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「サード・デイ」夏・冬の二部で描く衝撃の孤島スリラー ─ 『ミッドサマー』超える狂気に堕ちる、ジュード・ロウ&ナオミ・ハリスW主演

サード・デイ 〜祝祭の孤島〜
© 2020 Home Box Office, Inc. All rights reserved. HBO® and all related programs are the property of Home Box Office, Inc.

帰りたい人は帰れない。泊まりたい人は泊まれない。外界から遮断された孤島を舞台に、異質の人々とトラウマの恐怖を描く究極のスリラー・ドラマ「サード・デイ 〜祝祭の孤島〜」がついに日本上陸だ。

ジュード・ロウとナオミ・ハリスW主演、『夏』と『冬』の二部構成で紡ぎ出す、米HBO®︎×ブラッド・ピット率いる“プランB”製作の衝撃作。Amazon Prime Videoチャンネル‎「スターチャンネルEX -DRAMA & CLASSICS-」で2020年11月20日(金)より配信開始、BS10 スターチャンネルで12月22日(火)より放送開始となる。

「サード・デイ」は、オシー島と呼ばれる孤島でケルト文化に生きる人々と、そこで起こる奇妙で恐ろしい体験に精神を追い詰められていく2人の主人公を描くスリラー・ドラマ。

辺境地で暮らす排他的な人々の土着の文化や宗教に、一般社会からやってきた主人公らが精神的にも肉体的にも苦しめられるスリラー作品といえば、記憶に新しいところでは『ミッドサマー』(2019)がある。遡れば『ウィッカーマン』(1973)もカルト的な有名作だ。異教徒からの迫害や不自由の恐ろしさを描くという点では、『沈黙 -サイレンス-』(2016)なんかもそうかもしれない。

ドラマ「サード・デイ」は、島の人々や文化から受ける理不尽な迫害や恐怖だけでなく、主人公の過去のトラウマや深い悲しみを、まるで素手で掴むように鮮烈に描く点が特徴的。W主演のジュード・ロウとナオミ・ハリスの身を震わす熱演も見どころだ。

サード・デイ 〜祝祭の孤島〜
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構成が非常にユニークで、3話ごとの『夏』と『冬』の二部構成になっている。1エピソードあたりおよそ1時間だから、「ちょっと長めの映画2本がクロスオーバーする」といった感覚でもお楽しみ頂ける。『冬』パートは、『夏』パートで起きた物語に深く絡んでいく衝撃的な構成になっているから、素直に第1話から順に観進めよう。

舞台「オシー」島とは

物語の舞台はオシー島という孤島。実はこの島、西イングランドに実在する。実際には、日常から逃避できる自然豊かで穏やかなバケーション地として、観光客を受けて入れているようだ。

ところが「サード・デイ」で描かれるオシー島は、携帯電話の電波も届かない閉鎖的な場所。『冬』パートの主人公ヘレン(ナオミ・ハリス)のように観光を期待して訪れると、寒々と荒廃したその実態に驚愕とすることだろう。(ちなみに実際の撮影時も、携帯電話の電波はなかったとジュード・ロウは証言している。)

サード・デイ 〜祝祭の孤島〜
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島の広さは380エーカーということで、東京ドーム33個分くらいの面積。アクセスする手段は、朝と夜の数時間の引き潮にしか現れない、細い土手道だ。曲がりくねった一本道で、現実に訪れると、きっと冒険心を掻き立てられそう。見方によっては神秘的だし、ロマンチックですらあるはず。しかし「サード・デイ」では、まるで蛇が這った跡のような、不気味な道として映し出される。ちなみにこの土手道は、かつて『ハリー・ポッター』ダニエル・ラドクリフ主演の映画『ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館 』(2012)でもロケ使用されたことがある。

『夏』のあらすじ

サード・デイ 〜祝祭の孤島〜
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ジュード・ロウが演じる『夏』の主人公サムは、ロンドンでガーデニング店を経営する父親で、自らの不注意で息子ネイサンを亡くしてしまったという深いトラウマを持つ男だ。

ネイサンの遺体は島の近くの本土の川で見つかっていた。ある年の命日、川を訪れて息子を弔っていると、近くで首吊り自殺を試みる少女エポナを発見し、救出。親切心で送り届けたその少女の暮らす場所というのが、オシー島だったというわけだ。

少女エポナが島の何かに怯えていると感じたサムは、島に興味を持ってしばらく見て周る。島の中心地的なパブのオーナー、マーティン夫妻に歓迎されるサム。しかし始めて訪れたはずのこの孤島で、ミセス・マーティンはサムのことを「見覚えがある」と言うし、サム本人も「見たことがある気がする」と言う。ちょっとしたトラブルから本土へ帰れなくなり、滞在を余儀なくされるサムは、島で奇妙なものを目撃していく……。

