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「ラザロ・プロジェクト」シーズン2、タイムリープSFファンがますますハマる展開に ─ 今度はタイムトラベルも登場、これぞエンタメだ

ラザロ・プロジェクト 時を戻せ、世界を救え! シーズン2
© Sky Studios Limited (2023).

タイムリープ能力を得た主人公の奮闘を斬新な角度で描き、世界中で絶賛を浴びたSFアクションラザロ・プロジェクト 時を戻せ、世界を救え!」。待望のシーズン2(全8話)が、ついに日本上陸した。奇想天外な展開やクセになるドライ・ユーモアはシーズン1から健在な一方、シーズン2では新たに「タイムトラベル」が主軸に加わることでスケールもアクションもパワーアップ。映画・ドラマファンも唸る、より野心的なシーズンとなっている。

タイトルにもある“ラザロ・プロジェクト”(通称ラザロ)とは、作中の世界滅亡を防ぐ極秘組織のこと。核戦争やパンデミックなどで人類が破滅へ向かうたび、時間をリセットして危機を止める活動を行っている。毎年7月1日がループの基点(チェックポイント)になるため、時間を戻せるのは直前の7月1日まで。そしてタイムリープを認識できるのは、特別な血清を打った者か、その能力を開花させた者だけだ。

ラザロ・プロジェクト 時を戻せ、世界を救え! シーズン2
© Sky Studios Limited (2023).

いたってシンプルなルールだが、これによって様々な代償が生じ、ドラマティックな物語が展開されていく。シーズン1では、タイムリープ能力に目覚めたジョージがラザロに加入。次の危機を止めるためラザロが時間を戻したことで、彼の恋人・サラが亡くなってしまう。

シーズン1の内容に触れることとなるが、ジョージは彼女1人を救うため、世界滅亡レベルの大災害を計画。すべての犠牲者が生き返ることを前提に、核弾頭を爆発させる。これによってラザロが時間をリセットし、サラは生き返るが、皮肉にもジョージとは別々の道を歩むことに。時間を戻したことで生じる影響と変化、それに伴う主人公のモラルジレンマを巧みに描き、タイムリープSFとして真新しさを感じさせた。

シーズン2は、シーズン1のラストから直結する形で始まる。世界では3週間ごとにチェックポイントへ戻る謎のループが起きる一方、元ラザロエージェントのジャネットはなぜか2012年の世界にタイムトラベルしていた。

ラザロ・プロジェクト 時を戻せ、世界を救え! シーズン2
© Sky Studios Limited (2023).

その背後にいるのは、ラザロの新たな敵“タイムブレイク・イニシアティブ”だ。彼らはチェックポイントを突破できるタイムマシンを発明したライバル組織であり、現在の混乱を引き起こした元凶でもある。開発過程で第2のブラックホールを生み出してしまい、結果として宇宙崩壊を招き、3週間ごとにラザロの自動リセットが作用していたのだ。そしてこの異常事態を防ぐため、彼らは超人的なIQを持つジャネットを拉致して協力を命じ、タイムマシンで開発初期の2012年に送ったのである。

今回のラザロの任務は、2012年に戻って第2のブラックホール発生を阻止し、ジャネットを元の時間軸に戻すこと。そのためにはライバル組織の科学者を見つけ出し、物理的なタイムマシンを用意しなくてはならない。一方ジョージは、サラを救うためラザロを出し抜いたことでクビになり、再び信頼を取り戻そうと奔走する。

ラザロ・プロジェクト 時を戻せ、世界を救え! シーズン2
© Sky Studios Limited (2023).

宇宙という果てしない空間の異常を修復すべく、時空を移動する様を描くシーズン2は、時々マーベルドラマ「ロキ」を彷彿とさせる。ただしロキと違って各々にタイムトラベル能力はないため、即席タイムマシンでの移動はヒヤヒヤものだし、予期せぬトラブルで任務は二転三転していく。

シーズン2では時間を繰り返すループとタイムトラベルが複雑に交差するが、視聴者を混乱させることはない。製作総指揮・脚本のジョー・バートン(「Giri/Haji」)が重視したのは、込み入った設定よりストーリー上の「論理的な根拠」、そして「視聴者を楽しませる」ことだ。

実際に、ラザロとライバル組織それぞれの動機や目的が分かりやすく示されているし、タイムトラベルを利用したエキサイティングな新展開も待っているため、難しいことは考えずに楽しめる。また、ジョージたちが『バック・トゥ・ザ・フューチャー』や『ターミネーター』、『LOOPER/ルーパー』、『恋はデジャ・ブ』などのタイムトラベル/ループ映画に言及するといった、遊び心も見せている。

ラザロ・プロジェクト season2
© Sky Studios Limited (2023).

