪化し、すべてが本当に恐ろしい状態になると、突然時間が巻き戻るというわけです。

その結果、「ラザロ・プロジェクト」と呼ばれる組織の存在が判明します。彼らは極秘の多国籍組織で、その任務はミサイル攻撃やパンデミック、化学兵器など、世界滅亡レベルの出来事を阻止すること。彼らはあらゆる手段を駆使し、時間を巻き戻すこともできるのです。

ラザロ・プロジェクト
© Sky Studios Limited (2021). All Rights Reserved.

普通の人々はタイムリープに気付かないのですが、ジョージは、突然タイムジャンプしたことを認識するようになるのです。彼は実はそういう体質を持った“ミュータント”だったんです。そこで組織は、貴重なミュータントであるジョージを「ラザロ・プロジェクト」にスカウトします。

本作でのタイムループのルールですが、チェックポイントというものがあります。7月1日がチェックポイントの日で、タイムマシンを使うたびに直前の7月1日に戻ります。なので、7月2日に使えば1日前、7月8日に使っても7月1日に戻る。常に直近の7月1日にしか戻れません。つまり最長で1年戻れるということです。

ジョージはこの組織の一員となりますが、チェックポイントの翌日に恋人が事故で死んでしまいます。彼は自暴自棄になり、 時間を戻して彼女を取り戻そうとします。しかし、「ラザロ・プロジェクト」は1人のために時間を巻き戻すことはできません。何十億人もの人生を変えてしまうことになるからです。ジョージが彼女を取り戻すための唯一の方法は、彼がその掟を破り、世界滅亡レベルの危機を招くヴィランになるしかないのです。ドラマが進む内に、彼はどんどんモラルから外れていきます。しかしそれは、愛する女性を取り戻すという究極の目的のためなのです。

ラザロ・プロジェクト
© Sky Studios Limited (2021). All Rights Reserved.

──主人公ジョージはどんな人物ですか?

ごくごく平凡な男です。彼はアプリの開発者で、金融アプリを開発し、ビジネスを始めようとしています。銀行からの融資も決まり、恋人が妊娠し、すべてが順風満帆な毎日でした。しかしある日、目を覚ますと、半年前に戻っています。そこから彼の人生は全く変わってしまいます。

ラザロ・プロジェクト
© Sky Studios Limited (2021). All Rights Reserved.

──なぜ、パーパ・エッシードゥをジョージ役にキャスティングしたのでしょうか?

ジョージは道徳的にとんでもないことをしてしまうキャラクターですが、視聴者が共感でき、感情移入してしまうような親しみのある俳優がいいと思いました。パーパはとても親近感がわく人物であり、更に普通の人にはない高潔さも兼ね備えています。そこがジョージにぴったりでした。才能に溢れた俳優です。

──このアイデアはどこから生まれたのですか?

1962年のキューバ危機についての本を読んでいたのですが、ロシアの潜水艦がレーダーにうつったものを見間違えたり、モスクワと連絡が取れず、自分たちで核爆弾発射の決断をしなければならなかったことなど、すんでのところで核戦争を回避したのは本当に奇跡なことだったのではと思いました。それで、‟もしかして人類は滅亡したけど、元に戻されたんじゃないか?”とふと思いついたんです。それが6、7年前です。皮肉にも、パンデミックを題材にした作品を、パンデミックの最中に制作することになるとは想像もしてませんでした。

──「ラザロ・プロジェクト」の世界はリアルですか?それともまったくのSFファンタジーでしょうか?

現代が舞台で、パンデミックも現実となってしまいましたし、実際に起きた歴史的な出来事、実在の人物や場所なども登場します。しかし紛争が起こっている地域などいくつかは架空の場所です。ただ、主な舞台は現実のロンドンでリアルな世界です。レーザー銃や宇宙船が登場するわけではありません。

ラザロ・プロジェクト
© Sky Studios Limited (2021). All Rights Reserved.

──でも、タイムマシンが登場しますよね。どういうものですか?

いわゆる物体の‟タイムマシン”は出てきません。本作でのタイムマシンは、ブラックホールのような宇宙の特異点であり、この空間異常の力を利用したものです。レバーを引くようなものではありません。登場人物たちは、その仕組みをよくわかっていません。なぜなら「ラザロ・プロジェクト」のトップは、彼らが会ったことがない上層部の人物だからです。「ラザロ・プロジェクト」には本部があり、タイムリープするときは誰かが電話をかける。すると、メンバーたちはチェックポイントの真夜中に戻ります。もし眠っていたとしても、チェックポイントの日の午前0時にいた場所で目覚めます。同じ場所にタイムリープするのです。

──番組のトーンについてお聞かせください。

もっとシリアスで暗い作品にすることもできたと思います。「Giri / Haji」はリアルな設定のドラマですが、難解ではなく、ジョークもある作品でした。「ラザロ・プロジェクト」では信じられないような出来事が起こり、キャラクターたちは重責を負っています。しかしみな個性的でユーモアがあるんです。仕事が終わるとパブに行き、カラオケにも行きます。英国的な辛辣な「絞首台ユーモア」が散りばめられています。これは私がこだわったところです。ダークでシリアスな作品と『パーム・スプリングス』のようなコメディの中間くらいの作品にしたかったんです。


ドラマ 「ラザロ・プロジェクト 時を戻せ、世界を救え!」全8話は、「スターチャンネルEX」 で字幕版・吹替版ともに配信中。「BS10 スターチャンネル」STAR1では字幕版が5月29日(月)夜11:00より、STAR3では吹替版が6月9日(金)夜10:00より放送開始だ。

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THE RIVER編集部THE RIVER

THE RIVER編集部スタッフが選りすぐりの情報をお届けします。お問い合わせは info@theriver.jp まで。

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