サード・デイ 〜祝祭の孤島〜
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ジュード・ロウの目線で覗き見る狂気

『夏』では主に、ジュード・ロウが演じるサムと、キャサリン・ウォーターストンが演じるジェスとの関係に焦点が当てられる。ジェスは島の住人ではないが、この地の歴史や文化、人々に惚れ込んで、毎年夏の祝祭に合わせてアメリカから訪れてくる歴史学者。パブで出会ってから、互いのトラウマや弱みを曝け出し合い、急速に距離を縮めていく2人。ここで起こる関係性が、『冬』パートでは劇的なほど重要なものとなる。演じたジュード・ロウとキャサリン・ウォーターストンといえば、映画『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』(2018)ではダンブルドア役とティナ役でも共演した仲だ。

サード・デイ 〜祝祭の孤島〜
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『夏』では、次第に精神が蝕まれていくサムの目線を通じて、現実とも幻想とも取れぬ不思議で不気味な映像を挿入したり、ジャンプカットを多用したりして、視聴者を錯乱させる演出が特徴的だ。色彩にもこだわりが見られ、空や海など風景の一部の彩度が落とされている。『ミッドサマー』は過剰なほど鮮やかな色使いがかえっておぞましさを際立たせていたが、「サード・デイ」ではこの島の歪さを、彩度を下げることで表現しているように感じられる。

また、『夏』で特に印象的なのが、全3話通じてジュード・ロウのクローズアップが非常に多いこと。精神的にも肉体的にも追い詰められるジュードの苦しい吐息が感じられそうなほどにアップのカットが続く。これには監督の意図があり、「視聴者にとってまだよく知らないこのサムという男が見知らぬ島にどんどん深入りしていくうちに視聴者と彼との距離を縮め、視聴者が彼の視点に近づいていき、3話に向かって進むに連れてどんどんサムの目を通した心理を共感するようになる」という効果を引き出すためなのだとか。

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『冬』のあらすじ

印象的なクローズアップの効果もあってか、第3話を見終わるまでには、視聴者はサムの精神疲労ぶりを体感していることだろう。衝撃的な物語が区切りを迎えると、季節は流れてそのまま『冬』へ。今度は、同じ島にヘレン(ナオミ・ハリス)がやってくる。寒波に晒される『冬』のオシー島は、一見楽しげな祝祭も行われた青々しい『夏』の頃よりもずっと近寄りがたい場所に。

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ヘレンには2人の娘がおり、考古学が好きだという娘の誕生日記念に島を訪れる。島は荒廃していて、そこかしこに「出ていけ」「死ね」といった物騒な落書きがされている。ネットで予約したはずの宿に到着してみると、「今日は泊まれない」と理不尽にあしらわれてしまう。腹を立て、何が何でも島に泊まってやると息巻くヘレン。やがて『夏』で描かれた出来事と母娘との間に、衝撃的な関係が生じていき……。

『冬』パートの主人公ヘレン役ナオミ・ハリスは、『007』シリーズのマネーペニー役や、『ランペイジ 巨獣大乱闘』(2018)でもお馴染みだ。

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二部構成でえぐる衝撃

「サード・デイ」最大の見所は、この『夏』と『冬』、サムとヘレンという対になったもの同士が、後半3話で一気にひとつに結びつく巧みな展開だ。視聴者が『夏』の間に得た島の文化や人々に関する情報や、サムを通じて狂気を目の当たりにさせられたことは、言わば『冬』に向けての大掛かりな準備。恐怖に満ちたこの島で、サムとヘレンの波乱の運命が、危険に、そして悲しく描かれる。含みのある見事なラストまで、全く目が離せない衝撃の二部作だ。

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ちなみに、本国イギリスでは2020年10月、『夏』と『冬』の間の物語を描く『秋』が配信された。ジュード・ロウらも出演しながら、島の1日をオシー島から12時間生配信、ワンテイク、ワンカメラで描くという野心的な試みだった。

ジュード・ロウとナオミ・ハリス共に、まるで狂気の海で“もがき溺れる”ような迫真の演技で観るものを引きつける。『ウィッカーマン』や『ミッドサマー』のような土着文化を描くスリラー作品がお好きな方なら、震えるほど楽しめるはずだ。一度この孤島に渡れば、そう簡単には帰ってこれない。

ドラマ「サード・デイ 〜祝祭の孤島〜」は、Amazon Prime Videoチャンネル 「スターチャンネルEX -DRAMA & CLASSICS-」にて、字幕版を2020年11月20日(金)より 毎週金曜1話ずつ更新。11月20日(金)〜12月18日(金)第1話無料配信。

【放送】BS10 スターチャンネルにて、字幕版を2020年12月22日(火)より 毎週火曜23時 ほか 放送。12月19日(土)19時45分より第1話〈先行〉無料放送。

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THE RIVER編集部THE RIVER

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