「THE LAST OF US」第2話、ラストのおぞましい◯◯があえて描かれた理由とは?

この記事には、「THE LAST OF US」第2話『感染』のネタバレが含まれています。
「THE LAST OF US」第2話、クリッカーの口付け
第2話の終盤では、クリッカーと呼ばれる感染者との戦いの末、テス(アナ・トーヴ)が感染したことが明らかに。ジョエル(ペドロ・パスカル)、エリー(ベラ・ラムジー)、テスがいる建物に感染者の大群が向かう中、テスは自ら犠牲になることを決断。ガソリンの樽をひっくり返し、手りゅう弾を仕掛け、ジョエルとエリーだけを逃がす。
感染者たちが建物に侵入し始めると、ライターの火をつけようとするテス。すると感染者の一人が彼女に接近し、まるでキスするように、口から伸ばした菌糸を彼女の口の中に潜り込ませる……。
原作ゲームにおいて、テスはFEDRAの兵士に殺されるため、同シーンはドラマ版の完全オリジナルとなる。テスの最期がより印象的に描かれたと称賛する声は多いが、一方で、感染者のキスというおぞましい描写は本当に必要だったのか?という声も。米Varietyのインタビューでは、このゾッとするシーンを描いた理由について、製作者のクレイグ・メイジンが語っている。
まず、感染者の口から出る菌糸については、科学的な調査に基づく設定であると説明。「現実世界で菌類がどのように現れるかを初期に研究していました。どのように見えるかは、ゲームの中にとても良いテンプレートがあります。我々はさらに踏み込んで、“他にどういう形態や機能があるのか?”と考えたんです。あるアーティストによる、菌類に寄生された人間の画像を見つけたのですが、その人間の口の中にキノコがありました」。
その上でキスの描写は、「感染者は暴力的になる必要があるのか?」という哲学的な問いから生まれたことを明かした。
「我々はすでに菌糸が(口から)出てくるアイデアを話していましたし、哲学的な問いかけも投げかけていました。“なぜ感染者は暴力的なのか?菌類の拡散が目的なら、なぜ暴力的である必要があるのか?”と。我々が抵抗するから暴力的になるのであって、抵抗しなければどうなるか?ただじっと立っていて彼らにこんなことをされたら、どう見えるか?そして、この悪夢を引き起こすような描写(nightmare fuel)にたどり着いたのです。」
最後にメイジンは、当該シーンに込められた意味についてこう語る。「不穏で、暴力的です。自分の体を侵すという点で、とても原始的だと思います。使い古された言葉を使えば、トリガー(引き金)なんです。(第2話を監督した)ニール(・ドラッグマン)の演出と、何もない状態でのアナ・トーヴの演技、そして視覚効果部門の素晴らしい仕事によって、すべてが一体となり、リアルで恐ろしいものに感じられるようになりました」。
実際に第2話を観終えた視聴者は、暴力的な描写を目にするよりも、ずっと不気味かつ恐ろしい気持ちになったのではないだろうか?
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Source:Variety