『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』ルークの物語がこうなった理由 ― 『フォースの覚醒』ハン・ソロが与えた影響とは

映画『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』で、ルーク・スカイウォーカーは『エピソード6/ジェダイの帰還』(1983)以来、実に34年ぶりの本格復帰を果たす。主要キャラクターが若い世代へと交代するなかで、彼の物語は決して拭えない歴史性をはらみ、作品をより重層的なものにしているのだ。
脚本・監督を務めたライアン・ジョンソンは、自身の手でルークという人物を再び描くこと、そこに何を見せるかということをいかに考え抜いたのだろうか。そして、前作『フォースの覚醒』(2015)に登場したハン・ソロの存在は、本作のルークにどんな影響を与えていたのか……。

なぜルーク・スカイウォーカーは死なねばならなかったか
『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』のラスト30分間、ルークはかつてないほどの活躍を見せる。惑星クレイトに撤退したレジスタンスは、猛攻を重ねるファースト・オーダーからいかにして逃れるのか……。最大の苦境に現れたルークは、かつての弟子であるカイロ・レンの前に現れて攻撃を一身に受ける。しかし彼の実体は、隠遁生活の地である惑星オクトーにあり、激しい戦いを終えると、二つの夕日を見つめながら一人で逝ってしまうのだった。
米UPROXXのインタビューにて、ライアン監督は、ルークが死をもって伝説となる結末について「大いに話し合った」としながら、「いつも頭の中にあったことですし、あらゆる理由で納得できていたことなんです」と断言する。
「まず、この作品はルークの映画です。マーク(・ハミル)は素晴らしい演技を見せてくれました。彼の旅は、ルーク・スカイウォーカーの伝説を引き受けるところへと戻ります。この宇宙のためにならないと拒んだものが、この銀河系に求められていることに彼は気づくんですね。“伝説であることを求められるなら、私はそうならねばならない”と、その責任を負うんです。それから彼は戻ってきて、この宇宙に響き渡ることになる勇敢な行動に出る。そしてお別れの時がやってくるわけです。十分理解できる、非常にエモーショナルな力をもった時間だと思います。」
ライアン監督のこうした思いは、映画を締めくくるラストシーンにも直接的に表れている。とはいうものの、『スター・ウォーズ』の主人公であるルークを退場させるという決断はさぞ重いものだったのではなかろうか。
インタビュアーから「(ルークの死は)いつか起こるものだと思っていたんですか? 方法がわかっていたから、自分がやるべきだということだったんでしょうか……」と問われた監督は、「ノー、ノー。全然思っていませんでした」と答えている。
「実際のところ、“ウソだろ、ここでやらなきゃいけないじゃん”って感じで。これをやる責任、うまくやってのける責任があるのはちょっとだけ怖かったですし、緊張しましたね。それでも、しかるべき時に、しかるべきところでやれたと思っていますよ。」
『フォースの覚醒』ハン・ソロの死が与えた影響
本作『最後のジェダイ』でルークが去ったことによって、『フォースの覚醒』から始まった3部作は、2作連続でオリジナル3部作の主要人物を退場させたことになる。息子のベン・ソロ=カイロ・レンに殺されるという衝撃的な幕切れを迎えたハン・ソロの存在は、ルークを死なせるという本作のポイントにいかに作用したのだろうか?
「エピソード7(『フォースの覚醒』)のハン・ソロとは対照的にしたかったんです。ハンの死は暴力的だったし、また敗北でしたよね。僕はその一方で、ルークの死を平和的なものに、勝利にしたいと思いました。」
またライアン監督は、自身と同世代の『スター・ウォーズ』ファンが抱えているであろう課題を、ルークやハン・ソロを通じて作品に取り込みたかったとも語っている。
「また異なる要素が、僕にとっては真実のように思えました。それがハン・ソロやルークにとっての真実なんじゃないかとも。つまり、『スター・ウォーズ』で育った人々の多くは、人生において、人を指導する立場にありますよね。年を取りはじめて、誰かに敗北することや、誰かとの関係性が変わること、関係性ごと別物へと変わってしまうことに向き合いはじめている。それが、『スター・ウォーズ』ファンである僕の世代の人々が取り組んでいる人生の要素だと思います。そうしたものを取り入れるのが誠実だと感じたんですよ。」
映画『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』は2017年12月15日より全国の映画館にて公開中。
Source: http://uproxx.com/movies/rian-johnson-the-last-jedi/
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