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長らく劇場では上映されなかったパニック映画の名作を大スクリーンで!午前十時の映画祭7『ポセイドン・アドベンチャー』

1972年に制作され、日本では翌年の3月に劇場公開されたロナルド・ニーム監督の『ポセイドン・アドベンチャー』が、全国で名作映画を上映する企画“午前十時の映画祭7”で現在上映されている。

劇場公開以来、何度もテレビで放送され、ビデオ、レーザーディスク、DVD、ブルーレイが発売され、小さな画面で観る機会は多かったが、劇場の大スクリーンで観られる機会はあまりなかった。だが、今や名物となった“朝10”で上映されることになり、このチャンスを待ちわびた映画ファンも多いだろう。

そういう筆者も最初に観たのはテレビ。TBS系でかつて放送されていた『月曜ロードショー』(出身地が秋田県だったので荻昌弘さんの解説はなしで遅れで放送されていた)で放送されたバージョン。ジーン・ハックマンを小林昭二、アーネスト・ボーグナインを、後に日本テレビ系『水曜ロードショー』で放送されたときにはハックマンを小林勝彦、ボーグナインを藤岡重慶、テレビ朝日系『日曜洋画劇場』で放送されたときにはハックマンを磯部勉、ボーグナインを坂口芳貞が演じた(放送されるごとに観ていたのは言うまでもないが)。

物語は言うまでもないだろうが一応説明を。
大西洋を航行中の豪華客船ポセイドン号が大晦日に大津波に襲われ転覆する。パーティーの行われていたホールでは多数の犠牲者が出る。客船の事務長はホールで救助を待てと支持するが、ハックマン演じる牧師のスコットは船内に留まるのは危険だと判断し、船内からの脱出を試みる。CGなど存在しないこの当時、上下逆さまのセットが作られ、膨大な水が使われたという。製作費の大半がそれに使われたというのだから驚かされる。

ハックマン演じるスコットを始め、脱出を試みるメンバーも多種多様な人物が配置され、さまざまな人間模様が繰り広げられていくが、その人間ドラマも素晴らしい。究極の状態からいかに脱出を図るかが最大の見どころで、クライマックスに向かって胸を打つ感動が待ち構えている。筆者は何度泣かされたことか。

この映画がヒットして、プロデューサーであるアーウィン・アレンが監督、マイケル・ケイン主演で1979年に製作された『ポセイドン・アドベンチャー2』や、アダム・ボールドウィン主演でNBCで2005年に製作された3時間のTVムービー『ポセイドン・アドベンチャー』、ウォルフガング・ペーターゼン監督がリメークした『ポセイドン』(これはもうなかったことにしたい)があるが、やはり本家『ポセイドン・アドベンチャー』にはかなわない。名作として語り継がれるこの傑作が劇場の大スクリーンで観られるなんて何と幸せなことだろう。

小さな画面でしか観たことがない人からまったく知らない人まで、ぜひ、劇場の大画面、いい音響でこの映画を楽しんでいただきたい。

午前十時の映画祭7 公式サイト

Writer

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masashiobara小原 雅志

小学館のテレビ雑誌『テレパル』の映画担当を経て映画・海外ドラマライターに。小さなころから映画好き。素晴らしい映画との出会いを求めて、マスコミ試写に足しげく通い、海外ドラマ(アメリカ、韓国ほか)も主にCSやBS放送で数多くチェックしています。

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