『ザ・スーサイド・スクワッド』キング・シャークがシルヴェスター・スタローンでなければ成立しなかった理由とは

米ワーナー・ブラザース/DCコミックスによる最新作『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』に登場する悪党たちのなかには、ひときわ目を引くキャラクターがいる。サメ人間のキング・シャークだ。声優を『ロッキー』『エクスペンダブルズ』シリーズなどで知られる肉体派ベテラン俳優シルヴェスター・スタローンが担当しているのは封切り前から大きな話題となっていたが、本作を手がけたジェームズ・ガン監督がキング・シャークのキャスティング秘話を明かしている。
キング・シャークは「半神の鮫人間であり正当な海の支配者」と公式サイトで説明されており、肉体派アクションに出演してきた強面のスタローンにもぴったりな配役だ。しかし、米CinemaBlendのインタビューに応じたガン監督によれば、キング・シャーク役をスタローンに打診する前に、大規模なオーディションが行われていたのだという。監督は、オーディション当時を以下のように振り返っている。
「僕たちは、まずある声優さんに来てもらって、全編で声を当ててもらったんですが、うまくいきませんでした。次にもうひとり、声優さんに来てもらって同じようにやってもらったんですけど、こっちもうまくいかずで。すっごく有名な俳優で、僕の友人でもある方にも来てもらいましたね。その方もやっぱりダメで。僕は“もうどうしたらいいか分かんないな”というふうになってしまったんですけど、その時シルヴェスターにお願いするべきだと思って、彼に電話したんです。そしたら、“ぜひやりたい”って言ってくださって。すぐに来てくださって、そしたらキャラクターに命が宿ったんです。」
スタローンが当てているキング・シャークの声は予告編で聞くことができ、先述の設定とスタローンが持つイメージの相性もさることながら、よくよく見るとマイルドなキング・シャークの顔つきに、スタローンの包み込むような温かい声は見事にハマっている。とはいえ、仮にもプロの声優にオーディションを行ったにもかかわらず、ガン監督の琴線に触れなかったのはなぜなのか。それもそのはず、ガン監督はスタローンのことを思い浮かべながらキング・シャークを創造していたのだ。ガン監督は本作でのキャラクター造形のプロセスについて、米Den of Geekにて次のように明かしている。
「妙なことに、映画で起用したい俳優を実際に起用できるようになるにつれて、リスクを冒してでもお会いしたことのない役者さんのためにキャラクターを書くようになったんです。例えば、イドリス・エルバとはお会いしたことがなかったですけど、彼の作品のファンだったので彼のためにブラッドスポートを書きました。シルヴェスターとはすでに出会っていましたし、彼のことはよく知っています。なので、キング・シャークは彼の声を念頭に置いて書いたんです。」
発言の通り、シルヴェスターは『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』(2017)に出演しており、監督とはすでにタッグを組んでいる。それでも、ガン監督が真っ先にスタローンに打診しなかったのは、意外な理由からだった。「彼は僕の友人でもあるので、気が引けたんです。“もしダメだったらどうしよう”って思って」。
結果、スタローンから快諾を得たガン監督。予告編を観ただけでもキング・シャークの異色さが伝わってくるが、本編での活躍は劇場で確認しよう。スタローンは、キング・シャークの魅力について「醸し出すエネルギーには圧倒されっぱなしでした」と語っていた。
『ザ・スーサイド・スクワッド ”極”悪党、集結』は、全国公開中。
▼『ザ・スーサイド・スクワッド ”極”悪党、集結』 の記事
幻の『スーサイド・スクワッド2』ウィル・スミス演じるデッドショットと娘の物語だった ─ 「コメディにできますか?」DC体制変更で頓挫 そしてジェームズ・ガン版へ 新DC第1作「クリーチャー・コマンドーズ」配信開始、日本版予告編が公開 ジェームズ・ガン製作 『スーサイド・スクワッド』キャプテン・ブーメラン役、まだ再演を諦めていない ─ 「オリジン・ストーリーをやるという夢がある」 いずれ再登場なるか マーゴット・ロビー、ハーレイ・クイン役は「演じ継がれるキャラクターになって欲しい」 ─ レディー・ガガにバトン 「いろんな方向性がある」 新生DCユニバース、ブルービートル&ピースメイカー&アマンダ・ウォラーが続投 ─ ジェームズ・ガンが認める 単独映画『ブルービートル』は非正史扱いに?
Source: CinemaBlend,Den of Geek,The Irish Times