「THE LAST OF US」ドラマ版、長期シリーズ化の計画なし ─ 「ゲーム以上のストーリーを語ることはない」

2023年1月27日(米国時間)、HBOドラマ「THE LAST OF US」シーズン2の製作が決定した。シーズン1の第1話が配信開始されてから3週間とかからずの早期発表だった。
本作は2013年発売の同名人気サバイバル・アクションゲームを実写化したもので、寄生菌の感染爆発により文明が崩壊した世界で、生存者のジョエルが寄生菌の抗体を持つ少女・エリーを隔離地域から脱出させる物語。批評家・視聴者の評価は高く、エリー役のベラ・ラムジーも以前から「皆さんが(番組を)見続けてくれるなら、可能性はかなり高いと思います」と語るほど、シリーズ継続への期待はきわめて高かった。
もっともシリーズのキーパーソンは、ドラマ版「THE LAST OF US」を長寿シリーズとする意向はないようだ。ゲーム版を手がけ、ドラマ版でも監督・脚本・製作総指揮を務めるニール・ドラックマンは、米The Hollywood Reporterにて、シリーズ全体のプランをこのように語っていた。
「ゲームの翻案以上のストーリーを語る計画はありません。『Part II』(ゲーム版第2作)はクリフハンガーで終わっていないので、私たちが『ゲーム・オブ・スローンズ』(2011-2019)と同じ問題にぶつかることはないでしょう。」
ここで語られている「『ゲーム・オブ・スローンズ』と同じ問題」とは、ジョージ・R・R・マーティンによる小説シリーズ『氷と炎の歌』を同じくHBOがドラマ化した同作が、シリーズの製作中に原作を追い抜いてしまい、オリジナルの展開を余儀なくされたこと。ドラマ版「THE LAST OF US」もHBOの目玉作品だが、こちらは『Part II』の結末時点でひとまず完結を迎えることになりそうだ。
ドラックマンと共同で監督・脚本・製作総指揮を務めるクレイグ・メイジンも、同じく「永遠に続くような番組に興味はありません」と断言している。「永久機関のようになると、どうしても一種の……バカバカしさを感じてしまうのです。私にとっては結末が全てですから」。
もっとも逆に言えば、ゲーム版の第3作が実現すればドラマ版の継続もありうることになる。しかし米BuzzFeedにて、ドラックマンは『Part III』の製作については明言を避けた。「(続編は)私たちが続けたいかどうか。1作目と2作目のように、愛に関する普遍的なメッセージと意見をそなえた切実な物語を生み出せれば、そのストーリーを語ることになるでしょう。しかしそうでなければ、『Part II』の結末は非常に力強いものでしたから、あそこで物語は終わりです」。
強いて言えば、“スピンオフ”という可能性は残されている。現在、ゲーム版のチームは『The Last of Us』の新作マルチプレイヤー作品(タイトル未定)を開発中だからだ。こちらの詳細は2023年内にも明かされるとみられ、ドラックマンによると「別の街を舞台にした、新しい物語とキャラクターを体験できる『The Last of Us』ユニバースの新章」になるとのこと。そちらを原作とすれば、ドラマでも別の物語を描くことはできそうだが……?
HBOオリジナル「THE LAST OF US」は、U-NEXTにて独占配信中(毎週月曜に新エピソードを配信)。
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Sources: The Hollywood Reporter, BBC, BuzzFeed