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『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』脚本に黒澤明作品の影響があった ― 撮影直前に追加されたシーンとは

©Walt Disney Studios Motion Pictures ©2017 & TM Lucasfilm Ltd. 写真:ゼータ イメージ

映画『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』で脚本・監督を務めたライアン・ジョンソンは、日本の巨匠監督・黒澤明の映画から受けた影響を作品に取り入れていたという。本作のとある重要シーンに関する裏話が、『アート・オブ・スター・ウォーズ/最後のジェダイ』(ヴィレッジブックス刊)にて語られている。

注意

この記事には、映画『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』のネタバレが含まれています。

©Walt Disney Studios Motion Pictures ©2017 & TM Lucasfilm Ltd. 写真:ゼータ イメージ

ルーク&カイロ・レンの回想シーンに『羅生門』の影響

『アート・オブ・スター・ウォーズ/最後のジェダイ』で、ライアン監督は本作の製作にあたって、複数の黒澤明作品から影響を受けたことを明らかにしている。なかでも驚かされるのは、ルーク・スカイウォーカーが眠っているカイロ・レンを殺そうとする回想シーンが、『羅生門』(1950)の影響を受けていたということだ。

映画『羅生門』は、芥川龍之介による短編小説『藪の中』と『羅生門』を原作に、黒澤と橋本忍が脚本を執筆した作品。ライアン監督は、3回繰り返される回想シーンを「『羅生門』みたい」だと形容しているが、事態の真相がつかめない(少しずつ明らかになる)構成そのものは『藪の中』がベースになっている。また、ジョージ・ルーカスが『スター・ウォーズ』の製作時に参考にしたという黒澤映画を、ライアン監督が改めて参照し直しているところも興味深い。

本作『最後のジェダイ』において、繰り返される回想シーンでは、ルークがライトセーバーを持ってカイロの枕元に立っていたことが“嘘”として暴かれ、決定的な事件が起こってしまった経緯が明らかにされていく。「なぜベン・ソロ=カイロ・レンはダークサイドに堕ちたのか?」という、前作『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(2015)から続くミステリの回答部分でこうした構成が採られた理由は、ぜひ『アート・オブ・スター・ウォーズ/最後のジェダイ』の本文でお確かめいただきたい。

また驚かされるのは、この一連の回想シーンが本作の撮影直前に追加された場面だったということだ。完成版の構成と内容になる以前、ルークとカイロ・レンの過去がどのように語られていたのかも気になるところである……。

『アート・オブ・スター・ウォーズ/最後のジェダイ』には、ほかにもライアン監督ほかスタッフによる製作秘話が大量に収められている。黒澤映画やクラシック映画からの影響も多数明かされているので、『最後のジェダイ』から始める映画鑑賞ガイドとしても楽しめることだろう。

映画『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』は2017年12月15日より全国の映画館にて公開中

[参考文献]
『アート・オブ・スター・ウォーズ/最後のジェダイ』フィル・スゾスタック ライアン・ジョンソン著,秋友克也訳,ヴィレッジブックス

Source: https://screenrant.com/star-wars-last-jedi-flashbacks-luke-kylo/
©Walt Disney Studios Motion Pictures ©2017 & TM Lucasfilm Ltd. 写真:ゼータ イメージ

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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