【解説】大人気映画『きみに読む物語』で描かれた恋愛を改めて考察してみる

「好きな恋愛映画は?」「最高にロマンチックだと思う映画は?」「泣ける映画は?」と聞かれて最も挙げられる映画の常連といえば、『きみに読む物語』。ライアン・ゴズリングとレイチェル・マクアダムス主演の2004年に公開されたラブストーリーです。

認知症にかかってしまった女性にある物語を朗読する男性。それは実は彼らの若かりし頃の物語だった・・・戦争によって引き裂かれてしまったお嬢様の女の子、アリーと貧しい青年ノアの時を超えた純愛。とにかくベタベタな展開のラブストーリーです。なぜこんなに大ヒットしたのか、なぜこんなに人々の心を掴んでいるのか。なぜこんなに感動するのか。

今回は主人公たちの気持ちは?2人があの時こうしていたら?なんでこんなに”イイ話”って思うの?「きみに読む物語」について、改めて考察してみたいと思います。(イイ話すぎるので、ちょっとつっこんでみます。)

アリー、かわいいけれど少々自己中すぎる件

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レイチェル・マクアダムス演じる良家のお嬢様アリー。夏の休暇を終え、ノアの住む田舎町を離れ2人は離れ離れに。彼女を想い続けるノアは毎日手紙を書きます。365日欠かさず。残念ながら交際を反対するアリーの母親によって手紙は隠され、彼女の元には届かなかったわけですが 毎日書き続けるなんてものすごい根性です。だって、相手から返事が来ないのに毎日手紙を書けますか?

しかしそんな腱鞘炎になりかけた(であろう)ノアの健気な努力を知らないアリーは、再会した時にノアに問い詰めます。「なんで手紙もくれなかったのよ!」いやいや、アリーちゃんは自分から書かなかったじゃん。「なんでああしてくれなかったのよ!」という割に自分は何もしてない系女子じゃん!母親の厳しい監視があって出せなかったのかな・・・とは思いつつも、「そうやって責めるなら自分も意地を張らずにお手紙書きなさい!」と言いたくなるつっこみポイント。

女には「鍵付きフォルダ」がある

ノアが戦争に徴兵されたあと、アリーは裕福なイケメン男性ロンといい感じの仲になります。学が無かったノアとは違って高学歴。貧しい家ではなくお金持ちの家のお坊っちゃま。将来安泰、玉の輿という文字がキラキラ浮かぶロン。そんな素晴らしい条件を兼ね備えている上に性格もいいヤツなロン。アリーの両親も「よく捕まえた!」と喜んだことでしょう。

しかしロンと婚約しながらも、アリーは再会したノアと再び恋に落ちてしまいます。再び、というよりも 小さくなっていた炎に油を注ぎ直したといった感じでしょうか。

アリーはロンのことを「愛していた」と思います。ルックスも、性格も、彼の持っている学歴や家柄といった条件もひっくるめて。もしノアと再会しなかったとしても、アリーはロンと一生幸せに暮らしていたと思います。

男性は過去の恋愛を頭の中で”別々の引き出しに分けている”女性は過去の恋愛を”上書き保存”しているという説を聞いたことがありませんか?終わった恋にはもう封をして、また別の人と恋をし 過去の人の事は記憶の奥底に沈めていく。しかしどの女性にも(おそらく必ず)”忘れられない人”がいるものだと思います。”恋愛上書きフォルダ”とは別に、”鍵付き秘密のフォルダ”があるのです。

アリーにとってノアは”鍵付きフォルダ”の中の忘れられない人。この”忘れられない人”は超強力な存在です。この”忘れられない人”は、現実世界ではほとんど再会できないもの。きっとほぼまた恋に落ちることはない、叶わないからこそ特別な人なのです。

この「きみに読む物語」では主人公がその”忘れられない人”と再会し、添い遂げる道を選びますよね。その自分にはきっと起こりえないであろうと考えるシチュエーションに、心の中で憧れを抱いてしまうのだと思います。

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でもあの17歳の夏の夜、2人がもし寝ていたら。完全に結ばれてしまっていたら、逆に”若かりし頃のひと夏の恋”に分類されて さっぱり未練もなかったかもしれませんね。寝なかったけれど、いろんなところに行って喧嘩もして思い出を作って・・・そんな”全ては手に入らなかった人” が1番忘れられないものだったりして。

ノア、いい男すぎる件

手紙も返してくれない17歳の時の恋人、アリーを思い続けて家まで建てちゃったノア。これ、アリーと再会して結婚したからいいけれどアリーが完璧に彼のことを忘れていたらストーカーなのでは・・・というつっこみは置いといて。ノアの素敵なところはロマンチックな言葉をかけるところも、誠実なところもそうですが”好きな人と一緒にいるために、なるために努力をするところ”ではないでしょうか。そして”ひたすら愛することに幸せを見出している” ところではないでしょうか。

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ノアとアリー、2人の恋は”運命的”ではありますが、本当に”運命”によって結びつけられたのでしょうか。再会できたのは、ノアが家を造ったことによる”努力”ですよね。ノアは自分の想いを行動に移したことによって、好きな人と一緒になる努力をしたことによって 最愛のアリーと結ばれることができたわけです。

作品を観ているととにかく”ノアの献身的な愛”を感じます。2人が老いた時、アリーは自分のことを忘れてしまっている。思い出したとしても、それは一瞬だけ。それでもノアは彼女に読み聞かせをする。そばにいる・・・愛をあげたとしても、彼女からその愛は返ってこない。でもノアにとって献身的な愛をアリーに与え続けることが、彼によって最大の喜びであり幸せであり、生きがいなわけです。こんな人は果たしているのでしょうか。

まとめ

『きみに読む物語』絶対に現実にはないようなドラマチックな恋愛、その中にある 私たちの心をチクっとさせる”若い時の恋””忘れられない人””誰かにひたすら愛されたい””誰かに心身を捧げるほど愛したい”というキーワード。様々な”理想”が織り込まれたストーリーだからこそ、”説明しがたいけれど、とにかく好きな恋愛映画”として取り上げられ “イイ話”として心に残り続けるのだと思います。

撮影後に実生活でもカップルとなったライアン・ゴズリングとレイチェル・マクアダムス。しかし当初は仲が悪く、キスシーンでは噛み付いていたとかなんとか・・・そんな裏話もふまえて、今一度「きみに読む物語」ご覧になってみてはいかがでしょうか?

About the author

フリーライター(1995生まれ/マグル)

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