『スパイダーマン』デイリー・ビューグルの公式ウェブサイト開設 ─ J・ジョナ・ジェイムソン、YouTubeデビュー果たす

おなじみニューヨークのタブロイド紙が、いよいよオンラインに進出だ。2019年9月25日、米The Daily Bugle(デイリー・ビューグル)のウェブサイトが開設された。あわせて編集長のJ・ジョナ・ジェイムソンがYouTubeデビューを果たし、初めての映像を公開。スパイダーマンを厳しく批判し、新たに現れたヒーロー、ミステリオへの声援を送っている。
この記事には、映画『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』のネタバレが含まれています。
「スパイダーマン、権利もなく力を行使するサイコパス!ヒーローになりすまそうとしている!」。ジェイムソンは舌鋒鋭くスパイダーマンに斬りかかる。「子どもの君にひとこと言いたい。君はヒーローじゃない!ミステリオこそがヒーローだ。君は犯罪者、悪党、マスクの略奪者、厄介者だ!」。最後には、ほんの少しだけ穏やかに「ご視聴ありがとう、“いいね”とチャンネル登録をお願いします」と一言添えているあたり、さすがはYouTube時代である。
また、このたび開設されたデイリー・ビューグルのウェブサイトには、昨今の情勢に関する記事が充実している。
プラハに出没した謎のヒーロー「ナイトモンキー」については、目撃者のネッド・リーズ氏からの証言が掲載された。ネッド氏は「ナイトモンキーはスパイダーマンとは別物。ナイトモンキーは黒いけど、スパイダーマンは黒い服を着ないから」「スパイダーマンは最高。他の国にもスパイダー・パワーを持つヒーローが必要なのかも」とコメントしているが、デイリー・ビューグルは「スパイダーマンはまったく最高じゃない」「スパイダーマンはしばらく消滅していたと思われるが、破壊と犯罪をひっさげてニューヨークに帰ってきた」「ナイトモンキーがニューヨークの問題を世界規模の危機にまで拡大する可能性がある」と真っ向から証言に反対する意見を掲載している。

ほかにもサイトでは、スパイダーマンがレストランでマフィアと公に戦ったことについて、「マフィア同士の冷戦に火をつけてしまった」「スパイダーマンは駆けつけた警察官にも生意気な口を利いた」と批判する記事や、イタリアに出没したハイドロマンの存在をアメリカ政府が伏せていると指摘する記事、さらにはエリア51にかこつけて「真のエイリアンは善行を働いているかのようにふるまっているスーパーヒーローだ」「エイリアンの技術と武器に我々の街は悩まされてきた」と記した記事など、まったくブレのない編集方針を垣間見ることができる。
なお、突如として人々が消滅してしまった事件については、無事に戻ってきた人々による証言を取材したブログが公開されている。37歳の教師ロバート・ハリントン氏は「妻が消えてしまい、葬儀を開きました。涙が止まらなかったですね。ただ、おかしな話なんですが、彼女が他の男と駆け落ちするために事件を使っていたことが分かったんです。ええ、本当におかしな話です。ええ、大丈夫ですよ、これは笑いの涙です」とコメント。また、映画の撮影中、落下スタントの途中で消滅したスタントマンのジャック・トリコーニ氏は、自分の落下するマットが撤去されてしまったため、戻ってきた際に怪我を負って入院しているという。
ちなみに――言うまでもないことかもしれないが――、デイリー・ビューグルのウェブサイトとジェイムソンの映像は、米ソニー・ピクチャーズが『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』のブルーレイ&DVDリリースにあたってプロモーションのため公開したもの。先日公開された『ナイトモンキー』のフェイク予告映像に続いて、実に手の込んだ仕掛けである。デイリー・ビューグルの本領発揮ともいうべき、勢いのあるコンテンツはファン必見。それにしても、J・K・シモンズが「“いいね”とチャンネル登録をお願いします」と口にする時代が来るなんて誰が想像しただろうか……。
ところでデイリー・ビューグルの記事をオンラインで読み、「EXCLUSIVE(独占)」と銘打ちつつも罵詈雑言が次々繰り出される映像を見ていると、これこそ、フェイクニュースサイトや昨今のメディアを風刺しているようにも思えてくる。ちなみにジョン・ワッツ監督は、『ファー・フロム・ホーム』のJ・ジョナ・ジェイムソンについて、「ちょっとやり過ぎている表現が、今ではやり過ぎだと思えないのが変な感じですよね。これは今の現実に通じていると思うんです。僕が演出で変えたのではなく、世界の方が変化したんですよ」と語っていた。
映画『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』ブルーレイ&DVDは2019年12月4日(水)リリース。11月6日(水)よりデジタル先行配信。

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