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『裸の銃を持つ男』レビュー ─ 重厚なリーアム・ニーソンがそのままコメディに挑む強烈ギャップで全米大ウケ

https://youtu.be/uLguU7WLreA?si=LKANFWnwqJEerOOn

(カナダ・トロントから現地レポート)1980年代から90年代にかけて人気を博した、レスリー・ニールセン主演のコメディ映画『裸の銃を持つ男』シリーズが、豪華キャストを迎えて戻ってきた。リブート版『The Naked Gun(原題)』は、現地時間8月1日より北米で劇場公開中。主演を務めるのは『96時間』シリーズなどシリアスなアクション映画に数々出演してきた実力派俳優リーアム・ニーソン。本作では、刑事フランク・ドレビン(オリジナル版の主人公)の息子、フランク・ドレビン・ジュニア役を演じる。共演はパメラ・アンダーソン、ポール・ウォルター・ハウザー、CCH・パウンダーなど。監督を務めたのは、『ホット・ロッド/めざせ!不死身のスタントマン』(2007)、『俺たちポップスター』(2016)などを手がけてきたアキヴァ・シェイファーだ。

物語は、ドレビン・ジュニアが“少女に変装”して銀行強盗事件に潜入するシーンから始まる。スカート姿でロリポップを手に強盗団を一掃し、事件を一人で解決してしまうというインパクトのあるオープニングだ。これまでも数々の功績を上げてきた彼は父親ゆずりのドジだが、強い正義感を持つ刑事。ある日、ベス・ダベンポート(パメラ・アンダーソン)から、兄の死にまつわる調査を依頼される。彼女の兄は技術者で、自動車事故によって命を落としたが、ベスはこの事故を“他殺”だと確信していた。2人は、彼女の兄の上司であるリチャード・ケインに接触する。ケインはエデンテック社の創設者であり、人々の精神に影響を与える装置「P.L.O.T」を使い、恐るべき計画「プロジェクト・インフェルノ」の実行を企てていた。

本作では、フランク・ドレビン・ジュニアを中心に、エド・ホッケンの息子キャプテン・エド・ホッケン・ジュニア(ポール・ウォルター・ハウザー)など、オリジナル版キャラクターの“子ども世代”による新たなポリス・スクワッドチームが結成されている。物語序盤では、ドレビン・ジュニアが署内に飾られた父の写真に語りかけるシーンがあり、「あなたのような人間になりたいが、同時に全く違う人間にもなりたい」と膝をついてつぶやく。一方、ホッケン・ジュニアらも同様の行動をとるが、フランクの相棒だったノードバーグ(演:O.J.シンプソン)の子どもに関しては、やや控えめに扱われており、皮肉の効いた“軽いイジリ”も入れられている。こうしたお笑い要素が本作には散りばめられており、オリジナル版のファンも楽しめる構成になっている。

リーアムといえば重低音ボイスで冷静に敵を倒していく役どころが印象的。そんな燻銀のリーアムがミニスカ(いちご柄のパンツ)で戦ったり、トイレを我慢しながら捜査に挑んだりする姿は、これまでのイメージを覆すもの。あの重厚な声のまま全力でコメディに挑むギャップは強烈で、73歳となった大御所俳優リーアムの“新境地”ともいえるだろう。

そしてヒロイン・ベス役のパメラ・アンダーソンの体当たり演技も負けずと光っている。彼女は『裸の銃を持つ男』(1988)のヒロイン同様、超魅力的だが壁にぶつかるなど、おっちょこちょいキャラクターを見事好演。さらにパメラは、メロディーに合わせて即興的に歌う「スキャット」を披露するシーンも情熱的にこなしている。パメラといえば、33年前にテレビドラマ『ベイウォッチ』で一躍有名に。その後『バーブ・ワイヤー/ブロンド美女戦記』(1996)、『最“狂”絶叫計画』(2003)などに出演したが、批評的な成功には恵まれなかった。しかし2024年のインディーズ映画『ラスト・ショーガール』では見事な演技を披露し、今作ではついにハリウッド大作で主要な役どころを手にした。彼女もニーソン同様、俳優としての新たな可能性を見せている。

現地時間8月7日現在、Rotten Tomatoesの批評家スコアは89%と高評価を記録。「ダジャレ、言葉遊び、下ネタと、クラシックなジョークが帰ってきた」「今年これほど笑える映画はほかにないかもしれない」など、絶賛の声が上がっている。筆者が劇場に足を運んだ際も、年配のカップルの姿が多く見られ、リブート版でありながらオリジナルを愛してきた観客の心をしっかりと掴んでいることがうかがえた。

『The Naked Gun(原題)』、日本公開は現在未定となっている。

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Writer

Ayaka SaitoAyaka Saito

カナダ・トロント在住の映画レポーター/コラムニスト。北米で感じ取れる「ポップカルチャーへの熱」をお届けします。好きなジャンル:ホラー、好きなヒーロー:DCブルービートル。

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