映画『チューリップ・フィーバー 肖像画に秘めた愛』、日本美術展史上最大の「フェルメール展」とタイアップ決定

オランダ絵画黄金時代の巨匠ヨハネス・フェルメール(1632-75)は、国内外で不動の人気を誇り、現存作はわずか35点ともいわれている。このたび開催される「フェルメール展」には、そのうち代表作「牛乳を注ぐ女」など日本初公開を含む8点が東京に集結。日本美術展史上最大のフェルメール展となる。

フェルメールと映画の繋がり
このたび「フェルメール展」で日本にやってくる「手紙を書く婦人と召使い」「恋文」のように、フェルメールの絵画を読み解くうえでのキーワードのひとつに、“女主人と女中”が挙げられる。「手紙を書く女と召使い」では、床には手紙と封蠟(ふうろう)が落ちており、一心不乱に手紙を書く女のそばで待つ召使(女中)の表情には何か含むところがあるようで、どこか物語が秘められているようにも感じられるだろう。
フェルメールは今でこそ人気画家だが、作品数は極端に少なく、今なお謎めいた画家のままだ。本作は「フェルメールの絵画の世界を小説にしたい」という思いから生まれた同名ベストセラー小説を実写化した作品。フェルメールの生きた時代を描いており、フェルメール世界へのオマージュに満ちている。女主人と女中の密やかな共犯関係をはじめ、鮮やかなフェルメール・ブルーのドレス、薄暗い室内に差し込む光…。本作を観ることで、より深くフェルメールの世界へ入り込むことができるだろう。
監督を務めるのは映画『ブーリン家の姉妹』(2018)のジャスティン・チャドウィック。脚本は『恋におちたシェイクスピア』(1998)のトム・ストッパードが担当する。ソフィアを演じるのは『トゥームレイダー ファースト・ミッション』(2018)のアリシア・ヴィキャンデル。「真珠の耳飾りの少女」をオマージュした衣装や、フェルメール・ブルーのドレスをまとい、清楚だが身の内に熱い想いを秘めた女性を体現している。ソフィアと恋に落ちる若く美しい画家のヤンには『アメイジング・スパイダーマン2』(2014)のデイン・デハーン、ソフィアの夫は『007 スペクター』(2015)のクリストフ・ヴァルツ、そして、チューリップを栽培する修道院の院長役には同じく『007』シリーズでMを演じたジュディ・ディンチが起用された。
『チューリップ・フィーバー 肖像画に秘めた愛』あらすじ
舞台は、スペインから独立し「黄金時代」と呼ばれた17世紀オランダ。人々は、投資や収集に熱をあげており、なかでも“絵画”と“チューリップ”が2大ブームだったという。希少な品種の球根1個が邸宅1軒分に相当し、世界最古の経済バブルとして知られる「チューリップ・バブル」がピークを迎えていた。
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