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『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』レイの過去「まだ物語ある」 ─ ルーク以上の才能、カイロ・レンとはコインの裏表

スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け
©2020 & TM Lucasfilm

『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』は、1977年『新たなる希望』に始まったスカイウォーカー・サーガの完結編であり、すなわち、2016年『フォースの覚醒』で始まった新3部作の完結編でもある。ルーク・スカイウォーカー、アナキン・スカイウォーカーに続いて3部作を牽引したのは、惑星ジャクーのスカベンジャー(廃品漁り)だったレイ。彼女の物語も、もうすぐ終わりを迎える。

『フォースの覚醒』で、ほとんど巻き込まれるようにしてレジスタンスとファースト・オーダーの戦いに身を投じたレイは、前作『最後のジェダイ』(2017)でルークとの対面を果たし、ファースト・オーダーの最高指導者カイロ・レンを拒絶する。米Entertainment Weeklyにて、ポー・ダメロン役のオスカー・アイザックは「(今回の)レイは自分で進んでいきます。誰かにやれと言われたことをやっているわけじゃない」と語った。

この記事には、映画『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』のネタバレが含まれています。

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スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け
© 2019 ILM and Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.

レイの物語、どう進む

『スカイウォーカーの夜明け』の舞台は『最後のジェダイ』(2017)から1年後。レジスタンスはファースト・オーダーに追い込まれたものの、そんな中でレイはフォースの訓練をさらに重ね、ジェダイとしてのさらなる強みを手に入れている。演じるデイジー・リドリーは、さらにハードなアクションに挑むべく、キックボクシングの鍛錬も積んだそうだ。とはいえ、物語が始まる時点のレイについて、デイジーはこう述べている。

「レイのスキルは成長していますが、“自信がある”という言葉はふさわしくないと思います。彼女は(能力の)すべてをコントロールできるようになっていますし、新しいこともできるようになっている。けれども、まだ安定してはいないし、少し不安を抱いてもいるんです。」

一方で脚本・監督のJ・J・エイブラムスは、とある“奇妙な情報”を認めてもいた。インタビュアーが「レイにはすごい才能があって、ルークよりも早くジェダイとして成長すると聞きましたが…」と言えば、「ええ、おかしな話でしょう?」と笑ったのだ。「その通りです。だけど、それは偶然によるものではありません」

なぜ、レイはかつてのルーク以上に優れた能力を持っているのか。『フォースの覚醒』以来、ファンの間では「レイは何者なのか」という疑問の答えが推理されてきたが、『最後のジェダイ』では“レイの両親は何者でもない”との答えが出されていた。両親はただのジャンク業者で、酒のためにレイを売り、すでにジャクーの墓場に眠っているのだと。すなわち、レイも何者でもない、普通の人間ということになる。この結論に激しく賛否が分かれたゆえだろう、デイジーは「両親のことについては、レイ自身も、観客のみなさんも納得していませんね」と語った。

「自分がどこからやってきたのか、彼女は今でも探し求めています。(両親について)レイが信じていないわけではありません。だけど彼女自身、もっと物語はあると感じているんです。それに彼女は、次にどうするのかを発見する前に、これまでがどうだったのかを知らなければいけません。」

ちなみにJ・Jは、『最後のジェダイ』で示された事実や展開をなかったことにはしない方針だ。したがって『スカイウォーカーの夜明け』では、あくまで前作までの展開にのっとって、レイのアイデンティティをめぐる物語がさらに深められるとみられる。実は今回、デイジーが最も大変だったのは、アクションを演じることではなく、レイの物語を演じること自体だったという。

「レイの物語はヘビーなんです。(撮影中には)“できません、きつすぎる。あの感情までもう一度持っていけるかどうか分からない”と何度も言っていました。」

カイロ・レンとの関係は

レイとフォースの関係、レイのアイデンティティの問題。それ以外にもレイには、カイロ・レンとの関係が残っている。カイロを演じるアダム・ドライバーいわく、『最後のジェダイ』でスノークを殺したことで、カイロは「生まれ変わった」という。「彼には父親のような存在がたくさんいます。自立した人間になるために、彼は期待に応えるか、あるいは殺さなければならなかったんです」。

スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け
© 2019 ILM and Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.

J・Jは、レイとカイロを指して「同じコインの表裏」だと言っている。「2人は一緒にいない時でさえ、ある意味で互いを悩ませている。お互いの存在が、まだ解決されていない問題であることを理解しているんです」。またデイジーは、レイとカイロの関係を「すごく複雑な問題」だと述べつつ、その締めくくりについて「非常にきちんと扱われています。表面的なものにはなっていません」と自信をにじませた。もちろん、2人の行く末に注目しているファンが多いこともしっかり認識しているようだ。

「仮説を書いてもらえるのは、すごく楽しいですね。だって、私はどうなるのかを知ってますから。(『スカイウォーカーの夜明け』では)みなさんの反応がすごく楽しみ。もちろん、“レイロ”的なことはありますよ。夢中になる人も、そうじゃない人もいると思います。」

ちなみにアダムは、レイとカイロの関係について「なにかひとつのものにはあてはまらないと思います」と話した。「演じていて楽しいのは、(関係性の)境目が変わり続けること。親密な時もあれば、そうではない時もあり、共依存的な時もある。それに敵対していますしね」。

予告編ではライトセーバーを交えているレイとカイロの関係は、どのような着地点を見出すのか。そして、レイの物語はどんな結末に到達するのか。すべてを知るJ・Jは、レイの原点に改めて注目すべきであることを示唆している。

「(『フォースの覚醒』のレイは)やけくそのスカベンジャーで、食事を値切り、生き残ろうと必死でした。そういう特別なスキル、特別や経験が、最終的には銀河を救うのに欠かせないんですよ。」

映画『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』は2019年12月20日(金)日米同時公開。

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Sources: Entertainment Weekly(1, 2), Rolling Stone

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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