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徹底解説!『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』新予告編映像を読み解く

https://youtu.be/Q0CbN8sfihY

「お前と出会った時、荒々しく狂う力を感じた」…「だが、それ以上に特別な”何か”を感じた」──カイロ・レンに説くスノークの声が響く。新しいスター・ウォーズ・サーガにおいて、我々が乗り越えるべき邪心に満ちた声だ。この記事では、新たに公開された『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』予告編映像を詳しく見てみよう。

『最後のジェダイ』は、新たなる三部作の中間作となった。同じ場所に位置する『帝国の逆襲』(1980)と対比する見方も強い。確かに、白い地表広がる塩砂漠の惑星クレイトで、横一閃に並び差し迫るAT-M6ウォーカーは、『帝国の逆襲』序盤の惑星ホスの戦いを彷彿させる構図だ。

https://youtu.be/z9zxunCma0g

それは、レイがジェダイとして真の意味での覚醒を遂げるテーマにも通ずる。「ついに覚醒した」──かつてルーク・スカイウォーカーがオビ=ワンやヨーダの指導のもと、もがきながら成長過程にあったように、レイもまた、ルークのもとで修行に挑む。

「私は究極の力を知っている」「かつては恐れなかったが、今は違う」──ルークが震えながら警告した「究極の力」とは何か。父アナキンは、ジェダイの規律では到達できないダークサイドの力に誘発され、ダース・ベイダーとなった。思い出そう。ルークは、最強のシス卿ダース・シディアスを目の前にしても物怖じせず、「僕はジェダイだ。かつて父がそうであったように」と堂々たる姿を見せた。それも、ライトセーバーを投げ捨てながらである。毅然とした善の心があれば、どんな邪心をも打ち砕くことができる。ルークはそう信じていた。若かった。たしかに、かつては恐れていなかった。でも、「今は違う」というのだ。

ルークをもそこまで追い詰めた、恐るべき「究極の力」を追求するのが、カイロ・レンである。かつてルークのもとで新ジェダイ・オーダーの発足を目指し修行に挑んでいたはずのベン・ソロは、屈折した怒りの衝動をついに抑えきることはできず、その矛先をルークに向けた。ルークが夢見た新たなオーダーはベンに壊滅せしめられ、愛すべき甥は最高指導者スノークの誘惑に乗ってしまった。若き頃、ルークを見守り、正しき道に導いたベン・ケノービの名を授かったその若者は、今や恐るべき男となっていた…。

そのカイロは、未だ拭いきれぬ葛藤の中でもがいていた。『フォースの覚醒』でレイとの決戦にて負傷した左頬の傷は、黒いカーボンのように修復されている。しかし彼の内には、その顔面の傷よりもっと深く刻まれ、そして決して癒えぬものがあった。「過去を葬る」──それほどまでに強いトラウマを与えたのは、他ならぬ彼の両親の存在だった。『フォースの覚醒』でカイロは、互いの間にあった氷を溶かそうと歩み寄った父ハン・ソロに、無慈悲の刃を突き刺して「父殺し」を遂げた。そして『最後のジェダイ』で狙うのは、母レイアの存在だ。「殺るしかない」「それが唯一の方法」「運命に従うしかない」──強いフォース感応者でもあるレイア・オーガナは、身に差し迫る危険を察知し、覚悟を決めたような表情を見せる。タイ・サイレンサーのコックピットからミサイル発射ボタンに指をかけたカイロは、攻撃をためらうような表情を見せるが…。

前作からの因縁も再び描かれる。ファースト・オーダー将校として変装侵入するとみられるフィンの前には、かつての上官キャプテン・ファズマが再び立ちふさがる。ポー・ダメロンらレジスタンスは「一人の力は小さくても、必ずファースト・オーダーを倒す」とその決意を新たにする。

その中心にあるのは、ルーク・スカイウォーカーの物語だ。ライアン・ジョンソン監督は、「『最後のジェダイ』は、ルーク・スカイウォーカーの映画」であると語っている。(出典:EMPIRE October 2017)

「ルーク・スカイウォーカーとは誰か?そして、今のルーク・スカイウォーカーとは?僕はルークとは誰だろうという疑念とともに育った。なぜルークはあの島にいたのだろう。彼は腰抜けではない。戦いから逃げているわけではない。だから、あそこに隠れているのには何か理由があるはずなんです。」

ルークは、父の身に降りかかり、そして全銀河がその代償を強いられた悲劇を目の当たりにしていた。「道を誤れば、すべて終わりだ」──レイへの強い警告もむなしきかな、最高指導者スノークの魔の手はレイにも差し迫る。「運命を果たすのはお前だ」。

レイが「私に居場所をくれる人を求めていた」と打ち明けると、素顔のカイロ・レンが手を差し伸べる。レイをダークサイドに誘惑していると見られるだろう。しかし、我々にはいつだって希望が残されている。「あの人には、まだ善の心が残っている」。アナキンの妻パドメは、そして息子ルークは、最後までその中に残る一筋の光を信じ続けた。今度は、カイロ・レン…ベン・ソロのために信じ、祈る番だ。

映画『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』は2017年12月15日、ついに公開。映像内の小ネタの解説は以下の記事にて。

Writer

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中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。