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『サンダーボルツ*』は『スーサイド・スクワッド』『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』といかに差別化したか? ─ 「彼らのほうが私たち全員に近い」と監督

サンダーボルツ
(c) 2025 MARVEL

マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)映画『サンダーボルツ*』は、“最強じゃない、ヒーローじゃない”、いわゆるアンチヒーローたちのチームアップ映画だ。

本作は製作発表の直後から、DCコミックスのアンチヒーロー映画と比較されて「マーベル版『スーサイド・スクワッド』」と形容されてきた。また、決して善人とはいえないメンバーの寄せ集めチームを描いた『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズとの類似も指摘されたのだ。奇しくもこれらの作品は、MCUの功労者のひとりであるジェームズ・ガンによる仕事である。

では、コンセプトが似ていると思われがちな先行作品を前に、製作陣はどのような差別化を図ったのか? Fortress of Solitudeのインタビューでは、監督のジェイク・シュライアーがこの質問に真っ向から回答している。

「ジェームズ(・ガン)は『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』や『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』(2021)で素晴らしい仕事をしました。けれども比較するなら、それらの作品が描いたのは“はみ出し者の最高の集団”だったと思います。

しかし、このグループ(サンダーボルツ)は、たとえばジョン・ウォーカーのように、“自分はヒーローだ、主人公なんだ”と思いながら道を踏み外した人たち。だから、より私たち全員に近いと思います。大きなことを成し遂げるはずだったのに、うまくいかなかった。じゃあ、それからどうするのか。どこに向かい、どうやって新しい道を見つけるのか?」

また、脚本のレベルでも大きな違いがあるという。なぜならサンダーボルツは、もともとチームを組むことが前提ではなかった集団だからだ。シュライアー監督は、「ヴァルは極秘任務のための集団を作ろうとしているのではありません」と明かしている。むしろ、彼女の狙いは真逆なのだと。

「その時点で差別化はできていると感じましたし、そこから人物の内面深くに潜り込み、外的葛藤よりも内面の葛藤に焦点を当てることで、自分たちらしい作品にできると思いました。」

実際に映画を観てみると、悪党たちとユーモアのバランスこそガン作品に近いものの、この映画が作風も質感もまったく異なるオリジナルな作品になっていることはすぐわかる。もちろん、デヴィッド・エアー版『スーサイド・スクワッド』(2016)ともまるで違う一本だ。

映画『サンダーボルツ*』は2025年5月2日(金)日米同時公開。

Source: Fortress of Solitude

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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