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「ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪」、当初『アベンジャーズ』ルッソ兄弟らも企画を売り込んでいた ─ Netflixも「マーベルの手法」を提案?

ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪
(c)Amazon Studios

J・R・R・トールキン著『指輪物語』に基づくAmazonの超大作シリーズ「ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪」。同シリーズは『ロード・オブ・ザ・リング』3部作の数千年前となる中つ国の「第二紀」に迫る物語だが、企画が動き出した当初はアラゴルンの物語やシェイクスピア風のドラマなど様々な企画がピッチ(売り込み)されていたようだ。「力の指輪」ショーランナーのパトリック・マッケイとJ・D・ペインが、その裏側を米Hollywood Reporterに語っている。

シリーズ化にはAmazon創業者ジェフ・ベゾスの「我々には『ゲーム・オブ・スローンズ』のような作品が必要だ」という発言が背景にあったといわれているが、当初はAmazonが配信プラットフォームの唯一の候補だったわけではない。2017年にトールキン財団が『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズ化のピッチを受け付ける意向を示すと、数々の放送局やプラットフォームが独自のアイデアをもって集結したという。

「ゲーム・オブ・スローンズ」で知られるHBOは、ピーター・ジャクソン監督の映画版と同様に中つ国の「第三紀」を語り継ぐことを提案。またNetflixは、ガンダルフやアラゴルンに焦点を当てたシリーズを売り込んだらしく、ピッチに参加した関係者は「彼らはマーベルの手法を取ったんです。財団は完全に怖気づいていましたよ」と語っている。一方でAmazonは具体的な企画を出さず、トールキンの遺産を守るため財団とクリエイティブ面で協力すると約束し、シリーズ化の権利を勝ち取った。

続いてAmazonに向けた企画のピッチには、何十人もの脚本家、プロデューサー、監督が集まった。その中には『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)『アベンジャーズ/エンドゲーム』を手掛けたルッソ兄弟の姿もあったようだ。2人は「アラゴルンの物語として」第3紀の企画を売り込んだという。他にも、『博士と彼女のセオリー』(2014)の脚本家アンソニー・マッカーテンが、シェイクスピアのようなテイストの企画を提案。マッカーテンは「強力なライバル」だったと伝えられているが、企画は実現しなかった。

そして最終的に選ばれたのが、当時まだ無名だったパトリック・マッケイとJ・D・ペイン。あまり知られていない「第二紀」が鍵になると考えた2人は、映画版の数世紀前を舞台に、不死のキャラクター(ガラドリエル、エルロンド、サウロンなど)を登場させる企画を提案。計9回ものピッチを経て、ショーランナーの座を勝ち取った。

当時の状況について、マッケイとペインはこう振り返る。「我々が対決した人たちは、この仕事にもっと適任だと思わせる経歴書を持っていました。私たちは、ダークホース的な存在だったのです」。

当時は、IMDbに経歴の記載すらなかったマッケイとペイン。ルッソ兄弟らハリウッドのヒットメーカーを抑えて起用されたのは、2人が披露した5シーズンにもわたるユニークで壮大な企画が素晴らしかったからだろう。そのアイデアはオリジナルファンをも惹きつけ、プレミア・エピソードは全世界で2500万人以上の視聴者数を獲得。プライムビデオ歴代作品最高の初日視聴者数を記録する快挙となった。

Source:The Hollywood Reporter,Variety

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KyokoKyoko Okajima

アメリカ留学、大手動画配信サービスの社員を経て、ライターに転身。海外ドラマが大好きで、永遠のNo.1は『ブレイキング・バッド』と『ベター・コール・ソウル』。

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