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『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』フォースはどこまでできる?衝撃の新解釈を監督が徹底解説

©Walt Disney Studios Motion Pictures ©2017 & TM Lucasfilm Ltd. 写真:ゼータ イメージ

映画スター・ウォーズ/最後のジェダイは、これまで『スター・ウォーズ』シリーズを愛してきた人々の中で、大きな賛否両論を生んでいる作品だ。常識とされてきたものをぶち壊し、シリーズを新たな方向へと導かんとするルーカスフィルム&ライアン・ジョンソン監督の意志が映画全体にみなぎっているばかりか、ファンが思わず目を疑うようなシーンも含まれているのである。

とりわけ議論を巻き起こしているのは、シリーズを通して入念に練り上げられてきたフォース」についての新解釈だ。果たして、フォースには何ができるのか? どこまでできるのか? 本作で取り入れられた新しい描写の数々について、ライアン監督がその意図と目的を解説している。

注意この記事には、映画『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』の重大なネタバレが含まれています。

©Walt Disney Studios Motion Pictures ©2017 & TM Lucasfilm Ltd. 写真:ゼータ イメージ

レイア、宇宙空間から自力で帰還

まず観客が驚かされるのが、ファースト・オーダー軍の攻撃を受けて船を破壊されたレイア・オーガナが、宇宙空間へ放り出されたものの、フォースの力によって命からがら自力で帰還するという展開だ。彼女は意識を失うが、それでも命を落とすことは免れるのである。

「そんなのあり?」とすら思わせるレイアの宇宙遊泳は、ルーカスフィルム社長のキャスリーン・ケネディ氏とライアン監督の話し合いをきっかけに誕生したようだ。米Entertainment Weekly誌にて、監督は当時の様子を振り返っている。

「彼女(キャスリーン氏)はいつも、“レイアはスカイウォーカーなんだし、ルークは『ジェダイの帰還』(1983)で、君にも力があるって言ってたよね”と話していました。彼女がその力を使うのは、情緒的にも非常にインパクトがあるだろうと思ったんです。」

劇中でも語られているように、フォースは世にあまねく万物に宿っている。その能力を感知して使いこなせるのはジェダイの騎士やシスの暗黒卿のみだが、本作では(物語の主題がそこに帰結するように)さらに広い視点からフォースなるものを取り扱おうと試みられているようだ。レイアが宇宙から帰還することにも、そうした意図の一端がうかがえる。

(フォースとは)本能的なものなんだ、という考え方です。車の下に子供が挟まってしまった親が、ハルクのような力を発揮して子供を持ち上げる、という話に近いでしょうね。もはやこれまでという時に、まだ戦いが終わっていないことを彼女は示したんでしょう。水に溺れた人が自力で戻ってくるようなものです。そういう形で、彼女に力があることを初めて示すことにしました。」

ちなみにレイア役のキャリー・フィッシャーは、ついに自分がフォースの力を駆使することをとても喜んでいたのだという。

レイ&カイロ・レンの通信

本作でフォースの能力は、レイとカイロ・レンが空間を飛び越えて出会い、お互いの意志を伝えることにも使われる。のちに最高指導者スノークの企みだったことが明かされるこの仕掛けによって、二人は前作『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(2015)とは比べ物にならないほどの対話を重ねるのだ。

LATimesのインタビューで、ライアン監督は、この能力について「物語が必要としていたものなんです」と語っている。「二人は話し合わなきゃいけない、でも顔を合わせたら戦いが始まってしまう、じゃあどちらかを縛りつけておけばいいのか……」と、紆余曲折を経て編み出された方法だというのだ。

「二人を話し合わせたかった。それも(レイがカイロ・レンを)大嫌いだというところから、しかたなく彼に協力するようになるまで、十分に話をさせたかったんです。これが“フォース・コネクション”という新しい要素が生まれた理由ですね。『帝国の逆襲』(1980)のラストでダース・ベイダーとルークに起きたことに少し似ていますが、全体的には新しいものだと思います。」

ところで、レイの前に上半身裸のカイロ・レンが現れるという突然のくだりについて、その意図を監督はこう語っている。

「アダム(・ドライバー)はずっと厳しいトレーニングをしていたので、それを見せるのは愉快だと思ったんです。でも、きちんと目的もあって。不快な馴れ馴れしさを感じさせたかったんです。できるだけレイを辛い目に遭わせるというテーマがあったので、とにかく嫌いになりたい人間との親密な会話から逃れられないのは良いだろうと。」

ちなみにこの能力は、一部ファンの間で“FaceTime”をもじって“ForceTime”と呼ばれているようだ。この話を聞いたライアン監督は、「“Force Skyping(フォースのSkype通話)”というのは聞いたことがありますよ(笑)。でも、そっちもいいですね! Appleと話をしなきゃ、スゴいブランド提携のチャンスですもんね」と答えている。

Writer

稲垣 貴俊
稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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