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【レビュー】いま流行りのアメコミ映画のはずなのに…”影”の薄い『ミュータント・ニンジャ・タートルズ 影〈シャドウズ〉』

映画『ミュータント・ニンジャ・タートルズ 影〈シャドウズ〉』は、ニューヨークで活躍する忍者に扮するカメ4兄弟を描く『ミュータント・タートルズ』の続編です。なぜか2作目にして邦題に「ニンジャ」が加わりました。原題は『ティーンエイジ・ミュータント・ニンジャ・タートルズ』なので、このままいけば3作目には「ティーンエイジ」も復活しそうですね。

最近はアメコミ映画がある程度の市民権を得てきて、とくにMCUやDCEUは熱心なファンも増えてきました。だからでしょうか、『シビル・ウォー』とか『デッドプール』とか、公開前からもうファンのほうが浮き足立っちゃって、みんなソワソワしています。公開後は、様々な解釈や感想がSNSに溢れ、もはやファンの間ではお祭りの一種です。

しかしながら『ミュータント・ニンジャ・タートルズ 影<シャドウズ>』は公開前も公開後もまったく騒がれない。公開1週目、ランキング初登場で10位とかいう有様です。知名度で言えば、もともとアイアンマンとかキャプテンアメリカなんかよりよっぽど有名なはず。アメコミ映画好きが増えたと思っていたのに、なぜか『ミュータント・タートルズ』だけ完全に無視されています。可愛そうな作品です。おそらく、MCUでもDCEUでもX-MENでもなく、たん族の作品として見れちゃう「マイケル・ベイ製作」の映画だから、という部分は大きく影響しているかと思います。そうは言っても、アメリカ本国ほか、海外ではそれなりの観客動員数を記録しており、大コケというわけではないのですが。

そんなわけで、最初からこの作品への期待値は低い。この手の映画はだいたい満点が70点ぐらいに設定されています。100点満点ではありません。ストーリー的な驚きもアクションの新鮮さもそれほど求められていない。だいたいマッチョな男とホットな美女が出てきて、ビルが爆発したり、NYPDのパトカーたくさん潰れたり、様々な困難をかいくぐりながら、最後はハッピーエンド。観客としてはむしろ想像の範囲内に収まってくれた方があり難い。そういうタイプの映画です。

タートルズの”影”としての苦悩を描く

おおまかなあらすじを紹介しましょう。前作の黒幕であるシュレッダーが、天才でオタクのストックマン博士の協力を得て刑務所から脱出、イノシシとサイに変身したビーバップとロックステディを従えてタートルズへの復讐と地球征服を企みます。それをタートルズとエイプリル、新たに加わったNY市警のケイシーがその計画を阻止しようと奮闘するというお話です。

一応、主なストーリーラインに加えて、ミケランジェロとラファエロを軸に、”影”で戦わなければならないタートルズの苦悩も描かれます。彼らはまだ子ども(ティーンエイジ)ですから、自分たちが街を助けてるのに評価してもらえない、表で自由に遊べないというのが気に入らないんですね。ヒーローとしてチヤホヤされたいという願望を持っている。あくまで味付け程度ですが、そんなドラマチックな面もストーリーに付け加えられています(薄味すぎてあまり目立っていませんが)。この問題の解決方法に関してはあまりにあっさりしていたので、拍子抜けでした。もう少し盛り上げられた気もします。

マイケル・ベイ節は健在

ストーリーに関してはあまり触れるところがありません。やはり『ミュータント・ニンジャ・タートルズ』の着目点はおバカなキャラクターのコント、めまぐるしく動くアクションカーンの数々とド派手な破壊描写といった、いわゆる“マイケル・ベイ節”にあるのではないかと思います。

キャラクターの描きこみで言えば、今回はミケランジェロがメインになってきます。先ほど指摘したタートルズの”影”として悩みをいちばん重く背負いこんでいるのは、チーム1のお調子者である彼です。ここはむしろ彼の目立ちたがりとしての性格がかえって苦しみを大きくしています。といっても彼だけに焦点が当たるのではなく、特徴的で極端にデフォルメされた性格をガチャガチャさせることなく、スッキリ見やすく描き分けた上で面白い掛け合いを展開していくのだから、とてもバランス感覚が良いと言えます。新キャラクターのケイシーもなかなかのバカ。そして警察官のわりに粗雑な振る舞いを見せます。グリーンアローことオリバー・クイーンとは大きな違いです。余談ですが、エイプリルが記者であるという設定を映画の最後まで忘れていました。ほとんど記者らしいことをしてない上に、スパイまがいのミッションをこなしており、果たして彼女の本職はどっちなんだとツッコミを入れたくなります。

アクションの動きの軽やかさ、カメラワークの大胆さは相変わらず素晴らしい。筆者は2D字幕で鑑賞したのですが、開始30秒で3Dで見なかったことを後悔しました。それぐらい立体感と奥行きを意識した画面作りになっています。動きが激しすぎてもはや何をやってるのかわからないというシーンもなくはないのですが、『トランスフォーマー/ロスト・エイジ』よりはマシかなという感じ。とにかくカッコよく楽しい映像とはなんなのかを突き詰めた設計になっており、これだけでも見る価値はあるのではないかと思います。

ただ、場面設定、特にクライマックスのNYにおける決戦シーンに関してはものすごく既視感がありました。そのまんまアべ◯ジャーズです。何回同じことをやるんだ正直ガッカリしました。想像力の放棄と言ってもいい。個人的にはこの部分のデジャブによって作品全体の印象が大きく悪くなってしまいました。ここにあっと驚くような仕掛けがあれば、かなり面白くなったと思います。

アメコミ映画としてはかなり地味な結果に終わってしまった『ミュータント・ニンジャ・タートルズ 影〈シャドウズ〉』。そのためなんとなく僕のレビューもテンション低めですが、それに反して作品自体のテンションは非常に高いということはお忘れなく!普段通りの「マイケル・ベイ作品」なので、大きく期待外れということはありません。ポップコーンとコーラを胃に流し込みつつ気楽に見るのがぴったりの娯楽作品です。あまりに関心が向けられずかわいそう…ぜひ見に行きましょう!

Writer

トガワ イッペー
トガワ イッペー

和洋様々なジャンルの映画を鑑賞しています。とくにMCUやDCEUなどアメコミ映画が大好き。ライター名は「ウルトラQ」のキャラクターからとりました。「ウルトラQ」は万城目君だけじゃないんです。

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