「孤高のヒーロー」は時代遅れか? ─ Z世代、映画やドラマで「愛情深い父親」「助けを求める男性」を観たがっていると米調査

孤高のヒーロー像は、もう時代遅れかもしれない。
全米のZ世代やアルファ世代は、映画やテレビドラマにおいて「愛情深く、メンタルヘルスケアを求める男性像」をより好む傾向にあることが、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)による最新のリサーチで判明した。
全米の10〜24歳の男性1,500人を対象に、映画やテレビに求める男性像についてを調査したもの。「子供への愛情を示す父親」「育児を楽しむ父親」「他人に気を配る男性」「表情豊かな10代の少年」「助けを求める男性」「メンタルヘルスケアを求める男性」「表情豊かな大人の男性」はいずれも、「もっと観たい」が「あまり観たくない」に比べ、およそ5:1で大多数を占める結果となった。
若い世代の間では、より愛情深く、感情的な繋がりを持つ男性像を求めていることが示唆されている。「数十年に渡り、メディアは成人男性のデフォルトとして、『ストイックな稼ぎ手』や『距離を置くヒーロー』に依拠してきた」と、UCLAはまとめている。「我々のデータは、主に権力や肉体的な強さを持つ男性像を提示することで、共感力や忍耐力、そして感情的な解放性によって定義される若者の価値観の役割を無視していることを示している」。
さらに調査では、愛情深い父親像を求める割合は、10歳から14歳の回答者の間で最も高いこともわかった。この世代はまだ家庭制度に深く根ざしており、「父親が単に養うだけでなく、日々の生活に積極的に参加し、喜びを与えてくれる存在であることに、心理的に大きな関心を抱いている」ためだと同レポートは分析。また、愛情深い父親像やメンタルヘルスケアを求める男性像を好む声は、アメリカ西部の回答者の方がより顕著であったことも明らかになっている。
「アルファ世代とZ世代は、文化の根本的な転換を示している。彼らが求めているのは強さの欠如ではなく、その定義の拡大だ。そこには思いやりの勇気、助けを求める知恵、そして家庭生活に宿る喜びが含まれている」と、同調査は結論づけた。
ハリウッドでは近年、「有害な男性性」のほころびを描く作品が目立つようになった。力や支配、勝利によって価値を証明するという従来のヒーロー像に対し、その内側に潜む脆さや孤独をあぶり出す物語が増えているのだ。
『バービー』(2023)や『哀れなるものたち』(2023)は、男性の承認欲求や支配欲を風刺的に誇張しながら、その構造自体を笑いとともに解体する。一方、『アイアンクロー』(2023)はより内省的だ。“強さ”“男らしさ”“勝者であること”を家族に強要する文化が、兄弟と家庭をじわじわと蝕んでいく悲劇を描き、勝利信仰の裏側にある抑圧を浮き彫りにした。
間もなく日本公開(2026年5月15日)を迎える『スマッシング・マシーン』もまた、絶対的な強さを追い求める総合格闘技選手の姿を通して、勝利神話の裏にある孤独や精神的な揺らぎに、生々しく光を当てている。
『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)でも、チーム最強とされる筋肉隆々のソーが敗北を機に塞ぎ込むようになり、新作『アベンジャーズ/ドゥームズデイ』の特別映像でも、我が子のために「力をください」と真剣に祈りを捧げている。ヒーローは、もはや無敵である必要はないのかもしれない。
Source:UCLA
























