【解説レビュー】物理学者が『奇蹟がくれた数式』を観た【数学が織りなす心のつながり】
(これは数学に限ったことではなく、科学全体にも言えることかもしれない。科学は普遍の真理を突きとめることがその存在意義である。科学が生んだ科学的事実は普遍性・恒久性を持っている。それゆえ、時代・文化・言語、あらゆる価値を超えて真に共有できるのかもしれない。)
タクシー数の逸話
ラマヌジャンとハーディには有名なエピソードがある(劇中でも扱われているので要チェック!)。ハーディはラマヌジャンを懐古してこう語っている。(Wikipedia タクシー数から)
“私は彼をパットニーの療養所に見舞ったことを覚えている。私はナンバーが1729のタクシーに乗り、その数は無味乾燥なもののように思え、それが不吉なことの前兆でないことを願っていた。しかし彼は「そんなことはありません、とても興味深い数字です。それは2通りの2つの立方数の和で表せる最小の数です」と返した。”
立法数というのは、ある自然数を3乗した数字のことであるが、1729は
1729 = 1^3 + 12^3
= 10^3 + 9^3
※a^b は「aのb乗」という記号。
このように立法数の和で2通りに表せる。1729より小さないかなる自然数も立方数の和で2通りで表すことは出来ないのだ。
このエピソードは、ラマヌジャンがいかに数学に慣れ親しんでいたのかを後世に伝えている。
最後に、劇中で心に残ったセリフを紹介しよう、ハーディの生涯の共同研究者リトルウッドのセリフだ。
“ラマヌジャンは、あらゆる正の自然数と友達なんだ”
日常に眠っている数学の神秘に、皆さんも心を通わせてみてはいかかだろうか。
参考URL : http://kiseki-sushiki.jp/about.php
参考図書: G.H.ハーディ著「ある数学者の生涯と弁明」