『トムとジェリー』なぜアニメと実写のハイブリッド?監督に訊いた

あの『トムとジェリー』が、ついに実写映画化だ。2021年3月19日公開の『トムとジェリー』では、おなじみのキャラクターたちが現実世界に飛び出して”なかよくケンカ”する。
出演は『キック・アス』シリーズのクロエ・グレース・モレッツに、『アントマン』シリーズのマイケル・ペーニャ。監督は『ファンタスティック・フォー』シリーズなどのティム・ストーリーだ。
THE RIVERでは、ティム・ストーリー監督への単独インタビューを実施。なぜトムとジェリーは2Dで描かれたのか?続編の話はある?気になる疑問をぶつけてみた。

ティム・ストーリー監督が語る『トムとジェリー』
──本作『トムとジェリー』は、アニメと実写のハイブリッドということで話題を呼んでいます。アニメのキャラクターたちを実写世界に持ち出す時、『ピーターラビット』や『パディントン』、『プーと大人になった僕』とか『キャッツ』みたいに、リアルなCG再現をするという選択肢もあったと思います。2Dにこだわった理由はなんですか?
この企画に参加したとき、トムとジェリーたちを現実世界につれてくる最高の方法は、彼らが見慣れた姿をしていることだと思いました。つまり、2Dということです。脚本を読んだときから、これは2Dが良いなとずっと思っていました。
特に今作はハイブリッド映画ということで、(アニメと実写の)両方の良いところを活かせる。アニメの面では、小さい頃から慣れ親しんだトムとジェリーが、お馴染みの姿そのままで登場して、アニメらしく落っこちたり、半分に切れたり、コテンパンにやられたりする、ということが大切だと思いました。
それと同時に、トムとジェリーといえばハチャメチャっぷりが楽しいですよね。それを実写の世界でやるんだということで、ホテルや結婚式でハチャメチャをやりたいと思いました。トムとジェリーを映画化する唯一の方法は、アニメと実写の両方の世界観を駆使することです。アニメキャラ独自のルールを用いること。そして、私たちが慣れ親しんだ世界の中で、その大混乱にリアクションをするということでした。

──そのアニメと実写を融合する際に、最も難しかったことは何ですか?
一番難しかったのは、撮影前に様々なことを決めておかなければいけないことです。アニメのキャラクターがどう動くかを、事前に固めておくんですね。通常、役者がどう動くかは自由が与えられているものですが、今作はアニメキャラの動きが決まっているので、これに合わせなければいけない。うまくいくときもあれば、そうでないときもありました。でも今作では最高のキャスト陣を与えられたので、事前に準備していたこととシームレスに繋がってくれました。
──つまり、アドリブはなかった?
アドリブはありました!キャストの気持ちにゆとりがあると、アドリブをやってくれる。そのアドリブに、アニメのキャラクターを反応させるということもやりました。
キャストたちには自由を与えるようにしました。それも、キャストの才能あってのことです。計画道りに進めるにはどうすればいいかを分かってもらっていたからこそ、キャスト独自のタッチも少し加えられたんです。
──世界中で愛されるトムとジェリーの新映画です。スタジオから「これはやっていいけど、このラインは越えないで」といったリクエストはありましたか?
全然!トムとジェリーがどういうものかは誰でも知っているけど、作品を見ると実は結構過激なところもあります。ハチャメチャなことがたくさん起こりますよね。ワーナー・ブラザースの素晴らしいのは、何も制約をつけなかったことです。ただ、観客が求める映画を作ってくださいと。
そういう自由を与えられると、クリエイティビティも無限大になるんです。楽しいことがたくさん思いついて、その全てを取り入れられたわけではないにしても、トムとジェリーの実写化は楽しいことだらけでした。何かを考え直したり、ああすれば良かったと後から気にすることも全くありませんでした。面白い形でうまくいきましたし、トムとジェリーらしさにも忠実にできました。
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