Menu
(0)

Search

【ネタバレ】『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』明かされた衝撃の真実、その意図は ― 監督が『帝国の逆襲』と比較する

映画『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』には、数多の仕掛けとサプライズ、そして人間ドラマが重層的に織り込まれている。なかには主要人物の衝撃的事実に言及される場面もあるが、ライアン・ジョンソン監督はその展開にいかなる思いをこめたのだろうか?
自身が大の『スター・ウォーズ』ファンだという監督が、シリーズの過去作品を踏まえて、米Entertainment Weekly誌にて本作の意図を一部明かしている。重大なネタバレが含まれているので、本編未見の方は決して読み進めないようご注意いただきたい。

注意

この記事には、映画『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』の重大なネタバレが含まれています。

©Walt Disney Studios Motion Pictures ©2017 & TM Lucasfilm Ltd. 写真:ゼータ イメージ

ついに明かされたレイの両親

『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』において、物語の中核を担うのは、前作『フォースの覚醒』でその能力に目覚めた主人公レイ(デイジー・リドリー)の“自分探し”だ。自分の能力はどれほどのものか、自分は一体何者なのか、そして自分に流れる血の由来は……。アイデンティティを求めるうち、彼女はダークサイドにも接近していくようになる。そこでカイロ・レン(アダム・ドライバー)とも通じるようになってしまうのだ。

物語の終盤、カイロ・レンはレイに触れて、彼女のすべてを見たと打ち明ける。レイが隠している両親とは、まるで何者でもないジャンク業者、酒の金のために自分自身を売って、すでに惑星ジャクーの墓に眠っている人物だというのだ。すなわち、レイは特別な血縁によってその能力や出自を保証されているわけではない、いうなれば「普通の人間」だったのである。

ライアン監督が『最後のジェダイ』に参加した際、レイの両親が誰なのかということは事前に決まっていなかったという。そこで監督は、「もっとも力強い答えとは何か? すなわちレイが知りうる、最もつらい出来事とは?」と自問しながら、その答えを導き出していったそうだ。

オリジナル3部作の第2作『スター・ウォーズ/帝国の逆襲』(1980)で、ルーク・スカイウォーカーは自分の父親がダース・ベイダーであるという事実を知った。ライアン監督は、レイの両親について『帝国の逆襲』と比較しながら解説している。

「ベイダーとルークの“アイ・アム・ユア・ファーザー”を思い返すと、あれが成功した理由は、単なるサプライズやツイスト(ひねり)ではなく、ルークや観客が知りうる当時最もつらい事実だったからだと思ったんです。憎むべき人物、殺したいと思うような悪人が、突然に主人公の一部なんだと分かる。すると、この人物をより複雑な観点から捉えないといけなくなりますよね。贖罪の物語、という観点で考える必要が出てくるんです。」

しかし本作で、ライアン監督は、レイの両親は何者なのか?という世界中の観客が期待する問いかけをすり抜けてみせた。むしろ、ファンが期待するような答えをあえて拒まねばならないと判断したようですらあるのだ。

「僕たちの映画は(『帝国の逆襲』の)逆なんです。“なるほど、こいつとあいつの娘だったんだ!”なんていうのは、レイや観客が知りうる中で最も生ぬるい答えですよ。願望を満たしてしまうし、レイをお膳立てして、簡単に居場所を与えてしまう。彼女にとって一番つらいのは、たやすい答えは手に入らないんだと知ることなんです。しかもカイロはその事実を、レイへの挑戦、レイを弱らせるために使ってくる。彼に頼らざるをえなくなるように。」

しかしルークが絶叫して落ちていったのとは違って、レイはその事実に圧倒されることはない。「レイは2本の足で立つために、自分の強みを知らなければならないんです。この物語の中に、自分自身を定義しなければなりません。」

なおライアン監督は、本作で判明したこの事実が『エピソード9(仮題)』でどう扱われるのかを一切明らかにしていない。ならば次回作には、さらなるサプライズが待っている可能性もあるだろうか……? 監督はあくまで、「あの時、カイロはあれが真実だと信じています。指が触れた際に見えたものを彼は信じている。レイも、彼から伝えられたことを信じるんですよ」と語っている。

映画『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』は2017年12月15日より全国の映画館にて公開中。

Source: http://ew.com/movies/2017/12/16/the-last-jedi-spoiler-rey-parents/2/
©THE RIVER

Writer

アバター画像
稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。