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『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』デス・スター、なぜ再登場するのか ─ J・J・エイブラムスが作劇の意図明かす

スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け

映画『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』は、1977年『新たなる希望』に始まった「スカイウォーカー・サーガ」の締めくくりとなる作品だ。脚本・監督のJ・J・エイブラムスは、意識的に過去作品のエッセンスを取り入れながら、42年間に及ぶサーガの大団円を描き出そうとしている。

そのうちのひとつが、『スター・ウォーズ』シリーズにおけるアイコンのひとつと言っていい「デス・スター」だ。予告編には第2デス・スターが海に墜落している様子が映し出されているほか、米Entertainment Weeklyによれば、予告編でレイとカイロ・レンが激闘を繰り広げているのも第2デス・スターの残骸上だという。『フォースの覚醒』(2015)でも見られた反復構造は、いったい何のためか。J・J・エイブラムスは、デス・スターが本作に再登場する理由をこう語っている。

「幽霊屋敷に足を踏み入れるようなもの。そこは行かなければならない場所なんです。この物語では、前の世代が投げ出した責任に取り組む人々を描いています。だから(デス・スターは)過去の残骸が文字どおり戻ってきたもの。そして(人々は)最後まで戦わなければならないんです。明らかなメタファーですが、非常に映画的だと思います。」

エイブラムスが言うところの「過去の残骸」を舞台に、レイとカイロが戦うことになるのはいささか象徴的だ。しかも本作には、デス・スターと同じく“過去の存在”であるはずのパルパティーンも帰ってくる。その存在が“残骸”なのか、そしてどんな役割を与えられているのかは不明だが、いずれにせよ物語の核に深く関わっていることは間違いないだろう。ポー・ダメロン役のオスカー・アイザックは、シスとジェダイの“チェスの対局”に、本作で「ついに誰かがチェックメイトをかける」と語っている

デス・スターとパルパティーンがシス/ファースト・オーダー側の象徴だとすれば、『ジェダイの帰還』(1983)以来の登場となるランド・カルリジアンの再登場も気になるところ。演じるビリー・ディー・ウィリアムズは、物語の詳細を伏せつつも「ランドの人生にはいろんな出来事が起きていて、彼はそれを解決しなければならないのです」と述べている。ともすれば自分自身が置き去りにしてきたのかもしれない“過去の残骸”に、ランドもまた向き合っているということだろうか。ならば、レイア・オーガナやC-3PO、R2-D2、そしてルーク・スカイウォーカーはどうか……。

映画『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』は2019年12月20日(金)日米同時公開

Source: EW

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。