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【ネタバレ】Netflix映画『tick,tick…BOOM!』スティーヴン・ソンドハイム本人がある台詞を書き換えていた

tick, tick…BOOM!:チック、チック…ブーン!
Netflix映画『tick, tick…BOOM!:チック、チック…ブーン!』独占配信中

この記事には、『tick,tick…BOOM!:チック、チック…ブーン!』のネタバレが含まれています。

物語の主人公ジョナサン・ラーソンは、数々の賞に輝き、今なお世界中で愛され続ける名作ミュージカル、「RENT/レント」を生み出した実在の作曲家。35歳という若さでこの世を去った作曲家の生きた証を綴った物語が描かれる。8年間に渡り彼が手掛けてきたミュージカル『スーパービア』。そのミュージカルの試聴会で認められれば、ジョナサンは作曲家としての夢が開かれる。チック、チックと試聴会までの日にちが迫る中、ジョナサンは焦りながらも必死に創作に励んでいた。迎えた試聴会当日、大学時代に才能を褒められた作詞作曲家、スティーヴン・ソンドハイムが登場。そしてついに試聴会が始まり、新作とともに感動を届けたジョナサンは、聴衆から盛大な拍手で迎えられた。

試聴会は成功したが、「あれは元々難しい企画」「前衛的過ぎる」「制作費が高過ぎる」という理由から上演にこぎつけることは出来なかった。ジョナサンは深い悲しみと絶望感に襲われてしまう。しかし、30歳の誕生日を迎えた当日、ある一本の電話がかかってくる。それはソンドハイムからで、「作品は非常に良かった。それを言いたくて。おめでとう。もし良ければぜひ会って話をしたい。あの作品は最高級で将来性がある。君にもね。また電話するよ。誇りに思っていいぞ」という内容の留守電が入っていた。それに感動したジョナサンは、再び創作に打ち込んでいく。

感動的な言葉を送ったスティーヴン・ソンドハイム。それはまさにソンドハイム本人の想いが込められた言葉であり、本人による声だったようだ。The New Yorkerのインタビューにてリン=マニュエル・ミランダは、ソンドハイムが映画のために台詞を書き直したことを明らかしている。

「ソンドハイムのために映画を上映したあと、メールが彼から送られてきました。『私をとても優しく、立派に扱ってくれたことにはとても感謝している』と。ただ、『最後のジョナサンへのボイスメッセージは、ちょっと陳腐な感じがした。“君にはとても明るい未来が待っているような気がする(I have a feeling you’re going to have a very bright future)”と私は絶対に言いません。ソンドハイムがボイスメッセージで言う言葉を書き換えてもいいですか?俳優を呼び戻せなければ、録音するよ』と書かれていたのです。」

リン=マニュエル・ミランダは、「ソンドハイムのリライトを断るわけにはいきません!」と続けている。こうしてソンドハイムが自ら録音した声が留守電に使われることになったのだ。

そんなスティーヴン・ソンドハイムは、2021年11月26日に死去。91歳だった。ソンドハイムはトニー賞はじめ生涯で、アカデミー賞、グラミー賞、ピューリッツァー賞、ローレンス・オリヴィエなど数々の賞を受賞した。この先も彼は演劇界から尊敬されつづけ、未来の作詞作曲家たちに影響を与えていくに違いない。

Netflix映画『tick,tick…BOOM!:チック、チック…ブーン!』は独占配信中。

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Source:The New Yorker

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Minami

THE RIVER編集部。「思わず誰かに話して足を運びたくなるような」「映像を見ているかのように読者が想像できるような」を基準に記事を執筆しています。映画のことばかり考えている“映画人間”です。どうぞ、宜しくお願い致します。