そんなシーズン2は、とにかく見どころが満載。その1つが、前シーズンを上回る壮大なスケール&アクションだ。舞台は海外にも広がり、スイスやモロッコ、さらには日本が舞台となるシーンも登場。スイスのラボでは過去と現在のミッションが衝突し、迫力満点の銃撃シーンと、ループが起きるたびに変わる展開が相まって見応えたっぷりだ。極めつけは終盤のカーチェイスで、圧巻のスリルとスピード感で息つく暇を与えない。

またシーズン2では、カッコいい女性キャラたちの活躍にも注目だ。国家1つ分の頭脳を持つジャネット、元MI5で腕の立つエージェントのアーチー、ラザロの絶対的ボスであるウェズなど、有能でたくましい女性キャラが一際存在感を放っている。加えて、シーズン1で脇役だったサラがタイムリープ能力を身に着け、主役級の活躍を見せるのも見事だ。

もちろん、破天荒だが憎めないジョージをはじめ、クールでどこか陰のあるシヴ、ヴィラン的な要素が魅力のレブロフなど、男性キャラたちも負けていない。個性豊かなキャラたちから、推しが見つかること間違いなしだ。

シーズン2はこれらのキャラクターを深く掘り下げ、タイムリープと共に生きる葛藤を浮き彫りにしていく。世界を救うために払う自己犠牲やモラルジレンマはシーズン1でも焦点となっていたが、シーズン2ではラザロの過去やライバル組織のルーツを示しながら、様々な視点でこのテーマを問い直している。チェックポイントという制限を超えて、現状を一変できるほどの過去に戻れたら……?

その上で、視点が変わって初めてわかる衝撃事実や、水面下の陰謀など、ひねりの効いた展開が続々登場。思わず「えっ」と声が出るほど驚く場面もあり、最後まで見逃せない内容となっている。

ラザロ・プロジェクト 時を戻せ、世界を救え! シーズン2
© Sky Studios Limited (2023).

シリアスなテーマでありながら、随所にコミカルな表現が出てくるのも魅力だ。シーズン1でのジョージの暴挙をネタにしたり、彼とサラの微妙な関係が場を凍らせたりと、イギリスらしいドライ・ユーモアがちりばめられている。ウィットに富んだ会話の応酬も面白く、視聴者の笑いのツボをしっかり抑えている。

これだけ多くの要素が全8話で上手くまとまっているのは、脚本の妙によるものが大きい。単独で脚本を手掛けるバートンによれば、狙いは“時間を操れる世界で、人々のモラルはどう変わるのか?”を探求することだという。これが本作の核となり、物語の一貫性を保っているのだろう。その上で、新たにタイムトラベルを描いたシーズン2はさらに見応えがあり、これぞエンターテイメントと呼べる仕上がり。驚愕のクリフハンガーに続くシーズン3の発表を待つばかりだ。

なおシーズン2には引き続き、主人公ジョージ役を演じる実力派俳優パーパ・エッシードゥ(『ザ・キャプチャー 歪められた真実2』、『MEN 同じ顔の男たち』)をはじめ、シーズン1のメインキャストたちが続投。新キャストとして、コリン・サーモン(『007』、『バイオハザード』シリーズ)がライバル組織のロビン・ラーナー役、サム・トラウトン(『リトビネンコ暗殺』、「チェルノブイリ」)が科学者のサムソン役、ロイス・ピアソン(『ジュディ 虹の彼方に』)が重要なカギを握るブライソン役で出演し、作品に彩りを添えている。

「ラザロ・プロジェクト 時を戻せ、世界を救え!」シーズン2(全8話)は、2024年2月22日(木)より「スターチャンネルEX」で独占配信中。TV放送の「BS10 スターチャンネル」では3月25日(月)から字幕版を、3月29日(金)から吹替版を独占日本初放送予定(3月20日(祝・水)吹替版第1話 無料放送)。

参照:Den of Geek,Radiotimes
Supported by スターチャンネル

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KyokoKyoko Okajima

アメリカ留学、大手動画配信サービスの社員を経て、ライターに転身。海外ドラマが大好きで、永遠のNo.1は『ブレイキング・バッド』と『ベター・コール・ソウル』。

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