Menu
(0)

Search

【解説】わからなかったアナタのために!『マイティ・ソー バトルロイヤル』監督が仕掛けた7つの笑いどころ

マイティ・ソー バトルロイヤル
©Walt Disney Studios Motion Pictures 写真:ゼータ イメージ

いやあ最高の映画でしたね、『マイティ・ソー:バトルロイヤル』
今作はコメディ要素強めと聞いてはいましたが、ここまで純粋に「楽しい」作品に仕上げてくるとは。アクション演出も緩急が効いていて文句なくカッコよかったし、マニアが喜ぶアメコミネタの散りばめ方も絶妙でした。タイカ・ワイティティ監督、そして彼をフックアップしてきたケヴィン・ファイギ恐るべし。

ところで小生はこの映画、初回は11歳の息子と観に行ったのですが、「どうだった?」と鑑賞後感想を尋ねたところ「面白かったけど、ギャグがあまりわからなかった」というすげない返事。確かに思い返してみると、全編にしつこいくらいに散りばめられた笑いどころの中には、予備知識がないとわからないネタも少なからずありました。
映画公開から数日が経過した現在、これら小ネタやカメオ出演の多くは数多ある映画情報サイトにトリビアとして紹介されていますが、そこは「より詳しく」がモットーの当サイト。他のサイトがあまり触れていないネタを中心に、解説がてら振り返ってみましょう。

注意この記事には、映画『マイティ・ソー バトルロイヤル』のネタバレが含まれています。

マイティ・ソー バトルロイヤル
©Walt Disney Studios Motion Pictures 写真:ゼータ イメージ

1.スカージの宝物

ヘイムダルの逐電後、虹の橋ビフレストの門番にちゃっかり着任したスカージ。アメコミファンの間では「エクスキューショナー」の方が通りがいいかもしれません。原作ではヴァルキリーの天敵、エンチャントレスの懐刀として暗躍することが多かったヴィランですが、コミックにおいても最期は改心し、ソーと共にアスガルドの民を守るために戦い命を落としました。ちなみにマーベルにはもう一人「スカージ」という名のキャラクターがいますが、そちらはデモリションマンというヴィジランテの別名です。

ともかく、物語序盤でムスペルヘイムからの離脱を求めるソーをそっちのけで、ギャルを相手に職権濫用して集めた異世界の品物を見せびらかしているスカージ。「デス」と「トロイ」と名付けたマシンガンを紹介した後に、彼が両手に持ってカチャカチャ上下に振っているのは、「シェイクダンベル」とか「シェイクウェイト」という名で知られる筋トレ用の器具です。
実はワイティティ監督、DC映画『グリーン・ランタン』(2011)に主人公ハルの親友トムとして出演していたのですが、撮影当時ホテルでの待機が長すぎて、深夜テレビを見ているときに、「暇だからこれからテレビでCMする商品全部買っちゃうもんね!」と思い立ちいろんなものを無駄に購入した中で、現在でも唯一手元に残っているのがこの「シェイクダンベル」。スカージが振っているのはワイティティ監督の私物ってわけです。監督の中ではDCとマーベルのクロスオーバーなんだとか。

2.シェイディ・エーカーズ

オーディンに成り代わってアスガルドで好き勝手に振舞っていたロキ。恐い兄貴にとっちめられて、ミッドガルド(地球)のオーディンの居所へ案内させられてしまいます。ロキがオーディンに魔法をかけて置き去りにした場所はニューヨークの老人ホーム。しかしソーとロキの二人が訪れた際には取り壊しの真っ最中でした。かろうじて残った表札には「シェイディ・エーカーズ・ケア・ハウス」の文字が。

このシェイディ・エーカーズという老人ホームの名前ですが、アメリカの社会風刺アニメ『サウスパーク』で、主人公スタンのお爺ちゃんマーヴィンが入居している互助施設の「シェイディ・エーカーズ・リタイアメント・コミュニティ」からとられています。コメディ出身のタイカ・ワイティティ監督らしいオマージュですよね。
そしてこの『サウスパーク』の「シェイディ・エーカーズ」という名前にも元ネタがありまして、それは『エース・ベンチュラ』(1994)や『ライアーライアー』(1997)などジム・キャリー主演映画で知られるトム・シャドヤック(Tom Shadyac)監督のファミリーネームをもじったものです。

3.グランドマスターのチョコレート工場

ヴァルキリーに捕獲されたソーが椅子に拘束され、惑星サカールのプロモーション映像を見せられるシーン。らしくないソーの絶叫で現実に戻るシーケンスですが、元ネタがわからずキョトンとされた方も多かったのではないでしょうか。

ソーが見せられた映像のバックに流れていた音楽は、ジョニー・デップ主演の映画『チャーリーとチョコレート工場』(2005)の旧版『夢のチョコレート工場』(1971)でジーン・ワイルダー扮するウィリー・ウォンカが歌っている「ピュア・イマジネーション」をアレンジしたもの。この場面はそのまま『夢のチョコレート工場』でゲストがワンダラス・ボートに乗るシーンのオマージュになっているのです。グランドマスターとウィリー・ウォンカ、言われてみるとキャラクター造形に近しいものがありますが、ネタ的にかなり難易度が高かったことは確かです。

Writer

アクトンボーイ
アクトンボーイ

1977年生まれ。スターウォーズと同い歳。集めまくったアメトイを死んだ時に一緒に燃やすと嫁に宣告され、1日でもいいから奴より長く生きたいと願う今日この頃。

Ranking

Daily

Weekly

Monthly